最新の研究情報も!お薬専門家原英彰教授が眼底出血の症状や治療薬について解説

  • 原 英彰
  • 岐阜薬科大学教授

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眼底出血の画像

皆さんは、花粉などが原因で目が充血していた経験はありませんか?

充血などの見た目でわかる目の異変は、すぐに病院に行って検査してもらう人が多いと思います。しかし、なかなか気づかない目の異変もあります。その一つとして、「眼底出血」という症状があります。

眼底出血は目の中で起こっているため、見た目では分かりませんが、最悪の場合、視力が低下したり、出血した場所で視野が欠けるといった可能性もあります。

このような可能性が考えられる眼底出血は早期発見、早期治療が大切。そのためには、眼底出血という症状を理解することが重要だと筆者は考えています。

今回は、眼底出血がどうやって引き起こされるのか、眼底出血になるとどのように見えるのか、治療するにはどんな薬があるのかを薬学の専門家である筆者が解説します。さらに、今、どのような薬が求められ、どのような研究が進められているのかについても紹介しましょう。

眼底出血ってどんな症状?

眼底出血網膜の断面図

「眼底」とは、図1のように眼球の内面の奥の部分の総称で、光や色を感じる網膜や網膜に栄養を与えるための血管が存在している脈絡膜といった組織があります。「眼底出血」は、眼底にある網膜や脈絡膜の血管が傷ついたり詰まったりすることで出血することです。

最近患者が増えている糖尿病が原因の「糖尿病網膜症」、高血圧や動脈硬化が原因の「網膜静脈閉塞症」や加齢が原因の「加齢黄斑変性症」など、多くの眼の病気で現われる症状です 。出血した場合、痛みなど自覚症状がほとんどないため、自分で気づくことは難しい症状です。

眼底出血になるとどのように見えるの?

眼底出血後のものの見え方

気づきにくいといわれている眼底出血ですが、見え方に変化が現れます。実際どのように見えているのでしょうか。

①飛蚊症と類似したものの見え方 (図2-①)

ごみや虫のようなものがふわふわと飛んでいるようにみえる「飛蚊症」という症状と似ています。特に、黒い糸くずのようなものが多く見えるようになったと感じた場合、眼底出血が起こっている可能性が高くなります。「飛蚊症」と「眼底出血」の見分けは、自分で判断することは難しいです。普段とは違う見え方がすると思ったら、速やかに医療機関を受診しましょう。

②視野の一部が欠ける (図2-②)

出血した場所では視野が欠けて見えない部分が存在することがあります。たとえば網膜静脈閉塞症の症状としては、眼底出血が進行した場合、見えない部分が少しずつ増加し、最悪の場合失明に至る場合があります。

③物がゆがんで見える (図2-③)

物がゆがんで見える場合があります。たとえば網膜静脈閉塞症の症状としては、進行すると見えない部分が増えたり、ゆがみが大きくなり、やがて失明してしまいます。

日常生活で、ものの見え方に異常を感じた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

眼底出血を改善する治療薬は?

眼底出血の原因には、血管内皮増殖因子 (vascular endothelial growth factor: VEGF) が関わっているといわれています。このVEGFに対する抗体 (抗VEGF抗体:ある物質の働きを邪魔することで、その物質の作用を抑える物質) を目に注射することが、眼底出血を伴う眼の病気を治療する方法として挙げられます。

抗VEGF抗体には、マクジェン®、ルセンティス®、アイリーア®という3種類の薬があり、適応症や用法用量は若干異なりますが、いずれも目の中に注射するタイプのお薬です。

現在の薬の課題は?どういう薬が必要とされているの?

抗VEGF抗体はお薬が高いため経済的に負担となること、目の中に投与するため身体的に負担となること、お薬が効果を発揮しない可能性もあることなど課題があります。

したがって、

・より安価なもの

・経口投与や点眼投与など身体への負担が軽減されているもの

・VEGF以外に眼底出血に関わっている物質の作用を抑えることができるもの

などのお薬が求められています。

眼底出血の新たな薬はできる?最新の研究動向について

患者さんを対象とする研究は高額であり、リスクも高いことから、動物を使った研究が盛んに行われています。筆者の研究室では、ゼブラフィッシュ、マウス、マーモセット、カニクイザルなど様々な動物を使って、ヒトと同じような症状が現れる疾患動物モデルを作製し、病気がなぜ起こるのか、VEGF以外にどのような物質が関わっているのか、新しいお薬は効果はあるのかについて研究を行っています。

最新の研究では、糖尿病患者で高い値を示すヘモグロビンA1c (HbA1c) 値と眼底出血が起こる確率は相関しているとする研究結果も報告されており、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性症など各種眼疾患において眼底出血が発現する仕組みについて研究が盛んに行われ、新たな薬の開発を目指しています。

定期的な診察で眼底出血の早期発見へ

眼底出血のお薬にはまだまだ課題があり、研究が盛んに行われている分野です。これから新たな薬が開発されていくかもしれませんが、現状では治療するのに患者さんの負担が大きい症状だといえるでしょう。

そのため、やはり眼科検査が大切になります。日常生活では両目でものを見ているため、片方の目の異常に気付きにくい場合がありますが、定期的な診察は早期発見、早期治療につながります。自己判断せずに、異常を感じた場合は眼科医に相談しましょう。

 

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※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【画像】
Tefi / Shutterstock

この記事を書いた人

岐阜薬科大学教授

原 英彰

薬学博士。薬剤師。岐阜薬科大学副学長、薬効解析学教授。製薬企業の研究所で抗片頭痛薬、脳卒中治療薬、抗緑内障薬などの新薬の研究開発に従事。脳や目の病気の解明とその治療薬の研究、健康食品の研究などを行っている。

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