シマウマの「シマ」はアブよけ対策?アブの目を眩ませるシマ模様の秘密が最新研究で明らかに

  • 大江 絵美
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シマウマの写真

シマウマはなぜシマ模様なのでしょうか?

鮮やかなストライプが名前の由来にもなっているシマウマですが、なぜシマ模様なのかは未だに明確なことが分かっていないようです。

シマウマのシマ模様には多くの研究者たちが関心を持ち、150年以上に渡り研究がなされてきました。そして今回、カリフォルニア大学が「複数の研究によると、シマウマは縞があるため、近づいたアブが止まりにくいといえる」といった内容を新たに発表したのです。(※1)

血を吸うことで動物からは嫌われているアブですが、なぜシマウマには止まらないのでしょう。もしかするとアブは、シマ模様に目が眩んでしまうのでしょうか? カリフォルニア大学の研究内容について見ていきましょう。

天敵のアブがいない地域ではシマウマのシマは少ない!?

これまでにシマウマのシマ模様がある理由について唱えられてきた仮説は、敵から身を守るためのカモフラージュ説、シマウマ同士の情報伝達説、体温調節のため……など様々なものがあります。

今回カリフォルニア大学から発表された「シマウマの模様にアブは止まらない」という内容は、すでに同大学で2014年に発表した研究結果をベースにしています。

それによると吸血昆虫であるアブは、シマウマのシマ模様に着地することが難しいのではという説が唱えられているのです。

2014年の研究でシマウマの分布についても調査したところ、吸血昆虫が生息する地域のシマウマの縞の幅が狭く縞模様が多く表れていて、一方で吸血昆虫の少ない地域では縞模様の幅が広く縞模様が少ないという面白い結果が明らかになっています。

米国の報告での計算によると、吸血昆虫は一頭の牛から1日あたり数百mlもの血液を吸血することもあるそうです。また、アフリカの文献によると吸血により伝染する病気は深刻な問題にもなるため刺されたら命に関わるとされています。

体の模様に影響を与えるくらい、アブはシマウマにとって命を脅かす天敵なのでしょう。

シマウマに対するアブの反応は?4つの実験で調査

研究チームはシマウマとウマ、そしてアブを使った、以下の4つの実験を行いました。

1つ目の実験は被験体であるシマウマと馬に集まるアブの行動を調べるというもの。観察者がウマの片側に立ち、被験体に接触したアブの数を記録しました。

それによると、放たれたアブはシマウマとウマに向かって同じ割合で飛んでいったものの、シマウマに着地したアブのほうが少なかったのです。また、シマウマに着地したアブのうち、半数以上が白い模様の上にとまっていたことが分かりました。

次に、アブがシマウマには止まらなかった理由が動物の臭いの違いによる可能性を排除するために、ウマに3種類の柄の布のマントをかぶせてアブの行動を調べるという実験をしました。白・黒・シマ模様の布を馬に30分間かぶせ、着地するアブの数を記録したのです。

すると、シマ模様のマントは他の柄に比べてアブに不人気。着地するアブの数だけでなく触れるアブの数も少なかったのです。これで、アブがシマウマにとまらなかった理由が馬の臭いの違いによるものではないと考えられそうです。

3つ目の実験はシマウマとウマの周囲にいるアブの軌跡を調べるというもの。常に約3m離れた一定距離からビデオを撮影し、飛行軌跡を記録しました。

この実験によると、シマウマに接近したアブは適度な減速を行うことができず、衝突したりそのまま飛び去ってしまうケースが多いことが分かりました。シマウマの体に着地できたアブも、ウマに比べて短時間で飛んでいき、吸血もしていない可能性が高いようです。

4つ目の実験はアブが近づいた時のシマウマとウマの反応の違いを調べるというもの。こちらもビデオを撮影して記録をとっています。

この実験では、ウマが体を震わせて虫を振り払う行動が多い傾向にあったのに対し、シマウマは尻尾を使って器用に振り払ったり、その場から逃げる行動が見られました。

シマ模様がアブの着地に必要な情報を狂わせる

研究チームはこれらの実験を経て、「遠くからは灰色に見えるシマウマが、近づくと白と黒のシマ模様になるため虫の視覚を狂わせるのではないか」という仮説を立てました。おそらくアブは正確にターゲットを見ることができず、シマ模様を見ると混乱するのではないかと考えられています。

シマウマのシマ模様が場所の認識や距離感など着地に必要な情報を狂わせ、アブは着地ミスをしてしまうというわけです。

血を吸うアブは動物にとって死活問題。

血を吸われないようにシマウマが身に着けた防御機能があのシマ模様なのだとしたら、生き物の進化の壮大さを感じます。

シマ模様は新たな虫除け対策になるか

現時点ではまだまだシマウマのシマ模様の謎は解明されていませんが、今回の研究でアブの吸血行動とシマウマのシマ模様には深い関係性があるのではないか? ということが明らかになりました。

今後、シマウマのシマ模様が酪農業などの場面で活用される日も近いのでは?

虫が苦手な人もストライプ柄の服を着ると良いかもしれませんよ。

 

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【参考】
※1 Tim Caro et al, Benefits of zebra stripes: Behaviour of tabanid flies around zebras and horses: ,PLOS ONE,2019

※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【画像】
Roger de la Harpe/ Shutterstock

この記事を書いた人

編集長

大江 絵美

わかさ生活みらい研究所研究員。健康食品管理士。岐阜薬科大学薬効解析学研究室に4年間出向し、眼のこととビルベリーの健康効果についての研究を行ってきたスペシャリスト。眼のこと、サプリメントの素材について新しい研究や調査を行っています。

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