文字の
サイズ

目に良い食べ物・栄養素と調理法

目に良い成分アスタキサンチンを多く含む食材&食べ物5選!鮭と野菜の含有量はどれくらい?

アスタキサンチンは「海のカロテノイド」とも呼ばれる赤色の天然色素。ビタミンEの約1000倍の強力な抗酸化作用をもち、体内のサビ付きを抑えるアンチエイジング成分としても人気です。また、アスタキサンチンは細部まで入り込む特徴があり、目の奥までしっかり届いて、頑固な疲れに働くと考えられています。近年、眼精疲労や目のピント調節機能の改善効果についての研究が進んでいて、注目を集めています。

そこで今回は、アスタキサンチンを多く含む食べ物や食材の中から、特に毎日の食事に摂り入れやすいものをランキング形式で5つご紹介。よく話題になる鮭やエビ、野菜にはどれくらい含まれるのかなど、何をどれだけ食べればアスタキサンチンを摂取できるのかお話しします。

1日に必要なアスタキサンチンを摂るには何をどれだけ食べればいいの?やっぱり魚に多いの?

アスタキサンチンはリコピンやルテイン、β-カロテンと同じカロテノイドの一種です。リコピンやルテイン、β-カロテンなどが主に野菜に含まれるのに対し、アスタキサンチンは主に魚介類に含まれます。

アスタキサンチンは植物プランクトンや藻類が作り出し、それらを食べた魚介類の体に蓄えられます。人の体内でも作ることはできないので、食べ物を通じて摂取する必要があります。

アスタキサンチンの1日の摂取目安量は6mg。一般的に、アスタキサンチンは、鮭、イクラ、筋子、マス、甲殻類(エビ、カニなど)、表皮の赤い魚(マダイ、キンメダイ、キンキなど)に多く含まれるといわれています。

そこで、毎日の食事に取り入れやすいものを中心に、どんな食べ物や食材にどれだけアスタキサンチンが含まれているのかを、ランキング形式で紹介します。

アスタキサンチン食べ物・食材含有量「魚介編」TOP5(mg/100g)

アスタキサンチンエビかに鮭の写真

100g中にどれだけアスタキサンチンが含まれるか、編集部調べによる魚介類ランキングTOP5を紹介します!

1位 エビ・カニ ~40mg

2位 オキアミ 4.5~13mg

3位 鮭 0.3~4mg

4位 ニジマス 0.1~1.3mg

5位 イクラ 0~1.4mg

※アスタキサンチンの数値は、オレオサイエンス 第12巻第10号(2012)「緑藻ヘマトコッカスによるアスタキサンチンの生産とその利用」を参考にしています。元データは1kg中の含有量。

とはいえ、「エビ・カニといっても範囲が広すぎない?」「オキアミって食材?」と思われる方もいらっしゃることでしょう。そこで、編集部ではそれぞれの食材についてもう少し詳しく調べてみました。

1位.殻や尾ごと食べられる「エビ・カニ」(~40mg/100g)

アスタキサンチン エビの写真

季節を通して美味しくいただけるエビや冬の味覚のカニは、加熱すると殻や身が赤くなります。あの赤色の正体こそ、アスタキサンチンです。そのため、同じエビの仲間でも白エビのような色が薄い種類になると、アスタキサンチンの量は比較的少なくなります。

特に代表的なエビについていくつか細かな数字をあげると、100g中のアスタキサンチン含有量はクルマエビ2.81mg、甘エビ0.40mg、生のサクラエビが7.15mgです。身よりも殻や尾により多くのアスタキサンチンが含まれています。(※)

※静岡県環境衛生科学研究所の調査による

唐揚げなど殻や尾ごと食べられるような調理法にすると、アスタキサンチンをあますところなく摂取することができそうですね。殻が硬いイメージがあるカニも、脱皮したてで殻が柔らかいソフトシェルクラブを唐揚げにするなど殻ごと美味しく食べる調理法があります。参考にしてみてください。

2位.干しエビを料理に混ぜて「オキアミ」(4.5~13mg/100g)

エビによく似ていますが、分類上はプランクトンの仲間であるオキアミ。食材というイメージを持っていない人もいるかもしれませんが、近年ではアスタキサンチンはじめDHA(ドコサヘキサエン酸)などの栄養を多く含むことから食用としても注目されています。

日本では、三陸沖で春先にとれる「イサダ」がオキアミの一種です。静岡県などでは「アミエビ」とも呼ばれています。小エビに似た食感で、かき揚げや干しエビとしてパスタなどのトッピングにしたり、おひたしに混ぜたりして食べます。

3位.焼いて美味しい「鮭」(0.3~4mg/100g)

アスタキサンチン紅鮭の写真

主に秋に旬を迎える鮭。白身魚であるにもかかわらず身が鮮やかな赤色をしているのは、アスタキサンチンを多く含んでいるからです。鮭には紅鮭や銀鮭などいくつか種類がありますが、中でもアスタキサンチンが多いのは紅鮭で、その含有量は100g中2.7mgです。紅鮭の切り身は1切れ約100gですから、1切れで1日の摂取目安量の約1/2のアスタキサンチンを摂ることができる計算ですね。

4位.ムニエル、ルイベ、燻製に「ニジマス」(0.1~1.3mg/100g)

ルイベ(北海道の郷土料理で凍らせて食べる鮭の刺身)や燻製などによく加工されるニジマスも、アスタキサンチンを多く含む魚のひとつです。釣りが趣味の人なら、自分で釣ってくることもあるかもしれません。ニジマスは人工的に飼育しやすいことから、世界中で養殖されています。

養殖ニジマスには淡水養殖と海面養殖の2種類がありますが、アスタキサンチンをより多く含むのは海面養殖されたニジマスです。淡水養殖のニジマスのアスタキサンチン含有量は100g中0.4mgであるのに対し、海面養殖されたニジマスは100g中0.6mgあります。

海面養殖されたニジマスはトラウトサーモン、サーモントラウトとも呼ばれています。サーモントラウトといえば、スーパーなどでもよく見る子どもから大人まで人気の魚ですね。

5位.ぜいたく気分で食べたい「イクラ」(0~1.4mg/100g)

鮭の卵であるイクラもまた、アスタキサンチンを多く含む食材です。鮭の体にあったアスタキサンチンが産卵時にイクラへ移ることで、あの鮮やかな赤色になるのです。塩漬けや醤油漬けなどでいただく冬の味覚のひとつですが、イクラをごはんにたっぷりのせたとしても食べられる量は100g弱です。あまり多くのアスタキサンチンが摂取できるわけではありません。

アスタキサンチンは野菜にも含まれているの?

アスタキサンチン野菜を見ている写真

野菜の中に、アスタキサンチンが含まれている食べ物、食材はあるのでしょうか?

編集部で文献や論文などを調べてみましたが、現在のところ編集部が知るかぎりでは明確な情報は見つかりませんでした。例えば、アスタキサンチンについて詳しく解説されている書籍『アスタキサンチンの科学』(矢澤一良編著)にはどんな生物がアスタキサンチンを含有しているかについての情報が書かれているのですが、その中では野菜については特に記述がありませんでした。

というのも、アスタキサンチンは、植物や微生物が作るカロテノイドの一種です。アスタキサンチンを作るものの多くは、植物プランクトンや藻類などの海洋生物です。特に有名なのはヘマトコッカス藻という藻類で、アスタキサンチンのサプリメントや健康補助食品を作る際の原料に使われます。

藻類はオキアミなどの動物プランクトンに食べられます。動物プランクトンは、鮭などの魚介類に食べられます。アスタキサンチンはこの食物連鎖の中で蓄積され、最終的に私たちの体内に入ります。

こういった流れがあることから、アスタキサンチンは基本的に魚介類、もしくは植物プランクトンや動物プランクトンを餌にするものに含まれるようです。

目をいたわりたいときはアスタキサンチンが多い魚介類を意識してみてはいかがでしょう

アスタキサンチンが摂れる代表的な食材を5つ、ランキング形式でご紹介しました。アスタキサンチンは植物プランクトンや藻類によって作られ、食物連鎖の結果エビ・カニなどの甲殻類、鮭・マス・イクラなどの魚に溜まります。その一方で、野菜にはほとんど含まれていないといえそうですね。

アスタキサンチンを多く含む魚や甲殻類を毎日食べるのは、大変かもしれません。ちょっと目をいたわりたいときの食事に意識して摂り入れるなどしてみてはいかがでしょうか。

 

■「アスタキサンチン」が気になる方はこちらをチェック
眼精疲労の研究が進むアスタキサンチン!夕食におすすめ「鮭のソテーほうれん草ソースかけ」
アスタキサンチンを効率よく摂れる「桜えびの彩りパスタ」ランチで目も体もリラックス

■他のランキングが気になる方はこちらをチェック
ルテインを多く含む食べ物・食材20選!野菜や果物の含有量はどれくらい?

 

 

※本サイトで紹介した各食材の栄養素含有量の比較はあくまでも一般的な品種などによる参考値であり、品種や保存方法などにより大きく異なることがあります。

※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【画像】
Artemidovna,OlesyaSH,bonchan, tab62,buritora / Shutterstock

この記事を書いた人

秋田 朱美

栄養士

わかさ生活在職中は、プロアドバイザーとして、豊富な目と栄養の知識でお客様をサポート。さらに長年のお客様対応で培った経験を活かし、社内教育、社外での講義など幅広く活動してきました。

こちらの記事もおすすめ