ビジョントレーニングの「本」と一言で言っても、その内容は大人向けや発達が気になる子ども向け、スポーツ選手向けなどさまざまです。今回は、自分にとって最適なビジョントレーニングの本の選び方と、現在販売されている主な本を紹介します。
目次
本で学ぶことができるビジョントレーニングとはどんなもの?
ビジョントレーニングは、「視覚機能」つまり「見る力」を高めるためのトレーニングです。
ビジョントレーニングにおける「視覚機能」とは
1.対象をしっかり見て
2.見たものの情報を適切に処理し
3.それに合わせた反応をする
この一連の動作がすべて含まれています。
ビジョントレーニングの本の多くには、ビジョントレーニングのより詳しい説明、視覚機能の簡単なチェック方法、図や写真を使ったトレーニング方法の説明やトレーニングに使うワークシートなどが紹介されています。ワークシートが別冊になっている、追加ワークを専用ページからダウンロードできるなど、たっぷりトレーニングできる本もあります。
ビジョントレーニングの本の選び方
ビジョントレーニングの本を選ぶときのポイントをご紹介します。
1.自分のニーズにマッチしたものを選ぶ
ビジョントレーニングの本にはそれぞれ、対象としている読者や目的があります。自分がビジョントレーニングを行う目的にマッチした本を選ぶといいでしょう。
2.実践できるものを選ぶ
実践しやすいレベルのワークが紹介されているビジョントレーニングの本を選ぶのも、ポイントのひとつです。
小さな子どもにワークをさせたいのであれば、絵が分かりやすいワークシートの本を、スポーツをしている人であれば、体を使ったトレーニングが多いものを、というようにレベルに合わせて選ぶといいでしょう。
3.長く続けやすいものを選ぶ
紹介されているトレーニングの種類が多い、トレーニングの目的が説明されていてアレンジしやすい本を選べば、飽きることなくトレーニングを続けることができるでしょう。
みんなにおすすめ!ビジョントレーニング定番のおすすめ本4選
ビジョントレーニングを知りたい、試してみたいという人におすすめの、入門的な位置づけの書籍です。
学ぶことが大好きになるビジョントレーニング1(著:北出勝也 図書文化社 2009年発売)
【内容】
視機能についての説明、視機能チェックやトレーニング方法、ビジョントレーニングを導入した教育現場の実例や、眼球運動や視空間認知に問題を抱えている子どものために日常生活でできることなどが書かれています。トレーニンググッズの入手方法や読書用サポートページも紹介されています。
【トレーニングの種類】
・ウォーミングアップ
・追従性眼球運動
・跳躍性眼球運動
・両眼のチームワーク
・視空間認知
・ボディイメージ
以上6つのトレーニングが合計32種類紹介されています。
【対象】
子どもの療育にビジョントレーニングを取り入れようと考えている先生、指導者、保護者向けの書籍です。
学ぶことが大好きになるビジョントレーニング2(著:北出勝也 図書文化社 2012年発売)
【内容】
『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング1』の続編。視覚機能向上に対する取り組みや、実態調査、教育現場での実践例などが書かれています。視覚機能チェックやトレーニングの難易度は全体的に高め。特に、全身を使った運動系のトレーニングは『1』より多く掲載されています。読者専用のWebサポートページのURL、ソフト、トレーニンググッズ、視覚機能について相談できる機関も紹介されています。
【トレーニングの種類】
・追従性眼球運動
・跳躍性眼球運動
・両眼のチームワーク
・視空間認知
・ボディイメージ
以上5つのトレーニングに加え、これらのトレーニングの2つ以上を同時に行うことができる「複合トレーニング」も掲載されています。掲載されているトレーニングの数は、全部で28種類です。
【対象】
小学校高学年から中高校生を指導する指導者、保護者などに向いています。
おうちで簡単ビジョントレーニング(著:飯田覚士 ベースボールマガジン社 2016年発売)
【内容】
運動ができる、できないの違いは「見る力」にあり、子どもたちの「見る力」は年々低下している。そう感じている著者が、子どもたちの指導に使っている内容を中心に、体を使ったトレーニングを紹介しています。毎日行うべきトレーニング、3ヵ月プログラムなど期間を明確にしたトレーニング、著者コメントなどがあり、理解しやすい内容です。
【トレーニングの種類】
・「入力」機能を高める「眼球運動トレーニング」
・「情報処理」機能を高める「視空間認知トレーニング」
・「出力」機能を高める「眼と体のチームワークトレーニング」
の3つについてのトレーニングが合計49種類紹介されています。1ヵ月目、2ヵ月目、3ヵ月目とトレーニングする期間の目安、運動のねらいや効果も書かれています。
【対象】
小学生くらいの子どもを対象にした指導者、保護者に役立つ内容です。
ビジョントレーニングで脳力アップ(著:内藤貴雄 法研 2015年発売)
【内容】
視覚機能「見る力」の説明に本の半分近くが使われています。丁寧な説明で、読み進めるうちに自然とビジョントレーニングの必要性を理解することができます。近視・遠視、目の病気など視力が低下する要因についても説明されています。
【トレーニングの種類】
・ピント調節と眼球運動
・イメージ力を高める
・体を使ってビジョンを高める
・情報処理能力を高める
以上を目的とした51種類を掲載。イメージや記憶など「脳トレ」の要素を含んだトレーニングも紹介されています。小学生でもできる簡単なレベルから大人向けの高レベルなものまで幅広く含まれています。
【対象】
視覚機能についての説明が詳しく、指導者・保護者など大人が読み、活用するのに向いています。
子どもの発達促進におすすめ!ビジョントレーニングおすすめ本2選
子どもの発達を促すためにビジョントレーニングを活用したい人におすすめの本を紹介します。
発達の気になる子の学習、運動が楽しくなるビジョントレーニング(監修:北出勝也 ナツメ社 2015年発売)
【内容】
見えづらさによる困りごとを抱えている子どもの現状を細かく解説し、どんなトレーニングでどんな力が育つのか、グループや家庭で何ができるか、見る力を高める日常生活などを紹介しています。カリキュラム例、視覚機能の専門家がいる機関も紹介されています。ワークシートは別冊で用意されています。
【トレーニングの種類】
・追従性眼球運動
・跳躍性眼球運動
・両眼のチームワーク
・視空間認知
・眼と体のチームワーク
以上5つのトレーニング、合計32種類を、「遊びながらトレーニングできる」と「ワークシートで繰り返しトレーニングできる」に分けて掲載しています。大人と一緒にやるものも多く紹介されています。
【対象】
発達に問題を抱えている子ども、読み書き、運動、手先を使うことを苦手と感じている子どもとその保護者。
1日5分の眼の運動 [日めくり]子どもの「ビジョントレーニング」(著・監修:北出勝也 PHP研究所 2014年発売)
【内容】
毎日1つずつトレーニングができるよう、日めくり形式でトレーニングが紹介されています。
【トレーニングの種類】
・追従性眼球運動
・跳躍性眼球運動
・ボディイメージ
・視空間認知
・両眼のチームワーク
合計31種類紹介されています。
【対象】
トレーニング内容は簡単なレベルから少し複雑なものまで紹介されていて、保護者などの大人と一緒にトレーニングするのにも適しています。
スポーツで活かしたい人におすすめのビジョントレーニング本
ビジョントレーニングを毎日のトレーニングに取り入れたいアスリート向けの本です。
スポーツのための速読ビジョントレーニング(著:内藤貴雄 池田書店 2010年発売)
【内容】
運動能力と眼の関係の解説や、実際にビジョントレーニングを行っている選手の紹介記事が掲載されています。なぜスポーツにビジョントレーニングが必要なのかよく納得でき、読み応えもあります。各トレーニングには、トレーニングの目的、難易度、制限時間が書かれていて、トレーニング時の目安にしやすいのも特徴です。
【トレーニングの種類】
・眼球運動
・両目のチームワーク
・ピントあわせ
・周辺視野
・イメージ力
・レベルアップ
などのトレーニングのほか、身近なものを使ったトレーニングが合計で72種類紹介されています。小学生から大人まで、幅広いレベルの人がトレーニングできる内容です。
【対象】
運動を行っている大人はもちろん、運動をしている子の保護者や指導者向け。
まとめ
ビジョントレーニングで見る力を高めるためには、自分に合った本を選び、毎日トレーニングを続けることが大事です。ビジョントレーニングの本について、どんな本があるか、どんな著者がいるか、選び方のポイントなどを知っておくと、自分に合った本も選びやすくなります。ぜひ、実際に書店に足を運んで、あなたに合った1冊を見つけてください。
【ビジョントレーニング注意事項】
・眼に病気がある方、また気になる方は、眼科を受診してビジョントレーニングを行うことが可能かどうか医師に確認してください。
・遠視、近視、乱視などがありメガネなどで矯正する必要がある場合は、矯正を行ってからトレーニングを始めてください。
・トレーニング中に眼の痛みを感じた場合はトレーニングを中止して、眼科を受診してください。
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