文字の
サイズ

目に良い食べ物・栄養素と調理法

ブルーベリー成分の健康効果や効能とは?研究情報もまじえて紹介

ブルーベリーは果物の一種ですが、生で販売される時季が限られるためジャムとしてチーズケーキやヨーグルトに添えたり、パンケーキの生地に混ぜたり、加工して食べるイメージが強いかもしれません。しかし、最近はスーパーやコンビニで冷凍果実を見かけることが多くなったので、手に入りやすい果実の一つかもしれません。

ブルーベリーは目のサプリメントの原材料に使われたり、その栄養成分から「健康や美容にも良いのではないか?」といわれています。

そこで今回は、ブルーベリーにどんな栄養素が含まれているのか、目に効果があるといわれる理由は何か、健康や美容に良いといわれる理由は何かなど、これまでの研究成果やエビデンス(科学的根拠)を紹介していきます。

ブルーベリーに含まれる主な栄養素とその効果効能とは

ブルーベリーにはさまざまな栄養素が含まれていますが、その中でも注目の3つを紹介します。

1.アントシアニン

ブルーベリーが目や健康への効果があると注目される一番の理由はアントシアニンにあります。アントシアニンには強い抗酸化作用があることが知られています。抗酸化作用とは、活性酸素を除去する働きのことです。活性酸素が体内で大量に生成されると、免疫機能の低下やアルツハイマー、がんなどの病気の発症に関与するといわれていて、このアントシアニンの抗酸化作用がこれらの病気の予防につながるのではないかと注目されています。

2.ビタミンE

ビタミンEは抗酸化ビタミンとして知られていて、活性酸素の働きを抑える効能があるとされています。活性酸素が過剰な状態のことを酸化ストレスといいますが、ビタミンEの抗酸化作用により酸化ストレスから体を守ることは、これらのストレスが原因となる病気の予防につながるといわれています。

3.食物繊維

イチゴやバナナなど他の果物と比べて、ブルーベリーには多くの食物繊維が含まれています。食物繊維の摂取を通して便通を整えるという効能があり、便秘の予防をはじめとした整腸効果があります。また、食物繊維には脂質や糖などを体の外に排出する役割があるため、脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病の予防や改善にも効果が期待されています。

ただし、いずれの作用もブルーベリーのみの摂取では、十分な効果が期待できないので、他の食品を組み合わせてバランスの良い食事を心がけましょう。

ブルーベリーにアントシアニンが含まれていることは知っていたけれど、食物繊維が豊富なんて知らなかった…という方もいるかもしれませんね。では次は「ブルーベリーの目の健康効果」について、一つずつみていきましょう。

ブルーベリーは目に良い効果があるの?ないの?

ブルーベリーとメガネの写真

ブルーベリーが目に良いかどうかの研究は、1960年代から進められており、すでに60年近く行われています。この研究でよく議論されているのは、「ブルーベリーに含まれるアントシアニンは目に深く関わっている成分だ」ということ。

なぜ目に深く関わっているのかというと、アントシアニンとロドプシンの関係が示されているからなのです。

人は網膜にあるロドプシンが分解と再合成を繰り返すことによって、光の情報を電気信号に変えてものを見ています。そのロドプシンの再合成の促進を手伝ってくれるのがアントシアニンだといわれています。

アントシアニンの研究の特徴として、ブルーベリーは栽培種、自生種を含め150種類以上あり、その中でも群を抜いてアントシアニン量が豊富なのがビルベリーという品種であるため、「アントシアニンと目の研究」はビルベリーエキスを中心に行われている事が多いという点もあげられます。

ビルベリーエキスによる研究で、アントシアニンが、目の病気の予防やトラブルの抑制に関与するといった研究結果が数多く発表されています。

▼ブルーベリーと目の研究について知りたい方は、こちらもご覧ください。
ブルーベリーが目に効果がある・効果ない?嘘か本当か、根拠はあるのか検証してみた

ブルーベリーが目の疲れに効果があるというのはホントなの?

ブルーベリーが目の疲れに効果があるかどうかについても、ビルベリーエキスによる研究が進んでいます。特に2015年4月より始まった「機能性表示食品制度(※1)」により、多くの企業が研究に乗り出したという経緯があります。

その中には、ビルベリーエキスを毎日摂取することで、疲れ目に影響するピント調節力の低下を抑制したと報告した研究(※2)や、ビルベリーエキスを毎日摂取することにより、VDT作業(パソコンなどによるデジタル機器を使った作業)の負荷が原因の眼精疲労の自覚症状が軽減されたと発表した研究(※3)などがあります。

実際、機能性表示食品として数多くの「ブルーベリー関連のサプリメント」が販売されています。ある製品のパッケージには「目の疲労感を和らげる」と書かれており、「ビルベリー由来アントシアニンにはピント調節力を改善することで目の疲労感を和らげることが報告されています」と記載されています。

ブルーベリーが緑内障の予防に役立つ?

緑内障は、視神経が傷つくことによって視野が狭くなったり部分的に見えなくなったりする病気です。眼圧の上昇以外にも、様々な理由で視神経に障害が出ることで緑内障のリスクが高まるといわれています。

そのため視神経障害を軽減させることが、緑内障の予防につながるのではないかという観点から、アントシアニンの豊富なビルベリーで次のような研究が行われました。マウスにビルベリーエキスを経口摂取させ視神経を圧迫したところ、細胞のダメージを軽減し、網膜神経節細胞の保護に寄与したと報告されています。

2007年の厚生労働省の調べによると、緑内障は日本において失明原因の1位を占めている病気です。アントシアニンによる緑内障の予防に関しては、今後のさらなる研究を期待したいところです。

ブルーベリーは白内障にも効果があるの?

白内障は、一般的によく知られている高齢者がなりやすい目の病気です。酸化ストレスなどによりたんぱく質が凝集して水晶体が濁ることで、ものが見えづらくなったり視力が低下したりします。

そのため予防するには日常的な酸化ストレスに対するケアを行うことが必要だといわれています。ケアの1つとしては、アントシアニンをはじめとする抗酸化物質を積極的に摂ると良いといわれており、食生活に注意することも大切です。

また、アントシアニンが白内障の原因である「たんぱく質の凝集を防ぐ」という研究結果も、2015年に発表されています。その研究ではビルベリーエキスのアントシアニンが使用されましたが、こちらも緑内障同様、今後のさらなる究明が望まれます。

目だけじゃない!ブルーベリーの健康や美容への効果はある?

ブルーベリードリンクとバナナ

次はブルーベリーの健康や美容への効果についてお話しします。

動脈硬化の予防にも効果的?

ブルーベリーに含まれるビタミンEもアントシアニン同様、抗酸化作用があり、LDLコレステロールの酸化による動脈硬化の予防なども期待されているようです。ただ、そのためにビタミンEをどれだけ摂取すべきか、例えばブルーベリーをどれだけ食べればよいかという研究までには至っていません。

他にも、日常的なブルーベリー摂取と自発運動が動脈硬化症の危険因子に及ぼす効果について検証した論文が、2005年に日本栄養・食糧学会誌にて発表されました。現段階では、ブルーベリーに含まれるアントシアニンなどの抗酸化物質が作用した可能性があると考えられるものの、詳しい理由までは分かっていないようです。

このように、ブルーベリーが動脈硬化を予防するという点については、まだ不明な点が多いものの、効果を期待できる可能性は今後高まっていくかもしれませんね。

糖尿病の発症リスクについても研究が始まっている

糖尿病とブルーベリーについては、世界でもさまざまな研究が行われています。

米国・ハーバード大学公衆衛生学部のIsao Muraki氏らが行った研究では、個別の果物の摂取と2型糖尿病リスクの関連性を検証し、ブルーベリーを含む3種類の果物の摂取が2型糖尿病の発症リスク低下と相関があったと発表しました。この研究では、ジュースでの果物摂取ではリスクが高くなることも示していました。

また、モントリオール大学のPierre S. Haddad教授による、北米産のローブッシュ・ブルーベリーの果汁が糖尿病の発症を抑える効果があるということを示唆した研究もあるようです。

糖尿病は慢性的に続くと合併症を引き起こすこともある病気です。この分野の研究がさらに進むことを期待したいですね。

美肌を保つためにもブルーベリーが効果的ってホント?

美容の世界では、体内で酸化が進行すると、しみ・しわ・たるみなどの肌の老化につながると考えられていて、「抗酸化作用」が注目されています。

ブルーベリーには、アントシアニンとビタミンEなどの抗酸化物質が含まれています。抗酸化物質は活性酸素の働きを抑えるので、これらの分野における今後の研究なども期待したいところです。

ブルーベリーはダイエットも助けてくれる?

ブルーベリーに含まれる食物繊維は便通を整えてくれます。ダイエット中は食事の量が減ったり、繊維不足や水分不足で便秘に悩む人も多いといわれています。

ダイエット中に便秘で悩むようであれば、バランスのとれた健康的な食生活のなかに、食物繊維も豊富なブルーベリーを取り入れるのもいいのではないでしょうか。

目だけじゃないブルーベリーの効果は今後の研究に期待

ブルーベリーは目だけでなく、健康や美容のために摂取する人もいると思いますが、その理由はブルーベリーに含まれる栄養素にあるようですね。

多岐にわたるブルーベリーの効果効能は、まだ解明途中のものもありますが、研究が進み、さらなるブルーベリーの活用が広がることを願いたいと思います。

2019年7月29日の記事を更新しました。

■「ブルーベリー」が気になる方はこちらもチェック
ブルーベリーが目に効果があるのは噓か本当か?根拠があるのか検証してみた!

■「ビルベリー」が気になる方はこちらもチェック
ビルベリーエキスがパソコン作業時の目の疲労感を抑えてくれるってホントなのか?3つの研究論文から解説

 

 

※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【参考】
※1 : 消費者庁|機能性表示食品とは
※2 :Matsunaga N, Imai S, Inokuchi Y, Shimazawa M, Yokota S, Araki Y, Hara H.Bilberry and its main constituents have neuroprotective effects against retinalneuronal damage in vitro and in vivo. Mol Nutr Food Res. ;53(7):869-77.2009.
※3 : Matsunaga N, Chikaraishi Y, Shimazawa M, Yokota S, Hara H.Vaccinium myrtillus (Bilberry) Extracts Reduce Angiogenesis In Vitro and In Vivo.Evid Based Complement Alternat Med. 2007.

【画像】
Trong Nguyen,Nataria Van Doninck,Amguy / Shutterstock

この記事を書いた人

大江 絵美

薬学博士

岐阜薬科大学薬効解析学研究室に4年間出向し、目のことやビルベリーの健康効果の研究を行ってきました。目のこと、サプリメントの素材についての研究や調査をもとにした情報発信を行っています。

こちらの記事もおすすめ