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見えない・見えづらい方へのお役立ち情報

便利な最先端技術!音声案内システム「NaviLens(ナビレンズ)」

ナビレンズのアプリとタグ

スマホをかざすだけで、現在地や周辺の情報を音声で確認できるアプリを試してきました。見えない・見えづらい方にとって便利で嬉しい最先端技術を紹介します。

「NaviLens(ナビレンズ)」って何?

ナビレンスのカラーブロック

「NaviLens(ナビレンズ)」は情報を登録したタグ(黒、青、黄、ピンクからなる四角形の図柄)とそれを読み取るアプリからなります。

使い方は、施設の壁や柱に情報を登録した印刷したタグを貼っておき、「NaviLens(ナビレンズ)」のアプリを起動したスマホをタグの付近にかざすと、アプリがタグを読み取り、タグまでの距離や方向などを音声で確認することができます。

タグには現在位置の状況や周辺の情報など、管理者があらかじめ必要な情報を6000字まで登録することができます。施設や駅など多くの場所にタグがあれば、見えづらい方でも迷うことなく目的の場所に行くことができると思います。

「NaviLens(ナビレンズ)」はどうやって生まれたの?

「NaviLens(ナビレンズ)」は日本発祥の「点字ブロック」をもとにスペインで開発されたそうです。
1965年に日本人発明家が視覚障がいがある友人のために私財を投じて開発した点字ブロックは、今では世界中で利用されています。

点字ブロックは視覚障がい者の単独歩行に大きな進展をもたらしましたが、点字ブロックだけでは自分が行きたい場所がどちらなのかを知ることができません。そこでスペインのアリカンテ大学とNeosistec(ネオシステック)社がその問題を解決すべく研究を開始しました。そして10年の開発期間を経て、「NaviLens(ナビレンズ)」が誕生したのです。

「NaviLens(ナビレンズ)」の特徴

・15m~18m離れた場所からでも読み取り可能です。(タグの大きさによっても違います)
・タグはビニールなど、さまざまな素材にプリント可能です。
・ピントを合わせる必要がなく、一瞬で読み取ることができます。
・正面からだけではなく、斜めからでも読み取り可能です。(読み取り可能な角度は160度)
・タグをカメラで読み取るだけなので、GPSもネット環境も不要です。
・自動翻訳機能があり、日本語をはじめ30言語以上に対応します。

さまざまな取り組みが行われています

「NaviLens(ナビレンズ)」発祥の地であるスペインのバルセロナでは、すでに100以上の地下鉄の駅や2,000以上のバス停に「NaviLens(ナビレンズ)」が設置されていて、リアルタイムの発着情報が確認できるそうです。

日本では、静岡県にあるヴァンジ彫刻庭園美術館が障がいの有無に関わらず、全ての人が楽しめるユニバーサルなミュージアムを目指そうと視覚に障がいのある方へ作品の情報を伝えたり、安全に施設内をナビゲートするために試験的に「NaviLens(ナビレンズ)」設置されています。

また、神戸アイセンターではNPO法人アイ・コラボレーション神戸が中心となり、エレベーターやトイレ、自動販売機などに「NaviLens(ナビレンズ)」を設置して実証実験が行われています。

体験してみました

私は視覚に障がいがあるので、慣れていない駅で階段や改札の場所が分からなかったり、自動販売機で買いたい飲み物を見つけられないことが良くあります。
そんな時、スペインで視覚障がい者のために開発された「NaviLens(ナビレンズ)」のことを知り、試してみることにしました。

試してみて一番驚いたのは、数メートル離れた場所からでもアプリをかざすと一瞬でタグを読み取り、タグまでの距離や登録された内容を音声で確認できたことです。一緒に体験した方も驚いていました。
「NaviLens(ナビレンズ)」は、日本では神戸アイセンターで初の実証実験が進められた段階で、まだまだ知られていませんので、今回は動画で紹介させていただきます。

▼ナビレンズ動画はこちら
https://youtu.be/hWnEwrBjKnY
準備は簡単
①アプリをダウンロードする
②タグを印刷し壁などに貼る
以上2つで準備完了です。

今回は神戸アイセンターで自動販売機の音声案内を体験した時のことをお伝えします。
まず自動販売機に近づくと、どのメーカーの飲み物が売られているのか、そして硬貨やお札の投入口の場所や使用できるICカードの種類、飲み物が並んでいる順番や価格を読み上げてくれました。
一度に複数のタグを読み取ったり、タグをロックしたりもできるそうなので行った事がない場所でも「NaviLens(ナビレンズ)」があればとても助かると感じました。

まとめ

実際に使ってみて読み取りの速さや正確さに驚き感動しました。
日本ではまだ実証実験の段階ですが、駅やお店などに設置されると視覚障がい者が一人で様々な場所に出かけることができるようになったり、駅での転落事故なども減るのではないかと感じています。
また視覚障がい者だけではなく健常者の方でも初めての場所で迷った時などで役立つのではないかと思います。
そんなNaviLensの可能性に期待しています。

※NaviLensの発音は日本語では「ナビレンズ」とするのが一般的かもしれませんが、スペイン語では「ズ」とは発音しないので、公式サイトでは「ナビレンス」と表記されています。

 

※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

「目が見えない・見えにくい人の生活をサポートするデザイン」はこちらをチェック

【参考】
・ナビレンス
https://www.navilens.com/
・特定非営利活動法人アイ・コラボレーション神戸
https://ickobe.jp/
・神戸アイセンター
http://kobeeyecenter.jp/

 

この記事を書いた人

山本 旭彦

わかさ生活ヘルスキーパー。網膜色素変性症によって視野が狭くなり、暗いところも見づらい症状をもつ。視覚障がいへの理解、気軽にサポートできる環境を広めようと、「あきひこさんの一日」と称した出張授業を小学校などで継続的に実施しています。

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