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目に良い食べ物・栄養素と調理法

【目のために摂りたい3つの成分】食べ物で瞳をサポート!

瞳を守る3つの成分

「目が疲れて仕事が手につかない…」
「目がショボショボして文字がかすんで見える…」
このような目の悩みを持っている方が多いのではないでしょうか。
それは、もしかすると栄養不足かもしれません。
この記事では、科学的に目に良いと報告されている3つの成分をご紹介します。

アントシアニンが夜間視力を上げ、眼精疲労を軽減する⁉

 

北欧ビルベリー

アントシアニンとは、植物が紫外線など有害な光から実(身)を守るために蓄えられる青紫色の天然色素です。
第二次世界大戦期にブルーベリージャムをたっぷり食べたイギリス空軍のパイロットが鮮明な夜間視力を得た、という話は聞いたことがあるかもしれません。
今ではブルーベリーに含まれるアントシアニンが夜間視力を改善することが知られています。
アントシアニンを摂取することで、目には以下のような効果が期待できると言われています。※1(Nomi 2019)。

  • 夜間視力の向上
  • 眼精疲労の軽減
  • 緑内障の予防 など

幅広く目の悩みを解決してくれそうな成分ですね。
「目が疲れる」「見えづらい」など感じたら、アントシアニンを多く含む食品を摂るとよいといわれています。
では、アントシアニンはどんな食べ物に含まれるのでしょうか。
基本的には、主に野菜やフルーツに多く含まれることが分かっています。

アントシアニン含有量参考:※2Wu 2006

上記から“カシス”と“ブルーベリー”が最強!というのが分かります。
アントシアニンは野菜やフルーツに青や紫だけではなく、赤の色味も与えるようです。
また“ブルーベリー”の一種“ビルベリー”はアントシアニンの量が一般栽培種の”ブルーベリー”より約5倍も多いといわれています。
自身の普段食べる物を鑑みて、アントシアニンがあまり摂れていないという場合は、“ビルベリー”成分のサプリメントで摂取するのもおすすめです。

ルテインとゼアキサンチンがブルーライトをカットする

緑黄色野菜

次に、ルテインとゼアキサンチンをご紹介します。
ルテインとゼアキサンチンは、緑黄色野菜などに多く含まれる黄色の抗酸化物質です。
たがいに似た構造・機能をもち、まとめて研究されることが多いので、ここでも2成分をひとつのトピックとして紹介します。
ルテインは黄斑(網膜の視細胞が密集する部位)の周辺、ゼアキサンチンは黄斑の中心に多く存在し、紫外線やブルーライトから目を守る働きがあります。
これらを摂取することで、目において以下のような効果が期待されています。

黄色い色素が光のダメージから網膜を守ってくれるようです。
アントシアニンとは色・働きが違うので、一緒に摂るとより目をサポートしてくれそうです。
ルテインとゼアキサンチンは以下の食べ物に多く含まれます。

ルテイン含有量

参考:※5 Perry 2009(ルテイン、ゼアキサンチンともにトランス型の値)

ほかにも、パスタやトウモロコシ、ニンジン、オレンジ、黄色ピーマンなどに多く含まれるといわれています。
視機能の改善には一日10mg(10,000mg)摂ることが推奨されています。※6(Huang 2015)。
10mg摂ろうと思えばおそらく食卓に並ぶ品は相当カラフルになっていることでしょう。
こちらもアントシアニンと同じく、足りていないと思う場合は、サプリメントで摂るようにするとよいかもしれません。

アスタキサンチンが網膜を守る

3つ目は、アスタキサンチンをご紹介します。
アスタキサンチンはイクラやエビなどの甲殻類に含まれる赤色の抗酸化物質です。
抗酸化作用以外にも、抗炎症作用や抗ガン作用などを持つことが分かっています。
アスタキサンチンを摂取することで、目において以下の効果が期待されています。※7(Lin 2020)。

  • 視機能の維持
  • 網膜の保護 など

アントシアニンやルテインと比べると知らない方が多いかもしれませんが、アスタキサンチンも積極的に摂取するようにしましょう。
アスタキサンチンは以下の食べ物に多く含まれます。
アスタキサンチン含有量

※8西田 2012

アスタキサンチンの推奨摂取量は2-4mg/日で、3.6 mg のアスタキサンチンを得るには165 グラムのサケを食べる必要があるといわれています。※9(Ambati 2014
毎日とることが難しい場合は、こちらもサプリメントで摂るようにしたほうがよいかもしれません。

まとめ

いかがだったでしょうか。
この記事では、目に良い3つの成分を紹介しました。
気づかないだけで目は20歳のときから老化が始まっているといわれています。
目に不調を感じていない人も、今回ご紹介したように目に良い成分を積極的に毎日の献立に取り入れていきましょう。

▼参考

※1 Nomi Y, Iwasaki-Kurashige K, Matsumoto H (2019). Therapeutic Effects of Anthocyanins for Vision and Eye Health. Molecules 24, 3311.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6767261/

※2 Kalt W, Cassidy A, Howard LR, et al. (2020). Recent research on the health benefits of blueberries and their anthocyanins. Adv. Nutr. 11, 224–236.
https://academic.oup.com/advances/article/11/2/224/5536953?crsi=662497048&cicada_org_src=healthwebmagazine.com&cicada_org_mdm=direct&login=false

※3 Abdel-Aal ESM, Akhtar H, Zaheer K, Ali R (2013). Dietary sources of lutein and zeaxanthin carotenoids and their role in eye health. Nutrients 5, 1169–1185.
https://www.mdpi.com/2072-6643/5/4/1169

※4 Stringham JM, Bovier ER, Wong JC, Hammond BR Jr. (2010). The influence of dietary lutein and zeaxanthin on visual performance. J Food Sci. 75, R24–R29.
https://ift.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/j.1750-3841.2009.01447.x

※5 Perry A, Rasmussen H, Johnson EJ (2009). Xanthophyll (lutein, zeaxanthin) content in fruits, vegetables and corn and egg products. Journal of Food Composition and Analysis 22, 9–15.
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0889157508001336

※6 Huang YM, Dou HL, Huang FF, et al. (2015). Effect of supplemental lutein and zeaxanthin on serum, macular pigmentation, and visual performance in patients with early age-related macular degeneration. BioMed research international. 2015, 564738.
https://www.hindawi.com/journals/bmri/2015/564738/

※7 Ambati RR, Phang SM, Ravi S, Aswathanarayana RG (2014). Astaxanthin: sources, extraction, stability, biological activities and its commercial applications—a review. Mar. Drugs. 12, 128–152.
https://www.mdpi.com/1660-3397/12/1/128/htm

※8 西田康宏(2012)『緑藻ヘマトコッカスによるアスタキサンチンの生産とその利用』オレオサイエンス 12, 525-531.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/12/10/12_525/_article/-char/ja/

※9 Lin WN, Kapupara K, Wen YT, et al. (2020). Haematococcus pluvialis-derived astaxanthin is a potential neuroprotective agent against optic nerve ischemia. Mar Drugs. 18, 85.
https://www.mdpi.com/1660-3397/18/2/85/htm

この記事を書いた人

吉田朋生

奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 博士前期課程 修了。視神経系が構築されるしくみについて研究していました。サイエンスにかぎらず、歴史や哲学、社会学などにも興味があります。多角的な視点で情報発信してきたいと思います。

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