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見えない・見えづらい方へのお役立ち情報

点字ブロックがより便利に!「コード化点字ブロック」と「コード認識アプリ」

スマホと点字ブロック画像

2022年秋、兵庫県の「神戸アイセンター」と最寄り駅である医療センター駅間に設置されている点字ブロックがコード化点字ブロックに生まれ変わりました。運用開始を前に体験会が行われ、視覚障害者として私も参加しました。体験してみて驚いたことや便利だと感じたポイントをご紹介します。

点字ブロックにAI技術をプラス

点字ブロックAI私たち人間は日常生活で得られる情報の内、8割以上の情報を目から得ていると言われています。そのため私のように視覚障害があると見えないことで危険な目に合ったり、困ってしまうことがたくさんあります。
特に困ってしまうのは外出の時で、白杖や点字ブロックがあっても迷ったり、危険な目に合うことがあります。
そこで、点字ブロックにAI技術をプラスすることで視覚障害者の歩行を音声案内でサポートしようと開発されたのが「コード化点字ブロック」とそれを読み取るアプリ「Walk&mobile」です。

「コード化点字ブロック」とそれを読み取るアプリ「Walk&mobile」

コード化点字ブロックアプリ

「コード化点字ブロック」は、金沢工業大学情報工学科の松井くにお教授が中心となり開発されたもので、点字ブロックの突起の周りにつけられた丸と三角をスマートフォンアプリ「Walk&Mobile」で読み取ることで、視覚障害者に必要な周囲の情報を音声で伝えることができるものです。

体験会に参加して

点字ブロック体験の視覚障害者

「コード化点字ブロック」はエスカレーターやエレベーターの近く、トイレや券売機の前など視覚障害者に情報が必要な場所に設置されており、私は開発者である松井教授から説明をしていただきながら医療センター駅のホームから神戸アイセンターまで行きました。ここでは、松井教授のお話の中で特に便利だと感じたポイントを紹介します。

ポイント1:読み取る方向によって案内が変わる

早速アプリを起動し、カメラを点字ブロックの方に向けて歩いてみると「左2m先に下りのエスカレーターがあります」と音声が流れました。
ここで松井教授が「同じコード化点字ブロックに反対側からアプリをかざしてみてください」と言われたのでやってみると「右2m先に下りエスカレーターがあります」とエスカレーターのある方向が左右変わりました。これは1つの点字ブロックに2つの異なるコードがつけてあり、アプリをかざす方向に合わせて内容を判別してくれます。
私はよく階段やエスカレーターを探すことが出来なかったり、上りと下りを間違えるので、このような案内はとても助かります。

ポイント2:長文が登録できるので頭の中で状況を思い描ける

エスカレーターでホームから改札フロアへ降り、改札に向かって歩いているとアプリが反応し「左に男子トイレ、突き当りは壁、右に行くと手前から洗面台が2つ並んでいてその奥に個室が2つ・・・」とトイレの中の構造が頭の中で想い描けるような案内が始まりました。
視覚障害者は男子と女子のトイレの見分けがつかないことも多く、トイレで出口がわからず迷子になってしまうこともあります。
私も男子トイレがどちらなのかわからず近くにいた方に尋ねることもありますが、知らない方に声をかけるのはとても勇気がいることなのでアプリで確認できるのはとても嬉しいです。

ポイント3:分かれ道でも迷わない

改札から神戸アイセンターまで行くにはいくつか分かれ道があるのですが、分かれ道になっている場所には必ず「コード化点字ブロック」があるので迷わずに進むことができました。改札の前では「左に進むと神戸アイセンター方面、右に進むと○○方面」アイセンターの前では「左に神戸アイセンターの入り口、まっすぐ進むと○○方面」というようにそれぞれ行き先がどこなのかを知ることができます。
私はよく目的地までナビアプリを使っていくのですが結局迷ってしまい近くにいる方に尋ねることが多くあります。視覚障害者は一人で目的地まで行くのが困難で、アプリを起動するだけで行き先の確認が出来るのはとても便利です。

ポイント4:1つの「コード化点字ブロック」で1億3,000万通り以上の情報を登録できる!

松井教授のお話の中で特に驚いたのは「コード化点字ブロック」は点字ブロックの前後左右どちらから読み取るかによって内容を変えることができ、1つの「コード化点字ブロック」でなんと1億3,000万通り以上の情報を登録することができるそうです。
しかも点字ブロック以外にも様々な場所につけることができるということで、松井教授からいただいた名刺にもコードが付けてありました。

松井教授はもっと多くの場所や物をコード化できればアプリを起動するだけで簡単に情報を得ることができるようになる。そうすれば迷ったり危険な目に合う視覚障害者が減るだけでなく、観光客に向けて観光情報を提供することもできるのではないかと仰っています。

まとめ

今回のような体験会に参加するのは初めてでしたが、未来への期待が高まりました。
私は網膜色素変性症という進行性の目の病気により、年々視力が低下するとともに視野が狭くなってきており一人で外出する時に不安や怖いと思うことが増えてきました。
しかし、「コード化点字ブロック」のように視覚障害者をサポートしてくれる技術の開発が進んでいるので、近いうちに視覚障害があっても一人で気兼ねなく外出できる日が来るかもと思うと、更なる技術の進歩がとても楽しみです。

参考

見えない・見えづらい人の生活をサポートするデザイン
https://menokoto365.jp/2330/

ダウンロードはこちら
「Walk & Mobile」をApp Storeで
https://apps.apple.com/jp/app/walk-mobile/id1535368125

Walk & Mobile-コード化点字ブロック認識アプリ – Google Play のアプリ
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.matuilab.walkandmobile&hl=ja&gl=US

この記事を書いた人

山本 旭彦

わかさ生活ヘルスキーパー。網膜色素変性症によって視野が狭くなり、暗いところも見づらい症状をもつ。視覚障がいへの理解、気軽にサポートできる環境を広めようと、「あきひこさんの一日」と称した出張授業を小学校などで継続的に実施しています。

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