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目にまつわるお役立ちニュース

2050年、日本の経済損失は15兆円に?「近視」という静かなるパンデミック

現代社会において、視力の低下はもはや「個人の体質」や「不便さ」の問題だけでは済まされない段階に来ています。最新の予測では、2050年までに世界人口の約半分が近視になるとされており、日本国内だけでも年間15兆円規模の経済損失をもたらすという衝撃的な試算が出ています。

今、私たちの目には何が起きているのか。そして、この「視力危機」を回避するための処方箋はあるのでしょうか。

 

ただの視力低下じゃない!「近視」が現代の生活習慣病と呼ばれる理由


かつて近視は、単に「目が悪くなればメガネをかければいい」という認識で語られてきました。近視の多くは、眼球の前後方向の長さ(眼軸長)が伸びることでピントが合わなくなることで生じます。深刻なのは、一度伸びてしまった眼軸は元に戻らないという点です。これが進行して「強度近視」となれば、将来的に緑内障や白内障、さらには失明の危険がある合併症を引き起こすリスクが飛躍的に高まります。

 

深刻化する若年層の視力低下と25年後の予想図

文部科学省の長年にわたる調査(学校保健統計)の結果をたどると、子どもたちの視力の変化には驚かされます。1986年度には、視力が1.0に満たない小学生は約5人に1人(19%)でした。しかし、2025年度にはその割合は約4割にまで倍増し、高校生にいたってはなんと7割以上が視力低下に直面しています。
背景にあるのは、私たちの生活の劇的な変化です。スマートフォンやタブレットが学習・遊びの欠かせないパートナーになり、さらに近年の社会情勢で外遊びの時間が減り、家の中で過ごすスタイルが定着しました。近くをじっと見つめる時間が長くなったことで、子どもたちの瞳はかつてないほどの負担を抱えているのです。

 

25年後の日本を支えるために。今、私たちが変えられる未来

もしこのまま対策をせずに25年が経過し、2050年を迎えたとしたら——。その時、私たちの社会はどのような課題に直面する可能性があるのでしょうか。

高齢化が進む未来、強度の近視が原因で眼のトラブルを抱える方が増えると、医療機関が非常に混雑し、必要な時にすぐに受診できないといった不安が生じかねません。今のうちからケアを始めることは、将来の医療のゆとりを守ることにつながります。
また、視力のトラブルが深刻になると、ご本人だけでなく、支える家族の負担も大きくなります。「家族のケアのために仕事を休まざるを得ない」といった状況を防ぐためにも、現役世代のうちから「目の健康」を大切な資産として守っていく視点が欠かせません。

視力が安定していることは、仕事のパフォーマンスを支える基盤です。国全体で年間15兆円もの損失が出るという試算は、裏を返せば、私たちが目の健康を維持することで、それだけ多くの富と活力を社会に生み出し続けられるという希望の数字でもあるのです。

「矯正」から「予防」へ。2026年は日本の近視治療元年

これまで、悪くなった視力はメガネやコンタクトレンズで矯正するのが一般的でした。しかし現在、近視の進行そのものを抑える「予防」の技術が急速に進化しています。
特に2026年を境に、日本の治療環境は大きな転換点を迎えています。

1.保険適用の拡大

2025年に発売されたアトロピン点眼薬(近視抑制薬)の診察・検査費に保険が適用される方向となり、これまで年間6〜7万円かかっていた負担が大幅に軽減されます。

2.新技術の承認

国内で初めて、近視抑制効果を持つ使い捨てコンタクトレンズが医療機器として承認・発売されました。

3.オルソケラトロジーの普及

就寝時に特殊なレンズを装用して角膜の形を整える治療法など、自由診療の枠組みでも選択肢が広がっています。

すべての子どもたちに「見える喜び」を。広がる支援の輪


「見える」ということは、単に文字が読めるということではありません。それは学ぶ楽しさを知り、将来の夢に向かって突き進む力を支える、大切な「人生のインフラ」です。
現在、最新の近視抑制治療の多くは公的保険の対象外であることが多く、家庭の経済状況によって受けられるケアに差が出てしまうという課題があります。しかし今、視力低下を個人の問題ではなく、国全体で取り組むべき重要な課題として捉え直す動きが加速しています。
経済的な状況にかかわらず、すべての子どもたちが適切なメガネや最新の治療を選択できる社会へ。国を挙げた支援体制が整うことで、すべての子どもが等しくクリアな視界で未来を描ける、そんな真に豊かな社会の実現が期待されています。

かつては「遺伝だから」「仕形がない」と諦めていた視力低下も、今では最新の医療技術と、日々のちょっとした生活習慣の改善によって、未然に防いだり進行を遅らせたりできる時代です。25年後の日本を、視力低下による経済損失に悩む社会にするのか。それとも、世界をリードする「視力ケア先進国」として、誰もが生き生きと活躍する社会にするのか。その答えは、今この瞬間、私たちが「目」の健康を自分事として大切に想い、前向きな一歩を踏み出すことに隠されています。輝く未来をその瞳でしっかりと見守っていきましょう!

出典

日本経済新聞

 

 

 

 

 

この記事を書いた人

山本 エミ

Webライター、編集者。学生時代は両目視力2.0をもちながら、現在は左右の目の視力差が大きい「不同視(ガチャ目)」に悩む日々。現代病である疲れ目など、目の健康に役立つ記事を中心に執筆している。

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