白内障は加齢によっておこる病気というイメージがありますが、実は加齢のほかにも様々な原因があります。
その原因の1つが紫外線であることをご存じでしょうか?
太陽から降り注ぐ紫外線が、白内障の原因となる可能性があるといわれているのです。
環境省の「紫外線環境保健マニュアル2015」でも白内障について危険因子として注意喚起されている(※1)ので、ちゃんとリスクを知っておく必要がありそうです。
若い人も、白内障は高齢になってからのものだと他人事と思わず、目に対する紫外線のリスクを学んでみましょう。
紫外線は白内障の危険因子の1つ?
白内障は目のレンズの役割を担う水晶体が濁り、見え方の質が低下する病気です。
白内障の主な原因としては加齢が知られていますが、環境省が発表している「紫外線環境保健マニュアル2015」(※1)ではその他の危険因子として、喫煙、糖尿病、強度近視、ステロイドなどの薬物の使用の有無などがあげられています。
実はその中に、紫外線(UV-B)も危険因子として含まれているのです。
紫外線は日常的に私たちに降り注いでいるものなので、白内障の原因になると聞くと「そんなに危険なものなの!?」と思うかもしれませんね。
日本人に多い皮質白内障は紫外線量の多い地域ほど発症率が高い!?
実際、紫外線と白内障の関係は、どれくらい明らかにされているのでしょうか。
「紫外線環境保健マニュアル2015」(※1)によると、日本人で最も多く見られる白内障のタイプである皮質白内障は、紫外線との関係が知られていると説明されています。
緯度が低く紫外線量が多い地域と緯度が高く紫外線量が少ない地域で、皮質白内障の有所見率を比較した調査結果がグラフで示されています。
北緯64度のレイキャビック(アイスランド)、北緯37度の門前町(石川県)、北緯28度の奄美(鹿児島県)、北緯18度の三亜(中国海南省)の4地域の住民を50代、60代、70代、80代以上といった年代別に比較しており、紫外線量の少ないレイキャビック(アイスランド)では各年代で皮質白内障の発症が相対的に少ないという結果が出ています。
また、紫外線が白内障に与える影響を日本だけでなく世界規模で考えると、「白内障で失明した人のうち20%が紫外線が原因と考えられている」ということを1989年に国連環境計画(UNEP)が報告しています。
このように、様々な調査で紫外線と白内障の関係が明らかになりつつあります。白内障の発症には複数の要因がありますが、危険因子の1つとして注意する必要がありそうですね。
白内障のリスクを下げるために、若いうちから紫外線対策を
白内障は高齢者の病気というイメージがありますが、加齢だけではなく、紫外線も1つの危険因子であることが分かってきているようですね。
白内障になるリスクを少しでも減らすために、「高齢者の病気である」という考えに捉われず、若いうちから紫外線対策を考えておくことが大切ではないでしょうか。
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【参考】
※1 : 紫外線環境保健マニュアル2015
【画像】
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