飛蚊症は薬で治らない?予防にサプリメント?お薬専門家原英彰教授が解説

  • 原 英彰
  • 岐阜薬科大学教授

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飛蚊症の見え方の写真

皆さんは、ある日突然、目の前に、虫のようなもの、雲のようなものや糸くずのような浮遊物が飛んでいるように見えたことはありませんか? 視界に蚊が飛んでいるように見えることから、これらの症状を「飛蚊症 (ひぶんしょう) 」といいます。

飛蚊症の中には「治療が必要ではない飛蚊症」と「重大な病気のサインである飛蚊症」があり、病気の早期発見のためにも飛蚊症について正しく理解しておくことが重要です。

飛蚊症には今のところ効果的な治療薬は存在しませんが、飛蚊症の原因を明らかにしてそれに対応することが必要だと筆者は考えています。

今回は、薬学の専門家である筆者が、サプリメントの話を交えつつ、飛蚊症の特徴について解説していきましょう。

飛蚊症ってどんな症状?

飛蚊症の見え方の違いの写真

飛蚊症は、ある日突然、モノを見ているときに、黒い点などゴミのようなふわふわしたものが見える目の症状です (図1)。色や形、大きさ、数はさまざまで、見る方向を変えてもふわふわしたものは一緒に動き、まばたきをしたり、目をこすったりしても消えません。症状が現れる年齢もさまざまで、20代から現れることもある、皆さんにとって身近なものです。

どうして飛蚊症になってしまうの?目の前のふわふわしたものの正体は?

目の中は、空っぽの状態ではなく、透明なゲル状の「硝子体」というもので満たされています。外から入ってきた光は角膜や水晶体という場所を通り、その後、硝子体を通って網膜まで達します。

実は、飛蚊症のふわふわしたものの正体は硝子体の中に生じた濁りのようなものです。この濁りが起こる原因には、加齢などの生理的なものがほとんどと言われていますが、たまに病的なものがあります。

生理的なものであれば特に治療は必要ないですが、病的なものであれば治療しないと視力に影響を及ぼす可能性があります。

治療が必要ではない飛蚊症って?症状が現れても経過観察してもよい飛蚊症の例を紹介しましょう。

下の2つのタイプでの飛蚊症の症状の場合、症状が進まなければ問題ないとされています。病院に行った場合でも、経過観察となることが多いです。しかし自己判断せずに、目に異常を感じた場合は眼科を受診してください。定期的に検査を受けることも大事です。また、ふわふわしたものが急激に多く見えるようになったら、早めに医療機関を受診してください。

① 生理的飛蚊症

硝子体に含まれている透明な線維性の物質は、年齢とともに線維同士がくっつき、硝子体が濁る原因となります。光の通り道である硝子体の中に不透明なものが存在し、網膜に写し出されることにより、ごみや虫のようなものが飛んでいるように見えるのです。

② 後部硝子体剥離

年齢とともに硝子体中の水分が減少し、硝子体が小さくなります。その結果、硝子体が網膜からはがれてしまい、はがれた硝子体の影が網膜に移ることにより、雲のような模様が見えるように感じます。

治療が必要な飛蚊症って? 飛蚊症の症状は目の病気のサインかも!

飛蚊症で治療が必要な硝子体の状態の図

一方で、飛蚊症の症状は、目の病気のサインの場合もあります。飛蚊症をともなう目の病気には下記のようなものがあげられます。このような病気が原因の場合もあるので、症状が出たら、自分で判断せずに眼科で検査を受けることをお勧めします。

① 網膜裂孔 (図2)

硝子体と網膜がはがれるとき、網膜の一部が引っ張られた場合、小さな穴や裂け目ができる病気を「網膜裂孔」といいます。

② 網膜剥離 (図2)

硝子体が網膜の裂け目から入りこむことにより起こる病気を「網膜剥離」といいます。眼の細胞の機能が急激に悪化し、視力が悪くなり、進行すると失明につながります。

最新の治療法は?ビトレオライシスってなあに?

飛蚊症について、「治療が必要ではないもの」と「重大な病気のサインであるもの」を紹介しましたが、もし症状が気になったら、自己判断せずに眼科できちんと検査するようにしましょう。治療が必要ではない場合、病院では経過観察することが一般的ですが、違和感を伴いながら生活するため、生活の質が低下するという問題があります。この問題点を解決する最新の治療法を紹介しましょう。

近年は、視界の質の向上のために、患者さんが希望した場合は、レーザー治療を受けることができます。それが、「ビトレオライシス」というレーザー治療法です。「ビトレオライシス」は、浮遊物による視界の妨げを解消できる、痛みを伴わないレーザー治療法です。治療1回あたりの時間は、約15〜20 分です。

治療が必要ない飛蚊症でも症状が出るのはイヤ!食生活改善とサプリメントで目の機能を維持しよう!

また、薬学の専門家である筆者は、普段の生活の中でできる「治療が必要ない飛蚊症」にならないためにできることの一つとして、「食生活改善」と「サプリメントの摂取」をおすすめしています。

飛蚊症の原因の一つとして、「目の老化」が考えられます。ヒトの網膜には、目の健康分野で注目されている「ルテイン」などの抗酸化作用を持った物質が存在していますが、加齢などで減少するといわれています。

これを防ぐために筆者が大事だと考えるのは、やはり健康的な食事。特に抗酸化作用のあるビタミンC、E、カロテノイドなどを含む緑黄色野菜をとることを心がけたいです。また、食事での摂取が困難な人は、サプリメントでの摂取をおすすめします。

若いうちから目の正常機能キープを心掛けましょう

飛蚊症は治療の必要がないものでも、日常生活を送るうえでわずらわしい症状。だからこそ、若いうちから目の健康を意識して目の正常機能をできる限り保ち続けたいものです。

飛蚊症の予防法としてサプリメントの摂取がよいということは、科学的には証明されていません。しかし、飛蚊症の要因の一つは目の老化であるといわれており、身体全体の健康維持のためには食生活の見直しが大切です。まずは、私たちが身近にできることから始めてみてはいかかでしょうか。

 

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※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【画像】
meyerandmeyer/ Shutterstock

この記事を書いた人

岐阜薬科大学教授

原 英彰

薬学博士。薬剤師。岐阜薬科大学副学長、薬効解析学教授。製薬企業の研究所で抗片頭痛薬、脳卒中治療薬、抗緑内障薬などの新薬の研究開発に従事。脳や目の病気の解明とその治療薬の研究、健康食品の研究などを行っている。

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