緑内障を防ぐためには睡眠が大切!?睡眠時無呼吸症候群の研究からわかった「緑内障と睡眠」の関係とは?

  • 小川 健二郎
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緑内障の予防として、皆さんは普段から何をすべきだと考えていますか? 緑内障は眼圧が上がることが原因の一つとなる病気といわれているため、眼圧を下げることを意識して予防や治療など目のケアに取り組んでいる人が多いのではないでしょうか。

そんな目のケア以外にも、実は「睡眠」という身近な生活習慣の中に予防のヒントが隠されています。「緑内障」と「睡眠」、この関係を示唆するような研究が、2016年6月に北海道大学の研究グループによって発表されていたこと(※1)をご存じでしょうか。

睡眠時無呼吸症候群の患者は、約10倍も緑内障になりやすい!?

「睡眠時無呼吸症候群(Sleep Aqnea Syndrome:SAS)」とは、文字通り睡眠中に無呼吸を繰り返すもので、成人男性の約3~7%、女性の約2~5%にみられる病気です。

近年の研究によると、睡眠時無呼吸症候群の患者は健康な人と比べると、緑内障の有病率が約10倍も高いことが分かっているそうです。

しかし、なぜ睡眠時無呼吸症候群の患者が緑内障を発症しやすいのか、そのメカニズムは分かっていませんでした。

以前は、無呼吸により眼圧が上昇するために緑内障になるとの見解がありましたが、眼圧が正常な緑内障患者も多いため、詳しい理由は謎のままだったのです。

睡眠時無呼吸症候群の患者が緑内障になりやすい理由は何か? 眼圧が関係しているのかどうか? そこを解明することが求められていました。

コンタクトレンズ型眼圧計で睡眠時の眼圧を調査

では、睡眠時無呼吸症候群の患者は、睡眠中の眼圧がどうなっているのか。

これまでは実際の睡眠中に眼圧を測ることが技術的に難しく、患者を睡眠から起こして測るしか方法がありませんでした。

しかし、研究グループはスイスのセンシメット社が新しく開発したコンタクトレンズ型眼圧計を活用。睡眠中の眼圧を継続的にモニターすることができました。

実験では、眼圧計で5分毎に30秒間の記録を行い、同時に睡眠ポリグラフィー検査(睡眠中の脳波、呼吸、筋電図、心電図、いびき、酸素飽和度を測定)も実施。

両方の測定結果をもとに、睡眠中の呼吸が停止しているときと、呼吸が停止していないときに、眼圧にどのような変化が起こったのかを調べました。

無呼吸発作により眼圧は「上がる」のではなく「下がっていた」!

実験結果は、予想外のものでした。

研究チームは、「息を止めた時には胸腔内の圧力が上がるため、眼圧は上昇する」と考えていました。

ところが実験結果からは、眼圧は上がらず、むしろ下がっていることが明らかになったのです。

これは、睡眠時無呼吸症候群の患者の無呼吸発作時には、気道が閉塞して息が吸い込めなくなるため、発作が起こる時より胸腔内の圧力が下がることで、眼圧も下がっていたと考えられています。

この結果から、睡眠時無呼吸症候群の患者が緑内障になる要因は、「眼圧の高さ」だけではないということが分かったわけです。

無呼吸発作時の低酸素状態が視神経障害を引き起こす可能性

さらに実験結果から、無呼吸発作によって眼圧が下がると同時に血中酸素飽和度も下がっており、低酸素状態になっていることが分かりました。

研究チームの考察では、この低酸素状態によって、視神経障害が引き起こされると考えられています。

つまり、睡眠時無呼吸症候群の患者に多い緑内障は、低酸素状態による視神経障害によって引き起こされる可能性があると示されたわけです。

日本人には正常眼圧緑内障患者が多いといわれています。この結果は、正常眼圧緑内障の病状を解明する意味でも、興味深い研究結果といえそうですね。

睡眠時無呼吸発作と診断された方は正常眼圧緑内障に注意

今回の研究では、睡眠時無呼吸発作が視神経障害を引き起こす可能性が示唆されました。

睡眠時無呼吸発作と診断された方は、正常眼圧緑内障の発症にも注意した方がいいといえるでしょう。眼科での定期検査を受けることをおすすめします。

目の健康のためにも、普段から睡眠の質を高めるための工夫をすると良いのかもしれません。

 

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※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【参考】
※1 : Shinmei Y, et al. Continuous intraocular pressure monitoring during nocturnal sleep in patients with obstructive sleep apnea syndrome. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2016; 57(6):2824-30.

【画像】
miya227 / Shutterstock

この記事を書いた人

編集部員

小川 健二郎

宮崎大学 農学系食品科学研究領域 テニュアトラック助教。静岡県立大学生活健康科学研究科食品機能学研究室 博士前期課程修了。2007年わかさ生活入社後、2014年岐阜薬科大学博士(薬学)号取得。わかさ生活ではみらい研究所に所属しブルーベリー博士として「目に良いビルベリーのアントシアニン」など目の健康について研究。2018年より宮崎大学で目の健康をテーマに宮崎県産の食品の健康機能の研究を行う。

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