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目を鍛えるトレーニング術

さまざまなスポーツにビジョントレーニングが!アスリートたちの取り組み事例

見る力を鍛えるビジョントレーニングを活用しているアスリートは少なくありません。たとえば2017年には、WBA世界ミドル級タイトルマッチで勝利したボクシングの村田諒太選手が、このトレーニングを行なっていることが話題になりました。

そこで今回は、ビジョントレーニングを取り入れているスポーツチームやアスリートを紹介します。

ビジョントレーニングはスポーツにどう役立つの?

ビジョントレーニングでは、目で見る力だけでなく、目から得た情報を脳で処理し適切に体を動かす力を鍛えることも目指します。

このトレーニングで鍛えられる目で見る力にも、いくつか種類があるとされています。代表的なものは、眼球運動やピント合わせでしょう。眼球運動やピント合わせの力を鍛えることができれば、ボールなどすばやく動くものをしっかり見続けることにつながります。

また、左右の目でバランスよくものを見る両眼のチームワークは、ボールの位置をより立体的にとらえるために必要とされています。

さらに、ビジョントレーニングを行うことで、周辺視野を広げる、つまり、より広い範囲を見る力も鍛えることが期待できるとされています。周辺視野が広がると、たとえばコートやフィールドの中でどこに誰がいるのかを瞬時に把握することができます。

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野球とビジョントレーニング

バッティングシーン

プロ野球では、読売ジャイアンツが球団全体でビジョントレーニングを取り入れていて、新人選手の自主トレーニング時や試合前などに行なっているようです。

また、女子プロ野球でも、京都フローラ、愛知ディオーネ、埼玉アストライアの3球団のほか、育成チームのレイアが取り入れているとのこと。

選手個人でも、ビジョントレーニングを取り入れているケースがあります。日本ハムファイターズの近藤選手や広島東洋カープの西川選手などが行なっていることが各種メディアでも報じられています。

▼野球でのビジョントレーニングの取り入れ方とは
野球にもビジョントレーニング!選手たちはどう活用している?

ボクシングとビジョントレーニング

ボクシングをする男性の写真

プロボクサーの村田諒太選手は、2017年のWBA世界ミドル級タイトルマッチに向けてビジョントレーニングを行なっていることが話題になりました。このときの報道では、このトレーニングを行うことで視力が上がったという話も出たのですが、村田選手本人はビジョントレーニングはあくまで「目の動かし方」のトレーニングであると語っています。

村田選手を指導した、元WBA世界スーパーフライ級チャンピオンの飯田覚士さんも、現役時代にビジョントレーニングを取り入れています。飯田さんは、トレーニングを始めて6ヵ月ほど経ったころ、対戦相手の動きがスローモーションのように見えるようになったと言います。

キックボクシングの炎出丸(ひでまる)選手は、2013年からビジョントレーニングに取り組んでいます。その様子は、炎出丸選手のSNSやブログなどでしばしば紹介されています。

サッカーとビジョントレーニング

サッカーをする男性

サッカーでは、アルゼンチンやタイ、バングラデシュなどの海外チームでプレーしている加藤友介選手が、自身のブログでビジョントレーニングを行なっている様子を紹介しています。

『スボーツのための速読ビジョントレーニング』(内藤貴雄著)では、早稲田大学などでプレーし、現在名古屋グランパスでU-12のコーチをしている竹谷昴祐(たけやこうすけ)さんの話が紹介されています。それによると、竹谷さんは、高校野球の監督であった父親の影響で中学2年生からビジョントレーニングを行なっていたそうです。

また、湘南ベルマーレでは、ゴールキーパーのトレーニングにビジョントレーニングを取り入れている様子がメディアで報じられています。

テニスとビジョントレーニング

テニスをする女性の写真

テニスには、動体視力や周辺視野、深視力などの見る力が必要です。これらの力を鍛えるために、ビジョントレーニングに取り組んでいる選手もいます。

日本を代表するテニスプレーヤーのひとりである錦織圭選手が学んだIMGアカデミーでは、そのカリキュラムに、ビジョントレーニングが取り入れられています。

また、ビジョントレーナーの小松佳弘さんは、目のトレーニングはジュニア世代から重要視していると言っています。

バスケットボールとビジョントレーニング

バスケットをする男性の写真

日本の男子プロバスケットボールリーグであるBリーグの千葉ジェッツふなばしの石井講祐選手は、自身のTwitterでビジョントレーニングに取り組んでいる様子を紹介しています。石井選手によると、北米の男子プロバスケットボールリーグNBAのチームや選手もトレーニングに取り入れているそうです。

さまざまなスポーツとビジョントレーニング

卓球をする女性の写真

このほかのスポーツで、ビジョントレーニングが活用されている事例をいくつか紹介します。

まずは、ソフトボール。2008年に開催された北京オリンピックでソフトボールの日本代表をつとめた狩野亜由美選手の話が、『スポーツのための速読ビジョントレーニング』にて紹介されています。狩野選手によると、日本代表チーム全員でビジョントレーニングを行なっていたそうです。

卓球界では、女子のナショナルチームのトレーニングコーチを務めたこともある新潟県北越高校の竹内聡さんが、ビジョントレーニングの一種である眼球運動を鍛えるトレーニングを取り入れているとのこと。さらに、スポーツと視野を専門とする石垣尚男愛知工業大学客員教授が、卓球女子ナショナルチームの選手に動体視力トレーニングの指導を行う様子が大学のホームページでも公開されています。

また、サッカー、バレーボール、バスケットボール、ハンドボール、ラグビー、ホッケー、アイスホッケー、ソフトボール、アメリカンフットボールの9つのトップリーグで構成されている日本トップリーグ機構では、視機能を鍛えるビジョントレーニングをすすめる内容のコラムを公式サイトに掲載しています。同機構では、選手だけでなく、審判などスポーツに関わる人も視機能を鍛えることが大切だとも提言しています。

まとめ

ビジョントレーニングは、スポーツを行うときに必要な動体視力、ピント合わせ、周辺視野などの見る力を鍛えます。日本のアスリートやスポーツチームも、見る力に注目し活用しています。活用しているスポーツは野球、サッカー、ボクシング、テニス、バスケットボールなどさまざまです。

スポーツをしている人、スポーツのパフォーマンス力をもっと上げたいと思っている人は、ビジョントレーニングを取り入れることを検討されてはいかがでしょうか。

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※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【ビジョントレーニング注意事項】
・眼に病気がある方、また気になる方は、眼科を受診してビジョントレーニングを行うことが可能かどうか医師に確認してください。
・遠視、近視、乱視などがありメガネなどで矯正する必要がある場合は、矯正を行ってからトレーニングを始めてください。
・トレーニング中に眼の痛みを感じた場合はトレーニングを中止して、眼科を受診してください。

【画像】
Tom Wang,m Taira,Creativa  Images,imtmphoto,RobinE,liza54500 / Shutterstock

この記事を書いた人

戸田 友里

わかさ生活プロアドバイザー。一人でも多くの人に目の健康に関する正しい情報を伝えたいと、Webや紙面で発信する活動を行っています。ビジョントレーニング指導者1級。

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