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目の症状や病気と予防・治療法

睡眠と光の関係を知って、目をいたわろう!

最近しっかり眠れていないなぁというときに、目が重く感じたり、しょぼついたり、充血したりといった症状を感じることはありませんか?

睡眠不足が続くと、ドライアイの原因になったり、目が充血したり、眼精疲労を引き起こしたりと、睡眠と目の健康には深い関わりがあることが示唆されています。

目の健康にとって大切な「睡眠」を良質なものにするには、光と上手に付き合うのが効果的だそう。そこで今回は「睡眠」と「光」の関係について紹介します。

睡眠に影響するといわれる「光」について

寝る前にブルーライトを浴びると、睡眠の質が悪くなるという話を聞いたことはありますか?

ブルーライトは、私たちの身の回りでは太陽光やLED照明灯に多く含まれています。そのため、LEDを使用しているパソコンやスマートフォンの画面にもブルーライトが多いといわれています。

アメリカ眼科学会は、夜間浴びるブルーライトは人間の体内時計のリズムを妨げ眠りにつくのを難しくしている可能性があるとの見解を述べていて、ブルーライトが睡眠に影響を与えることについての研究が進んでいます(※1)。

アメリカの研究者たちが2014年に発表した論文では、紙の書籍と電子書籍で就寝前の4時間での読書を比較した場合、体内時計の遅れが見られたのは電子書籍の方であったという実験結果を報告されました(※2)。

ブルーライトを夜に浴びると、入眠を促すメラトニンというホルモンの分泌が抑えられ、睡眠に入るまでの時間が長くなって睡眠の質に影響すると考えられているのです。

また、「夜、部屋の明かりをつけたまま寝てしまったら、朝起きたとき何となく眠りが浅い気がした」「夜トイレに起きた後、廊下の照明が明るかったせいか、その後目が覚めてしまった」というのも、実は気のせいではありません。睡眠の質には「光」が関係しているのです。

良質な睡眠を促すのは、月明かり!?

良質な睡眠と光の関係について、北堂真子氏がバイオメカニズム学会誌に発表した「良質な睡眠のための環境づくりー就寝前のリラクゼーションと光の活用ー」という論文があるので紹介します(※3)。

光の特性には輝度やコントラストなどさまざまな種類があります。中でも「照度」と「色温度」は生体リズムや覚醒度に大きな影響を与えるのだそうです。

・照度:明るさの指標で、単位は lx(ルクス)

・色温度:光の色合いを表す尺度で、単位はK(ケルビン)。数値が高いとブルーライトを含む青白い光になり、低いと赤みを帯びた暖色系の光になる。

就寝前はやわらかな明るさでリラックス

夜は睡眠を妨げないために、照度100~200 lx程度が目安といわれています。照度100~200 lxというと、一般的な店舗の廊下や階段、トイレや洗面所の明るさがそれにあたります(※4)。

さらに睡眠ホルモンの機能を妨げないよう、メラトニンの分泌を抑えるといわれているブルーライトを避けることが望ましいのではないでしょうか。この観点からは色温度は低い方がよく、例えば白熱電球やろうそくなど暖色系の光がおすすめです。

また、睡眠直前はさらに覚醒度を下げるため、照度を30 lx以下に落とすのが望ましいといわれています。例えば、交通量の少ない屋内や地下の駐車場の通路の照度が30 lx程度といわれますので、そこよりも低いややうす暗い程度の照明がいいようです。

真っ暗もダメ?睡眠中も適度な明るさが必要

実は寝ている間も、まぶたを通して入る光に人は反応しています。前出の論文によると、照度0.3 lxで平均睡眠深度が最高になるとのこと。

比べて、30 lx以上の明るさや、逆に暗闇のときでも平均睡眠深度は顕著に浅かったとの研究結果が報告されています。ちょっと明るすぎるのも真っ暗なのも、深い睡眠を妨げるようです。

ちなみに月明かりは0.5 lx程度だといわれています。就寝時に使われていそうな豆電球でもこれ以上あるようなので、0.3 lxの明るさというのはとても微妙ですね。

さらに、屋内非常階段の照度に匹敵する50 lx以上では、腕や布団で顔を覆うなどして光を遮ろうとする動作がみられることから、人は少しでも明るさを感じると睡眠に対する影響を感じているようです。

なるべく常夜灯から距離をおくことや、足元で点灯して直接目に光が降り注がないフットライトなどで、適度な明るさに調節すると良いかもしれません。

目の健康を考えた良質な睡眠のために「就寝前と就寝中の光」を見直そう!

睡眠不足が続いて、目の健康や体のパフォーマンスが気になっている人は特に、たかが睡眠不足とあなどってはいけません。

最初はただの睡眠不足による目の疲れ程度だったとしても、それが積み重なることでさらなる不調をきたすことも考えられます。

この機会に、光の性質を理解して上手に利用することで「良質な睡眠」が得られるよう心がけ、目や健康を気づかった睡眠環境を見直してみてはいかがでしょうか。

 

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※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【参考】
※1 : No, Blue Light From Your Smartphone Is Not Blinding You
※2 : Chang A, et al. PNAS. January 27, 2015 112 (4) 1232-1237; published ahead of print December 22, 2014.
※3 : 北堂真子著、バイオメカニズム学会誌、Vol.29, No.4, 2005
※4 : JIS照度基準

【画像】
naka-stockphoto / Shutterstock

この記事を書いた人

小川 健二郎

薬学博士

宮崎大学 農学系食品科学研究領域 テニュアトラック助教。目の健康をテーマに宮崎県産の食品の健康機能研究を行う。視覚障がい者マラソンに伴走者として参加し、活動を通じて全盲の女性と結婚。目に障がいをもつ妻とともに歩んでいるからこそ見えてくる苦労や目の大切さを多くの人に伝えるため、メノコト365では目の研究を中心に、病気や障がいを防ぎ健康維持に役立つ情報を発信しています。

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