
視覚障がい者が安全に外出できるようサポートしてくれる盲導犬。しかし、希望する人の数に対して盲導犬の育成が追いついておらず不足しています。そんな課題を解決しようと中国で開発が進んでいる6本足の盲導犬ロボットを紹介します。
盲導犬とは
盲導犬は視覚に障害があっても自由に外出できるよう視覚障がい者の目となり障害物や段差、曲がり角などを教えてくれる大切なパートナーです。
盲導犬が体につけている白または黄色の胴輪をハーネスといい、ハーネスを通して盲導犬の動きを視覚障がい者が感じ取ることで周囲の状況を知ることができます。
よく盲導犬が視覚障がい者を目的地まで連れて行ってくれると思っている方が多いのですが、あくまで盲導犬は周囲の状況をパートナーに伝えることが仕事であり、どのように目的地まで行くかを決めるのは視覚障がい者自身です。活躍している犬種としては、大きさや順応性などの性格、可愛さなどの面からラブラドール・レトリバーが最も多く、その他にゴールデン・レトリバーやミックスブリードも活躍しています。
盲導犬は道路交通法や身体障害者補助犬法という法律により特別な訓練を受けることになっています。そのため、公共施設や交通機関をはじめ、飲食店やスーパー、ホテルなど様々な場所に一緒に行くことが認められています。ただ現状は認知が乏しく、飲食店や病院でも入店を断られるケースがまだまだ多いようです。
国際盲導犬の日とは
盲導犬の歴史は古く、ドイツで戦争により失明した兵士たちの視力的なサポートが軍用犬(シェパード)を訓練すればできるのではないかと考えられ、世界で最初の「盲導犬訓練学校」が設立されました。
そして、1916年に学校で訓練を受けた軍用犬が兵士たちに提供されたのが世界初の盲導犬だといわれています。
その後、盲導犬訓練学校が増えていき世界中に盲導犬育成の動きが広がっていきました。
1989年4月26日には国際盲導犬学校連盟が発足し、その日が水曜日だったことから、1992年に国際盲導犬学校連盟が4月の最終水曜日を「国際盲導犬の日」に制定しました。
視覚障がい者にとって大切な盲導犬の普及と盲導犬に対する人々の理解を高めるのが目的です。
不足している盲導犬
世界中で盲導犬育成が行われていますが、「資金不足でトレーナーを増員できない」「1年半から2年の訓練を受け、実際に盲導犬になれるのは半分程度」などの問題から盲導犬が不足しています。そこで盲導犬育成と並行する形で進んでいるのが視覚障がい者の外出をサポートするアプリや機器の開発です。
今回紹介するのはその中の一つ、中国で開発中のAI搭載の盲導犬ロボットです。
AI搭載の盲導犬ロボット
引用:新潮社 Foresight
6本の足は滑らかに歩きつつも安定性を最大限に保つことを可能にしている[上海交通大学によるロボット盲導犬の公開実証実験=2024年6月18日、中国・上海](C)REUTERS/Nicoco Chan
上海交通大学の高峰教授を中心に開発されたのはレーダーとカメラで周辺の状況を把握し、ジョギング程度のスピードで走ることも可能なAI搭載の6本足の盲導犬ロボットです。
レーダーと2つのカメラで信号機の色や段差を識別することや、障害物を避けることができるそうです。また、AIによって会話することもでき、地図は事前にインプット可能。さらに足が6本あることで安定感を生み、バランスを崩すこともほとんどないようです。
高峰教授によると盲導犬ロボットのメリットは、盲導犬育成よりも費用がかからず、餌をあげたり世話をする必要がないことだそうです。
最後に
紹介した盲導犬ロボットのように視覚障がい者を助けてくれる技術の開発は進んでいます。しかし、盲導犬だからこそできることもあると思います。
視覚障がい者の友人は「盲導犬は大切な家族でかけがえのないパートナー。孤独感をロボットやアプリでは補えない」と言います。
国際盲導犬の日をきっかけに盲導犬のことを考えてくれる人が一人でも増えてくれると嬉しいです。
参考URL
中国で人工知能を搭載した「盲導犬ロボット」に注目 | TBS NEWS DIG
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1487593
もうどう犬について – 公益財団法人 関西盲導犬協会
https://kansai-guidedog.jp/moudouken/