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視覚に障害があっても音声で文字や文章が読めるAI搭載の読書器「よむべえ」

読書を拡大してみる視覚障害がある方

最近、本が読みたいなと思い、視覚に障害がある私でも何とか本を読む方法はないかと調べていたら、小説や新聞などさまざまな文字や文章を音声で読み上げてくれる視覚支援機器「よむべえ」を見つけました!
今回は視覚障がい者の読書と「よむべえ」がどんな機器なのか紹介します。

視覚障がい者の読書

視覚障がい者にとって読む、伝えるサポートとなる点字
視覚に障害があると読書はできないと思う人もいるかもしれませんが、点字の本やボランティアの方が録音してくれた本を読んだり、文字を音声で読み上げてくれる機器などを使うことで本を読むことができます。方法としては下記の通りとなります。

点字図書

書籍を点字に訳した図書です。1冊の本は、点訳するとページ数が数倍に増えることがあり、多くの場合何冊かに分けて製本されます。

 

録音図書

書籍を声に出して読み、それを録音した図書で、デイジー図書、カセットテープ図書があります。
デイジーとは、「Digital Accessible Information SYstem」(アクセシブルな情報システム)の略で、長時間の録音図書を1枚のCDに収めることができます。
専用の機器(プレクストークなどのデイジー図書再生機)やパソコンの専用ソフト(LP PlayerやAMISなど)で聞くことができます。

拡大図書

通常の本よりも、文字そのものが大きく印刷された本です。

点字図書館とは

上記で紹介したものは全国に点在する点字図書館などで借りることができます。
点字図書館は見え方で悩んでいる方へ情報を提供し、自立と社会参加の推進を目的とする「視覚障害者情報提供施設」で、図書の貸し出しはその役割の一つです。
点字図書館ではボランティアの方の活躍により、点字図書・録音図書・デイジー図書あわせて、年間200タイトル以上の図書が製作されています。
図書の貸し出しの他にも、読み書きサービスや福祉機器等の相談・講習など、広く情報の提供が行なわれています。
では実際に本を借りたいと思ったときに「自分は点字が読めない」「再生プレイヤーはどれを選んでいいかわからない」など悩むかもしれません。そんなとき「よむべえ」があれば心配いりません。

 

多彩な機能を持つ「よむべえ」

デイジー図書の再生や点字、新聞やレシートを読み上げたり、AIで文章を要約することなど多彩な機能がある、よむべぇ「よむべえ」は本体に組み込まれたOCRエンジンで文字や文章を解析し、音声で読み上げるほか、モニターにカラー・白黒で拡大して映す(最大倍率は40倍)読書器です。
「よむべえ」があれば、上記で紹介したデイジー図書の再生や点字も読み取って音声で確認出来ます。さらに、クラウド上のOCRエンジンを使う(別途利用料が必要)ことで読み上げ機能が向上し、新聞やレシートなども読むことができる上に、AIで文章を要約することなど多彩な機能があります。
認識できるのは日本語だけでなく、英語・中国語簡体字・中国語繁体字・ハングル文字で、日本語、英語、中国語、広東語、韓国語で読み上げさせることができます。

機能の詳細

多彩な機能を持つ「よむべえ」の詳細は次の通りです。

郵便物などの確認

役所からの通知、チラシ・ダイレクトメールなど届いた郵便物を読み取らせて内容を確認できます。

通帳の確認

通帳を開いて「通帳スキャン」機能で読み取ると、まず最初にそのページの最新残高を読み上げ、その後、日付、残高、そのほかの情報の順番で読み上げます。

手書き文字を読む

印刷された文字だけでなく手書き文字も読み取ることができます。しかし、手書きの場合は、書き方によって読み取りの精度に差が出ることがあります。

読書

書籍・雑誌を音声で読むことができ、モニターを接続していれば、画面に文字を拡大表示して読むこともできます。
本1冊分を単位として保存できるので、一度読み取らせた後最初から最後まで通して読み上げさせることができます。

点字の読み上げ

白紙に書かれた点字を認識し、読み上げてくれます。しかし、色付きの用紙に書かれた点字は読めません。

ディスクの仕分け

ディスクをドライブにセットすると、最初にそれが音楽CDなのかDVDなのか、またはデイジー図書なのかパソコン用のデータディスクなのかを教えてくれます。

CD、DVD、デイジー図書の再生

市販のDVDや音楽CD、点字図書館などで貸し出されているデイジー図書の再生ができます。(DVD再生には画面が必要・自宅のDVDレコーダーで録画したDVDは再生不可)

電子書棚

本体に書籍100冊分以上の文書を保存することができます。

パソコン・携帯型デイジープレイヤーとの連携

読み取った内容を音声ファイルやテキストファイルでUSBメモリーや携帯型デイジープレーヤーに転送できます。

視覚障害に関する展示会で体験

視覚障害者向け総合イベント「サイトワールド2024」で「よむべえ」を体験してきました。
どのように読み上げるのか体験した中で特に気になったのは、AIを使えばレシートのお店の情報を飛ばして何をいくらで買ったのかだけ読ませることができたり、新聞のように1面にさまざまな情報が書かれているものでも全体を読み込んで要約できるところです。

「よむべえ」には

「快速よむべえ」

「よむべえスマイル」

の2種類があります。

「よむべえスマイル」では、平面に書かれた文字は読めても瓶などの湾曲した面に書かれた文字は読むのが難しいが、「快速よむべえ」では読むことができるということでした。
そして、今後のバージョンアップは「快速よむべえ」の方で進めていくと聞きました。

最後に

今回紹介した「よむべえ」は小説・新聞・郵便物などさまざまなものを読むことができますが、機器が大きいため持ち運ぶのは大変です。以前メノコト365で紹介した「オーカムリード」は小説や新聞を読むのは難しいですが、コンパクトでバッグやポケットに入るサイズなので外出時に役立ちます。
他にも視覚障がい者を助けてくれる機器が開発されてきていて、点字図書館などで情報を得ることができます。
見え方で困っていたら一度視覚障がい者情報提供施設に相談し、自分に合う機器を探してみてください。

参考URL
快速よむべえシリーズ – 株式会社アメディア・株式会社アメディア

・メノコト365
視覚に障害があっても文字を音声で読むことができる AI視覚支援機器
『OrCam Read(オーカムリード)』

この記事を書いた人

山本 旭彦

わかさ生活ヘルスキーパー。網膜色素変性症によって視野が狭くなり、暗いところも見づらい症状をもつ。視覚障がいへの理解、気軽にサポートできる環境を広めようと、「あきひこさんの一日」と称した出張授業を小学校などで継続的に実施しています。

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