色覚異常という言葉を聞いたことがあるでしょうか。以前は色盲・色弱といわれていたもので、特定の色を正しく認識することが難しい症状のことで、全世界で数億人いると推測されています。今回は、そんな色覚異常の方がなぜ色を正しく認識できないのかやアメリカの玩具メーカーが行なっている取り組みを紹介します。
色覚異常とは
私たちが目で物を見るときには視力・視野・色覚の3つの機能が働いています。そして、この機能は目の奥の網膜にある視細胞が担っていて、遺伝や目の病気などで視細胞が欠けていたり、働きが悪くなると、視力が低下する、視野が狭くなる、色が識別しにくくなるなどの症状が出てきます。これらの症状のうち特定の色が識別しにくくなるものが「色覚異常」です。
先天性色覚異常と後天性色覚異常
色覚異常には先天性(遺伝性)のものと後天性のものがあります。先天性は日本では男性が20人に1人、女性は500人に1人といわれており、特に男性に多くみられます。症状は特定の色が認識しにくい以外視力や視野に異常がないことがほとんどで、周囲から指摘されなければ自分が色覚異常であることに気がつかないことも多いそうです。
後天性のものは、網膜色素変性症や糖尿病性網膜症、緑内障など目の病気の症状の一つとして出るもので、視力低下や視野狭窄なども起こります。
※一般的に色覚異常という場合先天性のものを指すことが多いそうです。
色覚異常の分類と識別しにくい色の組み合わせ
すべての色は光の三原色である赤・緑・青の3つの組み合わせで構成されています。そして、網膜にはこの赤・緑・青の3つの色それぞれに敏感な視細胞があります。
色覚異常の分類では、この3つの視細胞のうちどれか1つが欠けている場合は「2色覚(いわゆる色盲)」、3つとも存在していてもどれか1つの機能が低下している場合は「異常3色覚(いわゆる色弱)」といいます。
しかし、2色覚の方の症状は個人差が大きいため、2色覚と異常3色覚の方の色を識別できる能力には大差がない場合もあるようです。
そんな色覚異常のほとんどが赤か緑の視細胞が欠けたり能力が低下しているタイプで、間違いやすい色の組み合わせは赤と茶色・緑と茶色・紫と青・水色とピンクなどです。
※日本眼科学会が2005年度におこなった眼科用語集の改訂で色盲・色弱という言葉は使われなくなり、代わりに色覚異常が使われるようになりました。
アメリカの玩具メーカーの取り組み
そんな色覚異常ですが、日本だけでなく世界中におよそ3億人いると推測されています。1人でも多くの方が楽しくテーブルゲームができるようにとアメリカの玩具メーカーMattel(マテル)が、2024年末までに発売しているゲームのうちの80%を色覚異常対応にしていくと発表しました。
Mattelが発売する「UNO」はすでに色覚異常対応となっており、他には「Blokus(ブロックス)」、「Phase 10(フェイズ・テン)」、「Skip-Bo(スキップボー)」などにデザインの変更が施される予定です。どのような変更かというと、「UNO」では色ごとに四角や丸、星や下向き三角といったシンボルがカードに記載されています。また4色のさまざまな形をしたブロックを使って陣地を取り合うボードゲーム「Blokus」では色ごとにデコボコのパターンを変えるそうです。対応が済んだゲームには、パッケージに目の形のアイコンが付けられるのでわかりやすいです。
最後に
テーブルゲームはカラフルなものが多いので、プレイの相手と見えている色が違うと勝敗に関係するかもしれませんし、場の空気を悪くしてしまうということもあるかもしれません。しかし、今回紹介したような取り組みが他の企業や団体でも増えていけば、色覚異常があってもそのことを気にせずみんなでゲームを楽しんだり、日常生活での困りごとが減るのではないでしょうか。
参考URL
・「UNO」のカードに追加されたこのマークってなに? | ギズモード・ジャパン
https://www.gizmodo.jp/2024/06/mattel-uno-colorblind-accessible.html
・Mattel
https://shop.mattel.com/pages/mattel-games-colorblind-accessibility-faqs