新型コロナウイルスの流行や、超高齢社会が進むことによる様々な健康の不安から、年々健康意識は高まっています。そんな中、近年アメリカではブルーベリーがその栄養価の高さからスーパーフードとして位置づけられ、様々な面で健康効果に関する研究が進められていることをご存じでしょうか。
日本では「目に良い」食材としてイメージを持たれている方が多いかと思いますが、その健康効果は本物なのか、実際にどういった効果があるのかを実際の研究結果をまじえて紹介していきます。
スーパーフードの定義とは
スーパーフードとは、アメリカやカナダで食事療法を研究する医師や専門家の間で1980年頃から有効成分を多く含む食品に対して使われ始めた言葉だといわれています。
2004年にアメリカの医師であるスティーブン・プラットが出版した『スーパーフード処方箋~あなたの人生を変える14の食品』によると、スーパーフードとは「健康によい栄養分を豊富に含みながら、多くは低カロリーである食品」だと定義されています。
また、ロー・リビングフード(生きた酵素を含む生の野菜や果物など)のカリスマといわれるデイヴィッド・ウォルフが2009年に発刊した『スーパーフード』という本では、「単に栄養面ですぐれているというだけでなく、ある特定の有効成分の含有量が飛び抜けて高いもの、ごく少量で栄養・健康成分を効率的にとれるもの」という見解が述べられています。
このようにスーパーフードとは、具体的な食品分類上の定義があるわけではありませんが、広く「一般的な食品よりも必須栄養素や健康成分を多く含む、主に植物由来の食品」という認識のもと、スーパーフード発祥の地アメリカでは多くの健康効果を期待できる食品として研究が進められています。
ブルーベリーに含まれる栄養素
ブルーベリーには目の正常な働きをサポートしてくれるポリフェノールの一種である「アントシアニン」という成分が含まれています。ブルーベリーが目に良いといわれる理由はここにあるのです。
アントシアニンは植物が強い日差しから身を守るための青紫色の天然色素で、一般的なブルーベリーでは見た目の通り果実の皮に多く含まれています。しかし、果皮以外にもアントシアニンを多く含む種類のブルーベリーも存在しています。
夏になると一日中太陽が沈まない「白夜」という現象が見られる北欧に自生するブルーベリーの一種「ビルベリー」は、実の中までしっかり紫色で非常に多くのアントシアニンを含んでいます。
また、アントシアニンは体のサビつきを防ぐ強い抗酸化作用も持っています。
さらに、ブルーベリーはベリー系の果実の中でもミネラルの一種である亜鉛を多く含んでいます。亜鉛が不足すると、皮膚炎や味覚障害が起こったり、免疫機能が低下しウイルスや細菌に感染しやすくなります。特に新型コロナウイルスが気になる現在では摂取しておきたい成分だといえます。
また、様々な代謝に関与するミネラルの一種であるマンガンや、抗酸化効果の高いビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類も多く含まれています。
目に関する健康効果
目の疲労感の軽減
ビルベリー由来アントシアニンを摂取した後、目の疲労感に変化があるのかを調査した研究では、24人の日本人を対象にビルベリー由来アントシアニン40mgを含む食品またはプラセボ(有効成分を含まない)食品を4週間摂取した後、目の疲労感のVASアンケート(※1)にて評価しています。その結果、ビルベリー由来アントシアニンを摂取した人の方が、目の疲労感が和らいだことがわかりました[1]。
(※1)例:痛みのアンケートの場合
100mmの線の左端を「痛みなし」、右端を「最悪の痛み」とした場合、患者の痛みの程度を表すところに印を入れてもらうものである。
ピント調整力の改善
ビルベリー由来アントシアニンを含む食品を摂取した後、スマートフォン作業後のピント調整力に変化があるのかを調査した研究においても改善効果が見られました。調査の方法は、24人の日本人を対象にビルベリー由来アントシアニン40mgを含む食品、またはプラセボ食品を4週間摂取した後、スマートフォン作業後に10分間休息した際のHFC-1測定(※2)をするというものです。この研究の結果、ビルベリー由来アントシアニンを摂取した人のピント調整力が改善されました[1]。
(※2)機械により目の疲労感と関係のある毛様体筋の緊張状態を測る
その他の健康効果
便秘対策
ブルーベリーには100gあたり約3.3gの食物繊維が含まれています。食物繊維には水溶性と不溶性のものがありますが、ブルーベリーには便のかさを増す働きがある不溶性食物繊維が多く含まれているため、大腸を刺激して排便を促すといわれています。
老化対策
前述した通り、ブルーベリーにはアントシアニンやビタミンCなどの抗酸化作用のある成分が含まれています。老化の原因となる活性酸素はこれらの抗酸化作用のある成分によって除去されるため、ブルーベリーには老化を防ぐ効果が期待できます。
しかし、活性酸素は生活習慣の乱れや喫煙、過度な飲酒、ストレスなどが原因で増えるといわれています。老化対策には抗酸化作用を持つ食物で対策することも大切ですが、まずは自身の生活習慣を見直すことが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ブルーベリーが豊富な栄養素を含み、様々な健康効果が期待できるスーパーフードであるということが実際の研究結果からもわかりました。
しかし、これらの健康効果が期待できるほどの分量を毎日ブルーベリーの果実のみから摂取することは難しいかもしれません。他の食材やサプリメントなどを併用して、効率良く摂取していくことをおすすめします。
※本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。
【参考】
1.小齊平 麻里衣,他.薬理と治療,Vol.43 no.9 2015より
・「ブルーベリーの栄養と効果について解説!亜鉛が豊富!」オリーブオイルをひとまわしHP
・「低亜鉛血症:亜鉛が不足すると」ノーベルファーマ―株式会社HP
・「スーパーフードとは」一般社団法人 日本スーパーフード協会HP
・「ブルーベリーにはどんな効果がある?管理栄養士が栄養を活かすレシピを紹介」macaroniHP
【画像】Shutterstock/photoAC