見る力を高める「ビジョントレーニング」。テレビで見たり聞いたりしたことはあるけど、何をすればいいのか分からない、やり方が合っているか不安で…という方がいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、「ビジョントレーニングをやってみたいけど方法が分からない」という方に、基本的なビジョントレーニングの方法5種類を紹介します。
【ビジョントレーニング注意事項】
・眼に病気がある方、また気になる方は、眼科を受診してビジョントレーニングを行うことが可能かどうか医師に確認してください。
・遠視、近視、乱視などがありメガネなどで矯正する必要がある場合は、矯正を行ってからトレーニングを始めてください。
・トレーニング中に眼の痛みを感じた場合はトレーニングを中止して、眼科を受診してください。
目次
ビジョントレーニングを行う前に:1日5分で十分。やりすぎず毎日習慣づけることがポイント!
ビジョントレーニングをする時間は、1日5分程度でも効果があるといわれています。やりすぎもよくないので、長くても5〜15分程度を目安にしてください。
ビジョントレーニングで大切なことは、毎日コツコツ続けることです。すきま時間などを使って、楽しく無理なく続けることができるようにしてください。体を動かすトレーニングを行う場合は、怪我をすることなどないように十分気をつけて行ってください。
また、自分に合ったレベルのトレーニングを行うことも必要です。難しいと感じた場合はレベルを下げたり、別のトレーニング方法に変えたりしてもいいでしょう。
ビジョントレーニングを行う前に:準備運動をしよう!
ビジョントレーニングを行う前に、簡単な準備運動をすることをおすすめします。
紹介する準備運動は、「準備」とはいえ十分に目の運動になる内容です。ビジョントレーニングを始めたばかりの人や、忙しくてなかなか時間が取れないという人は、この準備運動だけを行っても目の運動にはよいでしょう。
ビジョントレーニング体操
準備運動としておすすめなのが、米国オプトメトリストの北出先生が監修されているビジョントレーニング体操です。
両手にペンを持ち、動画に合わせてペン先を交互に見るなどの運動を行います。ポイントは、頭は動かさず、目だけを動かすことです。ペンの代わりに親指を立てて爪を見るようにしてもいいですよ。
▼ビジョントレーニングの準備体操になる「メノコト体操」も参考にしてみてください。
Let’sチャレンジ!目を守る「メノコト体操」
小さな子どもから大人の方までできる体操ですよ。
それでは、基本的なビジョントレーニングの方法5種類を具体的に見ていきましょう。
追従性眼球運動トレーニング
【基本のやり方】
ぐねぐね曲がった線をゆっくり眼と手を使ってなぞるなどのトレーニングを行います。1点だけを眼でじっと見ることも、速度ゼロの追従性眼球運動トレーニングと呼ばれています。
【何のためのトレーニング?】
視線を正しい位置に維持し、正確に眼だけを動かして対象物を見失わないようにするためのトレーニングです。
【こんな人におすすめ!】
・本を読むときに行や字を読み飛ばしてしまう人
・文字をきれいに書けない人
・ハサミを使った作業や折り紙など、細かな手作業が苦手な人
【トレーニング例】
線を眼でたどる「線めいろ」や、線を手や鉛筆などを使ってなぞる「線なぞり」があります。
▼初めて「線めいろ」を試してみたい方はこちら
ビジョントレーニング追従性眼球運動初級「線めいろ-同じマークを目でつなごう-」
跳躍性眼球運動トレーニング
【基本のやり方】
まずは、ある1点から別の1点まで、視線を素早く動かすトレーニングを行います。慣れてきたら、ランダムに書かれた数字や文字を探すなどのトレーニングを行います。
【何のためのトレーニング?】
人混みの中から人を探すなど、多くのものの中から、早く、正確に自分が求めている視覚情報を得るためのトレーニングです。
【こんな人におすすめ!】
・本を読むとき、言葉や行を読み飛ばす
・黒板やホワイトボードなどの文字を写すのが遅いもしくは苦手な人
・球技が苦手な人
【トレーニング例】
跳躍性眼球運動トレーニングには、自分の両手の指先を交互に見る「指先を見るトレーニング」、ランダムに書かれた数字や文字を読む「目のジャンプ」「文字探し」「ランダム読み」などのトレーニングがあります。
▼初めて「数字さがし」を試してみたい方はこちら
ビジョントレーニング跳躍性眼球運動初級「数字さがし-丸に入る数字50を追ってみよう-」
▼初めて「文字さがし」を試してみたい方はこちら
ビジョントレーニング跳躍性眼球運動初級「ひらがな表-声に出して読もう-」
両眼のチームワークトレーニング
【基本のやり方】
両眼を寄せたり離したりを繰り返すトレーニングです。慣れてきたら、寄り眼と離し眼を繰り返して、平面に書かれた絵や記号を立体的に見るようなトレーニングも行います。
【何のためのトレーニング?】
両目の焦点を素早く合わせ、距離感や立体感をつかみやすくします。
【こんな人におすすめ!】
・ものが二重に見える人
・眼が疲れやすい人
・よくものにぶつかる人
【トレーニング例】
両目のチームワークトレーニングには、「寄り目の練習」や、二重丸の内側の円が飛び出して、あるいは奥に引っ込んで見えるように見る方法を練習する「3Dビジョン」があります。
視空間認知トレーニング
【基本のやり方】
見本を見て、触れて、再現するトレーニングです。慣れてきたら、形を記憶し、記憶した形を再現するトレーニングも行います。
【何のためのトレーニング?】
形のあるものを見て映像を脳に送る際に、図や形として正しく認識するためのトレーニング。
【こんな人におすすめ!】
・探しものが苦手
・よく物をなくす
・お絵かきや図形の問題が苦手
・人や物によくぶつかる
・字や人の顔を覚えるのが苦手
【トレーニング例】
見本と同じ形をつくる「テングラム・パズル」や「ジオボード」「点つなぎ」などがあります。
眼と体のチームワークトレーニング
【基本のやり方】
お手本となる図や人の動きに合わせ体を動かすトレーニングです。自分の体の各部分の大きさなどを意識しながら体を動かします。
【何のためのトレーニング?】
眼と体を連動させ、適切に体を動かすことを目指します。
【こんな人におすすめ!】
・文字をきれいに書けない人
・球技やダンスが苦手な人
・手先が不器用な人
【トレーニング例】
トレーナーのポーズの真似をするトレーニングのほか、図に描かれた矢印の方向を声に出し両手をその方向に動かす「矢印体操」、お手本の人型と同じポーズを取る「まねっこ体操」などがあります。
▼初めて「まねっこ体操」を試したい方はこちら
ビジョントレーニング眼と体のチームワーク初級「グー・チョキ・パーのトレーニング-同じ形がだせるかな-」
まとめ
基本となる5種類のビジョントレーニング方法、いかがだったでしょう。実際にやってみないと分からないかもしれませんが、少しでもやり方をイメージしてもらえたでしょうか?
トレーニングの意味や何のための運動なのかが分かると、ビジョントレーニングをしっかり理解して行うことができます。5つの分類を軸に複数のトレーニングがあるので、自分に合ったレベル・内容の目の運動を選んで、ぜひいろいろとチャレンジしてみてくださいね。
■すべてのビジョントレーニングシリーズにチャレンジしたい方はこちら
・ビジョントレーニング無料プリント・ドリル教材
■「ビジョントレーニングのアプリ・本」が気になる方はこちらもチェック
・スマホやタブレットでビジョントレーニングはできるの?アプリやソフトの現状とは
・ビジョントレーニングのおすすめ本7選!ニーズに合わせて実践しやすい本を選ぼう!
■「ビジョントレーニングをもっと学びたい方」はこちらもチェック
・子どもから大人まで!事例から考える、ビジョントレーニングで期待できる効果
・発達が気になる子どもにビジョントレーニングが有効な理由を北出勝也先生に聞いてみた
■「子どもとビジョントレーニング」が気になる方はこちらもチェック
・始める年齢から具体的な方法まで!子どものビジョントレーニング入門
・発達が気になる子どものビジョントレーニング活用方法!発達障がいの子どもの事例
■「スポーツとビジョントレーニング」が気になる方はこちらもチェック
・さまざまなスポーツにビジョントレーニングが!アスリートたちの取り組み事例
・野球にもビジョントレーニング!選手たちはどう活用している?
※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。
【画像】
ビジョントレーニングシート:監修 北出勝也先生
TUBIRY.PHOTOGRAPHY,samritk / Shutterstock