市内各所で名水が湧き出ていることから、「名水のまち」として知られる福井県大野市。市街地には湧き水スポットがいくつもあり、一年中美味しい水を飲むことができます。そんな大野市に「目薬」と呼ばれ、眼病平癒のために重宝されてきた湧き水があるという情報が。
さっそくメノコト編集部スタッフが大野市に足を運び、目にご利益のある湧き水について調べてきました。
神域一帯が湧水地「篠座神社」
JR「越前大野」駅で下車し、歩くこと約20分。「目薬」と呼ばれる水が湧いているという篠座神社(しのくらじんじゃ)に到着しました。篠座神社は、なんと神域一帯が湧水地。境内に湧き出ている湧き水は古くから「篠座目薬(しのくらめぐすり)」と呼ばれ、眼病に良い水として人々に親しまれてきたそうです。
篠座神社は、養老元年(717)に修験僧の泰澄(たいちょう)大師によって創建された古社です。泰澄大師は白山を初めて登拝した人物といわれ、登拝前に大野に立ち寄り、清水が湧き流れる篠座で十日ほど過ごしたといわれています。
登拝後、「我は大己貴命(オオナムチノミコト)なり。かかる林泉の勝地であるから常に心を楽しませて降遊する」と空からお告げを受けた泰澄大師は、大己貴命のお姿を刻んでご祭神として安置し、そこに祠を一つ建てたそうです。この祠が、篠座神社の始まりといわれています。
眼病平癒の願いを叶えるために湧き出た「篠座目薬」
篠座神社の本殿横から湧き出る水は、霊泉「篠座目薬」として古くから眼病平癒にご利益があると知られています。なぜ、眼病平癒にご利益があるのでしょうか?神社にはこんな言い伝えが残されています。
昔々、竹やぶの中を歩いていた大国主命(オオクニヌシノミコト)が竹の枝で目を突いてしまいました。大国主命はさまざまな治療を行いましたが、目は一向によくなりません。そこで「眼病で苦しむ人々のために眼病に効く霊水を湧かしたい」と願いました。こうして篠座目薬が湧いたと伝えられています。それ以来多くの人々が篠座神社を訪れ、眼病平癒を願うようになりました。
福井県出身の絵師である菱川師福(ひしかわもろよし)も、若い頃に不治の眼病に苦しみ、眼病快癒のために篠座神社のお参りに訪れた一人。師福が熱心にお参りをしていると、目の前に大己貴命が現れて眼病が全快したという言い伝えがあります。その後、大変喜んだ師福は目の前に現れた大己貴命の姿を描き残したのだとか。その絵は篠座神社に奉納されているそうです。こちらには師福のように篠座目薬によって眼病が快癒した人々の記録が数多く残されています。
また、毎年10月10日の「目の愛護デー」には、「眼の祈願祭」が行われています。現在も昔と変わらず霊泉の水を手ですくい、目を清めることができるのだとか。清め方にも作法があり、左目から右目の順番で目を洗うそうですよ。
湧き水スポットで目の健康祈願!
古くから、眼病平癒を願う人々に親しまれ、多くの人の目を癒してきた篠座神社の霊泉。目の健康をずっと守りたいという方は、ぜひ篠座神社から湧き出る『目薬』を試してみませんか。大野市を訪れた際は、ぜひ湧き水スポットを巡りながら篠座神社にも立ち寄ってみてくださいね。
【アクセス】
JR「越前大野」駅より徒歩約20分
「福井」ICより車で約35分
「福井北」ICより車で約40分
「白鳥西」ICより車で約60分
【住所】福井県大野市篠座42−5
【拝観料】無料
【お問い合せ】0779-65-1455
※本記事内での情報は2020年1月時点のものです。
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