デスクワークをしている時に、目が乾いてパソコンの画面が見づらいと感じたことはありませんか? 特に、長文の書類を読んでいるとスムーズに文字を追うことができず、ついつい眉間にシワを寄せてしまったり…。
実は、ドライアイの人は文章を読むのが遅いということが、米ジョンズ・ホプキンス大学眼科のSezen Karakus氏らが行った実験により明らかになっています(※1)。
ドライアイが仕事にどんな影響があるかは研究段階
現在、多くの方が仕事でパソコンやタブレット端末を使用していると思いますが、デスクワーカーの65%以上がドライアイといわれています。
▼デスクワーカーは要チェック!
デスクワーカー必見!何と6割以上がドライアイ!?
目が疲れやすかったりゴロゴロしたりと厄介なドライアイ。デスクワーカーにとって、目のコンディションが整わないのは好ましい状況ではありません。しかし、実際にドライアイが仕事にどのような影響を及ぼしているのか研究が実施されつつありますが細かく分かっておらず、まだまだ研究段階といった状況のようです。
ドライアイは文章を読む速さに影響する?米国で実験
米ジョンズ・ホプキンス大学眼科のSezen Karakus氏らは、ドライアイによる文章を読む速さへの影響を調べるための実験を行いました。同氏らは本1冊に相当する7,200語の文章を読むリーディングスキルテストを開発したそうです。
被験者として集められた成人男女は50歳以上で、臨床的に明らかなドライアイ116人、ドライアイ症状を訴えているが臨床的にドライアイと診断されていない人が39人、ドライアイの症状のない31人。
彼らを対象に短時間で文章を読み上げるテストと、30分間文章を黙読するテストの2パターンの実験が行われ、読めた単語数を調査しました。
はたして、ドライアイの人とそうでない人は文章を読む速度にどれくらい差があったのでしょうか。
ドライアイの人は、1分あたりに読める文章量が少ない
実験の結果、興味深いことが明らかになりました。
短時間で文章を読み上げるテストでは、グループ間で結果に統計的に有意な差は見られなかったそうです。その一方で、30分間文章を黙読するテストでは、ドライアイの人たちの読む速度が遅いことが分かったのです。
ドライアイの人たちが1分あたりに読める単語数が240語であったのに対し、ドライアイの症状のない人は272語。ドライアイが長文を読む速度に影響を与えていることが、この結果から見て取れますね。
また、この実験ではドライアイの自覚症状も合わせて調査し、その結果である角膜や結膜などの眼表面疾患指数も明らかになっています。それによると、文章を読む速度と眼表面疾患指数には相関があるという結果もでています。
つまり、ドライアイのまま仕事をしていると、長文の書類を読むペースが落ち、作業効率も下がる可能性があるということですね。
ドライアイのまま仕事をすると生産性がダウン
今回ご紹介した実験は、被験者が紙に書かれた文章を読むというものでした。デスクワークをしている人たちは、紙の書類だけに限らずパソコンやタブレットでも長い文章を読む機会は多いと思います。
文章を読むスピードが遅いことによって、今すぐに仕事に大きなダメージを与えるということはないかもしれません。しかし、積み重なることで生産性は下がり、結果的に大きなロスになってしまう可能性も。
効率良く仕事をするためにも「私、ドライアイかな?」と思ったら早めに眼科へ相談しましょう。
■「ドライアイの原因や現状」が気になる人はこちらもチェック
・デスクワーカー必見!何と6割以上がドライアイ!?
・ドライアイの原因3つの「コン」あなたは全部答えられますか?
■「ドライアイの薬や治療」が気になる方はこちらもチェック
・自分の涙に合わせよう!ドライアイ治療薬の選び方をお薬専門家、原英彰教授が解説
※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。
【画像】
Creativa Images/ Shutterstock