ポリフェノールの一種であるアントシアニンは天然の色素のひとつ。抗酸化力があり、視覚機能や眼精疲労(目の疲れ)の関連性から、目の疲れをケアしたい人にも注目を集めている栄養素です。
そこで今回は、アントシアニンが摂れる食べ物について、食材として果物編6つと野菜編7つ、さらに食品として手軽に摂れる飲み物を5つ紹介。その他にサプリメントや機能性表示食品についても紹介します。
目次
アントシアニンの1日あたりの摂取目安量はどれくらい?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」には、アントシアニンをはじめとするポリフェノールの目標値は明確に書かれていません。まだ研究段階にある成分といえるのではないでしょうか。
そこで、アントシアニンの機能性表示食品としてサプリメントを販売しているメーカーは1日あたりの摂取目安量をどう決めているのかを調べることにしました。
機能性表示食品の情報は、消費者庁のサイトにある「機能性表示食品制度届出データベース」から誰でも見ることができます。
たとえば、わかさ生活のサプリメント『ブルーベリーアイ プロ』では、4本の研究論文を根拠にアントシアニンの摂取目安量を算出しています。これらの論文を総合的に見た結果、わかさ生活は、表示する機能性「ピント調節力を改善することで目の疲労感を和らげること」に対してアントシアニンの有効な摂取量を1日40~172.8 mgと導き出し、サプリメント1粒あたりに40mgのアントシアニンを配合しています。
現状アントシアニンの1日の摂取目安量は、このように、機能性表示食品を参考に考えることもできそうですね。
アントシアニン:食べ物(食材)含有量「果物編」
アントシアニンが豊富な食べ物にはどのようなものがあるのでしょうか。編集部で調べたところ、アントシアニン含有量については、まだそれぞれの食材を同じ条件で比較できる情報がないため、食材毎にいくつかの調査や書籍からピックアップしました。
「果物編」ではどんな食材にアントシアニンが多く含まれるか、国内外の調査情報からアントシアニン含有量が豊富なベリー類の果実を中心に、100g中に含まれるアントシアニン量を紹介。ベリー類は国内で手に入りにくいものもあるので、ちょっと含有量は少ないけれど、国内で手に入りやすく利用しやすい果物もピックアップしてみました。
なお、海外の品種のものが多いため国内の一般的な品種とはアントシアニン含有量が異なる場合があります。また、情報元が違うと同じ調査条件にならないため含有量が比較しづらくなっていますので、順番はあくまで参考数値としてチェックしてみてくださいね。
情報は2006年アメリカの研究論文(※1)、2015年発行の書籍「アントシアニンと食品」(※2)から引用しています。
ジャムやジュースで「ブラックチョークベリー(アロニア)」(1480mg/100g ※1)
日本では、北海道や東北で栽培されているようです。生の果実には渋み・苦味があるため、ジャムやジュースのような加工食品にするのが一般的です。
フルーツソースやシロップに「エルダーベリー」(1375mg/100g ※1)
エルダーベリーも酸味が強く、ジャムやフルーツソース、シロップなどの食品に加工されることが多い果物です。日本では長野県などで栽培されているようです。
サプリメントなどでおなじみ「ビルベリー」(約1000mg/100g ※2)
サプリメントの原材料として知られるビルベリー。北欧生まれなので、地域によっては日本では栽培が難しいようです。日本ではジャムやジュース、サプリメントで見かけることが多いようです。
生でも美味しい「ワイルドブルーベリー」(486.5mg/100g ※1)
ワイルドブルーベリーは、野生種のブルーベリーです。栽培しやすいように改良された栽培種より小ぶりの実ですが、甘みがあり、生でも美味しく食べることができます。
リキュールとしても人気「カシス」(476mg/100g ※1)
ブラックカラント、黒スグリとも呼ばれています。傷みやすいため、生のままではなくドライカシスやジャムなどの加工食品にして流通することが多いようです。リキュールとしても人気ですね。
甘酸っぱい味がたまらない「いちご」(21.2mg/100g ※1)
いちごの赤い色は、実はアントシアニン由来の色です。100gあたりのアントシアニン含有量は21.2mg。標準的ないちごの大きさは1個約20gなので、10個ほど食べればアントシアニンの1日の摂取目安量を満たすことができそうですね。
アントシアニン:食べ物(食材)含有量「野菜編」
「野菜編」でもどんな食べ物にアントシアニンが多く含まれるか、食材として野菜を中心に100g中に含まれるアントシアニン量もあわせて紹介。こちらも同じ調査条件ではないので比較しづらくなっていますが、参考数値としてチェックしてみてくださいね。
情報は、果物編と同じく、2006年アメリカの研究論文(※1)と、2015年発行の書籍「アントシアニンと食品」(※2)から引用しています。
さっぱりドリンクにして楽しんで!「赤ジソ」(420mg/100g ※2)
初夏が旬の赤ジソ。梅干しなどの漬物に使うほか、ジュースやシロップにすると爽やかな味が楽しめるおいしい飲み物になりますね。
焼いたり蒸したりして楽しめる「アヤムラサキ(紫芋)」(369.1mg/100g ※2)
彩りの良さから、そのまま食べるのはもちろんお菓子などにもよく使われる紫芋。1本約250gで、煮物だと一人分が約60g。煮物にすると約221mgもアントシアニンが摂れますね。
マリネにするとたっぷり食べられる「紫キャベツ」(322mg/100g ※1)
赤紫色がきれいな紫キャベツ。赤キャベツとも呼ばれますね。アントシアニンは酸性になると赤色になる性質があるため、酢漬けやマリネにすると目にも鮮やかな一品に。マリネにすると1人分は約75gなので、約241mgのアントシアニンを摂ることができます。
煮物に大活躍!「インゲンマメ(乾燥)」(~100mg/100g ※2)
乾燥させたインゲンマメは保存もきき、水で戻して煮豆やスパイシーなチリコンカン、スープなどさまざまな料理に利用できる便利な食材です。品種によって含有量は大きく異なるのですが、最大で100gあたり100mgのアントシアニンを含みます。煮豆にした場合、一人分のインゲンマメの必要量は30~50gです。
皮ごと美味しくいただくのがポイント「なす」(85.7mg/100g ※1)
アントシアニンは水溶性なので、アク抜きのためになすを長く水につけているとせっかくの成分が水に溶け出してしまいます。調理する直前に切ってすぐ加熱することがポイント。1人1本おひたしに使った場合、なすの重さは1本約80g。約68mgのアントシアニンを摂ることができます。
サラダに混ぜて彩り豊かに「紫玉ねぎ」(48.5mg/100g ※1)
赤玉ねぎ、レッドオニオンとも呼ばれる赤紫の玉ねぎです。スライスしてサラダにしたり、ピクルス液につけてピクルスにすると鮮やかな色が楽しめます。玉ねぎサラダに使う玉ねぎの分量は1人分約25gなので、約12mgのアントシアニンが摂取できることになります。
おせち料理の定番「黒豆」(44.5mg/100g ※1)
おせち料理の定番料理、黒豆にもアントシアニンは含まれます。鉄鍋を使ったり鉄釘を入れたりなどして、鉄分を一緒に煮込むと、黒豆の色があせることなく作ることができます。小鉢1杯の黒豆煮は約60gなので、約26mgのアントシアニンが摂れる計算になります。
アントシアニンを含む飲み物にはどんなものがあるの?
アントシアニンを含んだ果物や野菜を使った飲み物を飲めば、手軽にアントシアニンを摂ることができるので、いくつかご紹介します。
なお、飲み物に含まれるアントシアニンの量は、どんな果物や野菜をどれだけ使ったかによって変わります。実際に作るときは、使用する食材とその量からアントシアニンの含有量を算出してください。
フレッシュジュース
生の野菜や果物から作るフレッシュジュース。材料と水をミキサーにかけて作る方法や、鍋にかけて煮て煮汁をこして作る方法などがあります。ブルーベリーやぶどうのアントシアニンは皮に多く含まれているので、皮ごとミキサーにかけると良いでしょう。
シロップ
赤ジソはシロップにしておくと、水やソーダで割ってさまざまなアレンジドリンクが楽しめます。いちごでシロップを作ると、飲み物としてはもちろん、夏はかき氷シロップとしても楽しめますよ。
スムージー、ヨーグルトドリンク
ブルーベリー、カシス、いちごなどは、スムージーの材料としても人気の果物です。スムージーの作り方は、材料と牛乳を一緒にミキサーにかけて作るだけ。牛乳の代わりにヨーグルトと一緒にミキサーにかけると、さっぱりしたヨーグルトドリンクができあがります。
サワードリンク
果物を酢につけて作った果実酢をソーダで割れば、サワードリンクができあがります。市販のブルーベリー酢やカシス酢などを使うと、より手軽に楽しめますね。
リキュール
カシスなどはリキュールとしても利用されていますね。アルコールが飲める人であれば、炭酸飲料やソーダ、牛乳などで割ってカクテルとして飲んでみてはいかがでしょうか。
サプリメントや機能性表示食品も上手に使おう!
アントシアニンを含む果物や野菜の中には、日本での栽培が少ないものや、季節によって手に入りにくいものもあります。また、生の果物や野菜を継続して摂取するのは難しいこともあるでしょう。
さらに、アントシアニンには熱や光に弱く、減少しやすいという特徴もあります。そのため、栄養士である筆者の考えとしては、毎日安定した量のアントシアニンを摂りたい場合、サプリメントや機能性表示食品の利用もいいのではと考えています。
アントシアニンのサプリメントや機能性表示食品でおすすめなのは、ビルベリー由来のアントシアニンを使っているものです。
アントシアニンには約500もの種類があるといわれています。ビルベリーには15種類のアントシアニンが含まれています。種類が多いだけでなく、量も豊富です。さらに、含まれているアントシアニンの中には、特に抗酸化力が高いものも含まれています。
含まれるアントシアニンの種類と量が豊富で、抗酸化力が高いものも含まれていること。これが、ビルベリー由来のアントシアニンが使われているサプリメント、機能性表示食品をおすすめする理由です。
目の疲れが気になるときは、アントシアニンが摂れる食材を活用して!
アントシアニンが摂れる食べ物について、「果物編」「野菜編」「飲み物」に分けて紹介してみましたが、摂取しやすいものはありましたか?
アントシアニンは主にビルベリーやブルーベリーなどのベリー類や、紫色の野菜に含まれていることが分かりましたね。そのまま食べるだけでなく、ドリンクやサプリメントなども組み合わせると、継続的に摂取することができそうです。
目の疲れが気になるときは、アントシアニンを上手に摂り入れられる食材やサプリメントを活用してみてはいかがでしょうか。
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※本サイトで紹介した各食材の栄養素含有量の比較はあくまでも一般的な品種などによる参考値であり、品種や保存方法などにより大きく異なることがあります。
※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。
【参考】
※1 : Concentrations of anthocyanins in common foods in the United States and estimation of normal consumption.
※2 : 筆頭著者津久井亜紀夫ほか,アントシアニンと食品,2015,
【画像】
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