視覚障がいの原因第1位は「緑内障」高齢化社会が要因か?

  • 小川 健二郎
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視覚障がいの原因となる疾患で一番多いのが、「緑内障」だということを知っていますか? 高齢者に多い目の病気として身近になっているものの、緑内障で視覚障がいになるということ自体は、あまり知られていないかもしれません。

今回は、2018年に岡山大学と山形大学の研究グループが発表した、「日本人の視覚障がいの原因第1位が緑内障であった」という、興味深い調査結果を紹介します。

視覚障がいの原因第1位は「緑内障」

2018年9月に岡山大学と山形大学の研究グループが医学雑誌Japanese Journal of Ophthalmologyのオンライン版(※1)で、視覚障がいの全国調査の結果を発表しました。それによると、視覚障がいの原因疾患第1位は緑内障で、調査結果全体の28.6%を占めているとのこと。また性別調査でも、男性(30.2%)女性(20.7%)共に、原因疾患の第1位となっていることが分かりました。

ところで、そもそも「視覚障がい」って何だと思いますか?

一般の方がイメージされているのは、例えば黒っぽいサングラスで目を保護する、白杖をつく、盲導犬を連れて歩くといった方々。この方たちはすべて、「目が全く見えない方(全盲)」と思っていませんか?

でも実はその認識は間違っています。視覚障がい者の方全てが「全盲」というわけではありません。視力(矯正視力含む)が0.05以上0.3未満という「弱視」も含まれていて、見え方は人それぞれ。一般的に遠くや手元が眼鏡で補正しても見えない場合と、視野が欠けて見える場合の二通りがあります。

つまり、極度の近視による視力障がいや部分的な視野障がいなど弱視の方も含め、「視覚障がい」と定義されているのです。

なぜ緑内障は視覚障がいの原因になるの?

視覚障がいの定義が分かったところで、改めて「緑内障」がなぜ視覚障がいの原因になるのかを説明します。

緑内障といっても種類がいくつかあるのですが、日本人の緑内障の多くは「正常眼圧緑内障」と言われています。主に視神経に異常をきたす病気で、通常は網膜が光を感じ取ると網膜神経節から視神経へと情報は送られ、それが脳に伝わることで、ものが見えたと感じます。しかし、この視神経が何らかの原因で機能が妨げられ、部分的に視野が欠けてしまうのです。

初期段階では、部分的に欠けるだけなので自覚がないケースもあるようですが、中期、末期と段階的に進む中で「視覚障がい」と認定されます。視覚障がい認定基準(※2)によると、

・両眼の視野がそれぞれ十度以内のもの
・両眼による視野の二分の一以上が欠けてみえるもの

が、視覚障がいと認定されると書かれています。

緑内障の見え方
撮影・作成:小川健二郎

 視覚障がい者は高齢者が7割以上!緑内障も1988年以降増加傾向に

今回の調査では、視覚障がい者の年代別調査も行われました。最も多いのが「80-89歳(29.6%)」、次いで「70-79歳(26.3%)」「60-69歳(17.3%)」と続き、60歳以上の高齢者が73.2%を占める結果に。視覚障がい者の認定を受ける方は、高齢者が圧倒的に多いことが分かりました。

同様の調査は、1988年以降過去にもさまざまな研究グループにより3回行われており、2回目も3回目も「緑内障が1位」という結果は変わっていません。それだけでなく、緑内障の割合は増加しています。

これは、緑内障が加齢によりリスクが高まる病気であるということを示しているともいえるでしょう。緑内障は10~20年と時間をかけて発症することが多く、40代以降で現れることが多い病気なのです。

この事実からも、高齢者が増え続けている現在の日本では、今回の調査結果はある意味避けられないものだったといえるのかもしれません。

他人事じゃない!緑内障は年齢を重ねた誰にも起こりうる病気

ここでもう一つ知っておきたいのは、通常緑内障は進行がゆっくり進む病気であることから、早期発見が難しいということ。しかも片目が緑内障で視野が欠けていても、両目で見るとその部分も補って普通に見えてしまうため、本人が気づきにくいのです。

また、緑内障の治療は一般的に眼圧を下げて症状の進行を抑える方法をとりますが、日本人は「正常眼圧緑内障」を患う方が多いので、その場合は視神経を治療する必要があります。しかし、視神経は目の後ろ側にあるので、薬が届きにくく手術もしにくいという問題があるとのことです。

これからさらなる超高齢化社会を迎えるにあたって、緑内障は自分や家族だけでなく、親しい知人を含め、身近な人がかかりやすい病気であり、決して他人事とはいえません。しかも発見が遅れやすく、治療も難しく、視覚障がいになる可能性が高いという、決して放っておけない病気です。

そんな状況で、緑内障で視覚障がいにならないために今できることは、早期発見に努めることです。そのためには、40歳を過ぎたら「緑内障の検査」を受けることをおすすめします。できれば年に1~2回、定期的に受けるようにしてくださいね。

 

■「緑内障」が気になる方はこちらもチェック
緑内障を防ぐためには睡眠が大切!?睡眠時無呼吸症候群の研究からわかった「緑内障と睡眠」の関係とは?

 

 

※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

 

【参考】
※1:Y. Morizane, et al. Jap. J. Ophthamol. 2018; 1-8. ※2:視覚障がい認定基準の手引き|厚生労働省

【画像】
chuugo / Shutterstock

この記事を書いた人

編集部員

小川 健二郎

宮崎大学 農学系食品科学研究領域 テニュアトラック助教。静岡県立大学生活健康科学研究科食品機能学研究室 博士前期課程修了。2007年わかさ生活入社後、2014年岐阜薬科大学博士(薬学)号取得。わかさ生活ではみらい研究所に所属しブルーベリー博士として「目に良いビルベリーのアントシアニン」など目の健康について研究。2018年より宮崎大学で目の健康をテーマに宮崎県産の食品の健康機能の研究を行う。

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