スマホの過剰な使用が子どもの急性内斜視につながる?韓国の研究論文を解説

  • 大江 絵美
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私たちの生活必需品といっても過言ではないスマートフォン(以下、スマホ)。
近年のスマホの普及率は目覚ましく、大人だけでなく子どもたちもスマホを使っています。

総務省が2018年に発表した調査結果(※1)によると、6〜12歳の子どもの47.1%がインターネットに接続する際にスマホを利用しているということが分かりました。さらに13〜19歳になると、この割合は82.2%にまで高まります。

日本の若者たちにとってスマホの存在が当たり前になりつつある傍ら、韓国にてスマホと子どもの斜視の関係性について調査した興味深い研究論文(※2)が発表されました。

後天性の急性内斜視ってどんな病気?

研究についてお伝えする前に、子どもの斜視について説明しましょう。

日本眼科学会のホームページによると、斜視とは物を見ようとする時に片目が正面を向き、もう片目が違う方向を向いてしまう状態のことです。斜視には生まれつきのものと、遠視や視力の悪化、脳の異常など様々な原因によって引き起こされる後天性のものがあります。

スマホの使用との関連性が近年注目されているのは後天性の急性内斜視。内斜視とは、片目が正常な位置にある時にもう片目が内側を向いてしまう状態のことです。

急性内斜視はそれほど多い病気ではないものの、近年は若い世代の患者が増えているようとの報道もあるようです。スマホの長時間使用が習慣化してきた時期と同時期に発生しているため、スマホと子どもの斜視の関連性を示唆する研究も増えてきているようです。

子どもの内斜視とスマホの関連性を調査した韓国の研究

2016年、韓国の研究施設が急性後天性内斜視患者の医療記録をもとに、スマホと子どもの内斜視の関連性を明らかにすべく調査を行いました。

日本と同様にスマホの所有率が近年急増傾向にある韓国は、スマホの使用に関連する内斜視の原因や経過を明らかにしようと踏み切ったのです。

研究施設は、2009年から2014年までの5年間に中南国立大学病院で検査を受けた内斜視患者の医療記録を調べ、7歳から16歳までの男女12人を調査対象に決定。

12人の病歴とともに、スマホの使い方について広範囲にわたる詳しい調査を行いました。

長時間・近距離のスマホの使用が内斜視に影響か

調査の結果、12人の子どもたちは4ヵ月以上連続で1日4時間以上スマホを使用していることが明らかになりました。また、全員が日頃から30cm以内の距離でスマホの画面を見ていたそうです。

その後1ヵ月間、患者らはスマホの使用を控えたところ、全員の内斜視の症状が改善を示したとのことです。

この結果から、過度のスマホの使用が急性後天性内斜視発症に影響を与える可能性があると研究報告で考察されています。

しかし、スマホと内斜視の関連性はまだまだ研究の最中。今後さらなる調査が進むことで、スマホと目の健康に関する様々なことが明らかになっていくのではないでしょうか。

スマホと付き合い方を考えて目の健康を守ろう

日本にも「日本弱視斜視学会」という団体があり、医師や研究者を中心に斜視に関する研究が行われています。多くの子どもたちがスマホに触れている現状を考えると、今後は日本でもより詳しい研究が進むことが望まれます。

そして私たちも、スマホとのより良い付き合い方について正しく理解し、若い世代の目の健康を守っていきたいですね。

 

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※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【参考】
※1 : 総務省「第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長」図表4-2-1-2「インターネット接続端末」
※2 : HyoSeok Lee et al., Acuteacquired comitant esotropia related to excessive Smartphone use:Publishedonline 2016: [10.1186/s12886-016-0213-5]

【画像】
suriyachan/ Shutterstock

この記事を書いた人

編集長

大江 絵美

わかさ生活みらい研究所研究員。健康食品管理士。岐阜薬科大学薬効解析学研究室に4年間出向し、眼のこととビルベリーの健康効果についての研究を行ってきたスペシャリスト。眼のこと、サプリメントの素材について新しい研究や調査を行っています。

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