カロテノイドの一種であるアスタキサンチンは、目のピント調節をしている毛様体筋という筋肉の血流などを改善することで、ピント調節機能や眼精疲労の改善につながったことを示唆する研究も発表されており、注目を集めています。ところが、アスタキサンチンなどのカロテノイドは人の体内ではつくることができないため、毎日の食事などから摂取する必要があるといわれています。
そこで今回は、アスタキサンチンを含む食品にはどんなものがあるか、どういう食べ方をすればよりアスタキサンチンを摂取することができるかを紹介します。
目次
アスタキサンチンの1日の摂取目安量は?どんな食品から摂取できるの?
1日あたりのアスタキサンチンの摂取目安量は、6mgとされています。では、いったいどんな食品をどれだけ食べれば、この摂取量を満たすことができるのでしょうか。
アスタキサンチンは、主に魚やエビ・カニなどの魚介類に多く含まれます。オレオサイエンス 第12巻第10号(2012)によると、含有量が多い代表的な食材は、エビ・カニ(~40mg)、オキアミ(4.5~13mg)、鮭(0.3~4mg)、ニジマス(0.1~1.3mg)、イクラ(0~1.4mg)です(※1)。
※( )内の数値は、それぞれ100g当たりのアスタキサンチン含有量です。
▼アスタキサンチンを多く含む食材については、こちらで詳しく紹介しています
アスタキサンチンを多く含む食材&食べ物5選!鮭の含有量はどれくらい?野菜は?
では、それぞれの食材やそれを使った食品について、詳しく紹介していきましょう。
種類によって違う!鮭のアスタキサンチン含有量
鮭の切り身は、1切れ約100g前後で販売されている事が多いのではないでしょうか。焼き魚やムニエルにすると、ある程度まとまった量のアスタキサンチンを一度に摂ることができますね。
鮭は本来白身魚です。しかし、赤い色素であるアスタキサンチンが含まれているため、身の色は赤くなっています。
鮭には、さまざまな種類がありますが、種類によってアスタキサンチンの含有量は違います。どの種類にどれだけアスタキサンチンが含まれているか、100g中の含有量を編集部で調べてみました。
紅鮭
紅鮭のアスタキサンチン含有量は、2.7mgです。切り身をムニエルやホイル焼きにしていただけば、1日の目安の摂取量の約半分を摂ることができますね。
キングサーモン
マスノスケとも呼ばれているキングサーモンのアスタキサンチンの含有量は、1.5mgです。脂がたっぷりのっているので、サーモンステーキなどにすると美味しくいただけます。
銀鮭
銀鮭のアスタキサンチンの含有量は1.4mgです。脂ののりがよく、焼いてもパサパサになりにくいのが特徴です。
一般的な鮭、秋鮭など
スーパーなどで一般的に販売される鮭。季節によって秋鮭や時しらずなどと呼ばれますが、この鮭は種類でいうと白鮭を指しています。白鮭のアスタキサンチン含有量は、0.7mgです。焼くのはもちろん、味噌汁の具や鍋に入れたりしても美味しくいただけます。
加工食品も活用してアスタキサンチンを摂ろう!
アスタキサンチンを含む魚介類は加工食品にもいろいろと活用されています。新鮮な食材が手に入りにくいときなどは、こういった加工食品を活用してみてはいかがでしょうか。
保存しやすさが魅力の冷凍食品
魚やエビ・カニは冷凍食品としても販売されていますね。一般的に、冷凍食品は栄養価が高い旬の時期に収穫したものを急速冷凍して作ります。急速に冷凍することで損傷を少なくするため、栄養素が大きく失われるということはないといわれています。
お弁当やおにぎりの具などにぴったりの鮭フレーク
鮭を加熱し身をほぐして作る鮭フレークは、お弁当のおかずや毎日の食事に大活躍する加工食品のひとつ。加熱してもアスタキサンチンは損なわれないのか、気にする人もいるかもしれませんね。でも実は、アスタキサンチンは熱に強いという特徴があるんですよ。
オードブルなどに人気のスモークサーモン
スモークサーモンは一度塩や調味液に漬けたあと塩抜きし、燻製にして作ります。アスタキサンチンは熱に強い上に、スモークサーモンは燻製庫内の温度を30℃以下に抑えて燻製する冷燻という方法で作られる、燻製の代表格のひとつ。アスタキサンチンの特徴である赤い色も、ほとんど変わりません。
缶詰やレトルト
缶詰の加工は旬の季節にとれた新鮮な食材を使って行われることが多いようです。日本缶詰びん詰レトルト食品協会によると、加工時には空気を抜いて真空状態にした上で加熱殺菌を行なうため、むしろほかの調理方法と比べて、栄養価が高いということもあるそうです。
アスタキサンチンは油分と一緒に摂取するとより体に吸収されやすくなりますので、オイル漬けの缶詰をオイルごと使って調理して食べるのがおすすめです。
干しエビ
干しエビにはサクラエビなどのエビのほか、イサダ・アミエビなどの名前でオキアミが使用されていることがあります。エビには特に殻に多くアスタキサンチンが含まれているため、干しエビなどで殻ごと食べられる加工食品はアスタキサンチンの摂取によいといえるでしょう。
鮭、サーモン、エビやカニ以外ではどんな食品から摂取できる?
イクラ(塩漬け・醤油漬け)
鮭やサーモンの卵であるイクラにも、アスタキサンチンは含まれています。しかし、イクラはごはんにたっぷりのせても100g弱で、摂れるアスタキサンチンは1.4mg程度。アスタキサンチンをしっかり摂ろうと思うならちょっと物足りないかもしれませんね。
キンメダイは皮ごと食べてみる
キンメダイ(2.0~3.0mg/100g)にもアスタキサンチンが含まれています。数字だけ見ると含有量が多いように思えますが、この数字はキンメダイの「体表」の数値。キンメダイの体表だけで100gを食べるのは現実的に考えると難しそうです。煮付けなどにして皮ごと食べるよう心がけるくらいにとどめておくのがよいでしょう。
サプリメントや機能性表示食品も組み合わせてみよう!
アスタキサンチンを含む食品を紹介してきましたが、食事だけでは1日の目安摂取量に達することが難しい場合もあるでしょう。そんなときは、アスタキサンチンを手軽に摂取できるサプリメントや機能性表示食品も組み合わせてみてはいかがでしょうか。
アスタキサンチンのサプリメントには、主にヘマトコッカス藻という藻類が使われています。
ヘマトコッカス藻には6,000mg/100gという非常に大量のアスタキサンチンが含まれています。わかさ生活の「わかさの秘密」にあるとおり、ヘマトコッカス藻が大量培養されるようになったことにより、サプリメントや化粧品にアスタキサンチンが使われるようになったとのことです。
サプリメント・機能性表示食品を摂取するおすすめタイミングは「食後」
サプリメントや機能性表示食品を使ってアスタキサンチンを摂取する場合、おすすめのタイミングは「食後」です。
アスタキサンチンを食前に摂取した場合と食後に摂取した場合とで、24時間後の血中のアスタキサンチン濃度や体内の平均的な滞留時間を比較した研究があります。これによると、食前に摂取した場合と比べて食後に摂取したほうが、24時間後のアスタキサンチン濃度は約2.5倍、体内の平均的な滞留時間は約1.5倍になったそうです。
これはなぜかというと、アスタキサンチンには油に溶けやすいという特徴があるからといわれています。よりしっかりアスタキサンチンを摂取したい場合は、食後に摂取するようにするとよさそうですね。
魚介類中心の食生活にサプリメントをプラス!
アスタキサンチンの1日あたりの目安摂取量は6mg。この量を達成するには、鮭やサーモン、エビやカニなどを積極的に食べることが必要です。毎日新鮮な鮭・サーモンなどを食べるのが難しい場合は、冷凍食品や加工食品、缶詰も使ってみるといいでしょう。毎日の食事などに意識して取り入れると、アスタキサンチンを継続的に摂取することができそうですね。
とはいえ、目安の摂取量を食事だけで摂るのは、なかなか難しいこともあるでしょう。必要に応じてサプリメントなども組み合わせて、目の健康も意識した食生活を送りたいものですね。今回紹介した情報も参考に、目をいたわる食生活を送ってください!
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※本サイトで紹介した各食材の栄養素含有量の比較はあくまでも一般的な品種などによる参考値であり、品種や保存方法などにより大きく異なることがあります。
※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。
【参考】
※1 : オレオサイエンス 第12巻第10号(2012)「緑藻ヘマトコッカスによるアスタキサンチンの生産とその利用」より
【画像】
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