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目を鍛えるトレーニング術

ビジョントレーニング 見たいものの動きをしっかりとらえる「追従性眼球運動」をやってみる

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今、スマートフォンやタブレットの利用者は、小さなお子さまからご年配の方にまで及びます。発信されている情報も多岐にわたり、とても便利なツールなので皆さんもついつい長時間使っていた…ということがあるのではないでしょうか。

目の健康の視点で言うと、デジタル機器から発せられる光はエネルギーが強く、目の細胞にダメージを与えるため、長時間の使用はなるべく避けてほしいのですが、それ以外にも気になる点があります。

それは目の筋肉におよぶ影響。近距離のものを見る時はピントを合わせるための筋肉をより使います。長時間近いものを見続けるということは、その筋肉に大きな負担をかけていると思われます。

また、見る対象が小さい画面になると、眼球自体を動かす範囲が狭くなります。
本来、私たちは、ものを見る時に眼球を左右や上下、斜めなど様々な方向に動かし、見たいものを捉えるのですが、この時には眼球を動かす筋肉を使っています。普段からこの筋肉をしっかり動かしていないと、見たいものを捉える力、いわゆる「見る力」が低下するといわれています。

ビジョントレーニングは、目の筋肉をしっかり動かしたり、脳と連携したり、目の筋肉のコンディションを整えることで、見たいものをとらえる力「見る力」を養うことが期待できます。今回は手軽にできる簡単なトレーニングを紹介しますので、一緒にやっていきましょう。

トレーニングの基本「ゆっくり目だけで線をたどろう」

この運動は見る時に目で追いかけるような動きをするため、「追従性眼球運動」と呼ばれています。ゆるやかな波線だったりジグザクだったりと線自体が単純な形なので「な~んだ」なんて思わないでくださいね。実は、ゆっくりと目でたどるというのが意外と難しく感じることもあるのです。

また、たどっているつもりでも、角から角へ視線が飛んでしまっているなんてこともあるかもしれません。視線を飛ばして見るのは、「跳躍性眼球運動」といって、また別の動きです。

やってみよう!角もしっかりたどってね

まずは目の準備運動をやってみましょう。
目を動かさずに1点を見つめてみましょう。時間は3秒ほどで大丈夫です。
これで目を動かす意識ができるうえ、無駄な動きをしなくてよくなります。できましたか?

それではワークシートを使ってトレーニングしてみましょう。
左右にある同じマークを結ぶ線を左から右にゆっくりと目でたどりましょう。
ワークシートから30cm~40cm離して、頭を動かさず目だけで線をゆっくりたどってくださいね。ジグザグの場合は角もしっかり見るようにしましょう。左から右へ線をたどったら、今度は右から左へ同じようにやってみましょう。

波線、ジグザグ、でこぼこした線をそれぞれ往復してください。

「線めいろ」の眼球運動で鍛えられること

「追従性眼球運動」は、見たいものをとらえて目で追いかけたり、対象が動いている場合は、同じ速さで目を動かしたりする運動です。

この動きがうまくできないと、筆順通りに目とペンが動かせず文字がうまく書けなかったり、本を読むときに文字や行を飛ばしたり、ボールを目で追う球技が苦手だったりする場合があります。

子どもが字を覚える時にも、対象となる字を見て同じように線を引いて覚えていきます。その時にしっかりと見えていないことで、バランスが悪い字になったり、枠からはみだしたりと上手く書けないかもしれません。

ポイント・コツ① 「簡単だからこそ丁寧に」

交わることがない単純な線が並んでいるので、運動レベルとしては簡単なものですが、だからこそ意識してゆっくりとたどってみてください。頭を動かさず、目だけでたどることが眼球の筋肉をしっかり動かすことになります。

ポイント・コツ② 目だけ追うのが難しければ手をつかって

目だけでたどると、どうしても視線が飛んだり、離れてしまうという場合は、指やペンで線をなぞりながら目はその指先やペン先を見るというふうにやってみましょう。

ポイント・コツ③ 眉間にシワはNG!

眼球運動を行うときは、リラックスして行いましょう。目や肩に力を入れてしまうと、血流が悪くなり逆効果です。トレーニングは楽しくゲーム感覚でやってくださいね。

まとめ

眼球をしっかり動かすことで、目の周りや脳の血流がよくなることもわかっています。

これから、小さなお子様からご年配の方まで、レベルに合わせて簡単にできるトレーニングを紹介していきます。ぜひ毎日の習慣にして、いつでもしっかり見ることができる目を維持していきましょう。

 

【参考】勉強とスポーツに自信がつく ビジョントレーニング 著:北出勝也

 

 

 

 

この記事を書いた人

戸田 友里

わかさ生活プロアドバイザー。一人でも多くの人に目の健康に関する正しい情報を伝えたいと、Webや紙面で発信する活動を行っています。ビジョントレーニング指導者1級。

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