「神話のふるさと出雲」と呼ばれる島根県出雲市。出雲の象徴ともいえる「出雲大社」をはじめとした寺社仏閣や史跡・遺跡が数多く残る神秘的な地です。
そんな出雲市には「目のお薬師さま」として知られる「一畑薬師(いちばたやくし)」があり、目の悩みを抱えた人たちが全国から訪れるご利益スポットとなっています。メノコト編集部スタッフが現地に足を運び、どんな言い伝えがあるのか調べてきました。
本堂を目指して山登りを楽しむ「一畑薬師」
一畑薬師は島根半島のほぼ中央部にある一畑山の標高200mのところにあります。一畑電車「一畑口」駅で下車し、車で約10分ほど移動すると一畑薬師の入口に到着。ここから山を登る形で本堂を目指します。
本堂までの道のりはちょっとハードですが、たどり着いた先には商店や一般の方も宿泊できるコテージ風の宿坊があり、参道の景色を楽しみながら本堂を目指すことができます。
御本尊の薬師如来がまつられている薬師本堂に到着。本堂を取り囲むようにたくさんの仏様が奉納されていました。こちらは奉納主の願いを仏像の体内に納めた「八万四千仏堂(はちまんしせんぶつどう)」といわれるものです。
薬師如来の両脇には、日光菩薩、月光菩薩、十二神将(じゅうにしんしょう)がまつられています。目のご利益だけでなく、子どもの無事成長や家内安全など数々のご利益を授かることができるそうです。
母の眼病平癒を願う子の想い。目のお薬師さまの伝説
一畑薬師が「目のお薬師さま」と呼ばれることになった由来には、こんな言い伝えがあります。
一畑山の麓に、盲目の母と暮らす与一という漁師がいました。ある時、与一は黄金に輝く薬師如来を海から引き揚げました。その後、不思議なことが次々と起こるように。ある晩、夢の中で「千把(せんば)の藁を身にまとい、崖から飛び降りよ。そうすれば、母の眼病は快癒する」と薬師如来からお告げを受けます。
「母親の目が治るなら……」と思った与一は、崖から飛び降りることを決意。村人の説得も虚しく、与一は崖から落ちていきました。与一が目を覚ますと、大きな石の上に安座しており、体には傷一つありません。我が子の無事を願って駆け寄ってきた母親は、今まで見えなかった目がしっかりと開いていたそうです。
母親の眼病が快癒したことを喜んだ与一は、この地にお堂を建てて本尊に薬師如来を安置しました。これが一畑薬師の始まりといわれています。
まぶたに塗って目を守る「お茶湯」
一畑薬師を訪れた人々の楽しみの一つに「お茶湯(おちゃとう)」があります。お茶湯とは、境内の薬草畑で採れたお茶の葉を煎じ、一畑山に湧き出る清水で淹れたお茶のこと。
創開当時から万病に効くと重宝されてきました。特に眼病を患っている方は、まぶたの上にお茶を塗ってからいただくことで、目を守ってくれるという言い伝えがあります。
目玉のおやじもいる!充実の境内散策
「ゲゲゲの鬼太郎」の作者、水木しげる氏も幼少の頃から参拝に訪れていたという一畑薬師。境内の各所では、目玉おやじの像を見つけることができます。
見どころたっぷりの目のお薬師さま。出雲を訪れた際は、ぜひ観光プランに入れて目の健康を祈願してみませんか。
【アクセス】一畑電車「一畑口」駅より車で約10分
【住所】島根県出雲市小境町803番地
【お問い合せ】0853-67-0111
【拝観料】無料
【拝観時間】8:30〜17:00
【HP】http://ichibata.jp/
※本記事内での情報は2020年2月時点のものです。
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