子どもに気をつけさせたい、近視にならないための生活習慣とは?

  • 小川 健二郎
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両親と手をつなぐ幼い男の子の写真

今、世界的に子どもの近視が広がっていることをご存じでしょうか? 各国で子どもの近視が問題視される中、近視と生活習慣や生活環境との因果関係について、さかんに研究が行われています。

そんな中、1994年から1996年の間に生まれた18歳以下のさまざまな年齢の子どもたちを対象に、近視と関連する要因が何かを研究したイギリスの論文が発表されました(※1)。

近視へのなりやすさが1.93倍となる「ある要因」について調査されているので、読み解いてみましょう。

夏生まれの子どもは近視になりやすい!?

この論文では、試験で参加した子どもおよそ全体で解析したところ、夏の期間(5~8月)に生まれた子どもは、その他の季節に生まれた子どもよりも、青年期での近視へのなりやすさが1.93倍高いことが分かったとのこと。この数字は、統計学的にも意味のある水準といえるようです。

夏に生まれた子どもの近視のリスクが高まる背景には、イギリスの学校が日本とは異なり、秋から始まることが関係していると考えられます。

子どもの視覚の発達は、生まれてから10歳頃までに大人の目と同じくらい成長するのですが、夏生まれの子どもは他の子どもたちに比べて発達途中で学校に通うようになります。そのため、屋外で遊ぶ時間が短くなったり、幼い頃から目に負担をかけたりすることで、近視が進む可能性もあるのではないかと考えられているようです。

その他にも、子どもが近視になるリスク因子をライフステージごとに解析したところ、

1.母親の学歴が高いとその子どもの近視へのなりやすさが1.33倍高い

2.不妊治療を母親が受けている場合は、子どもの近視へのなりやすさが0.63倍低い

3.テレビゲームでよく遊ぶ子どもの近視へのなりやすさは1.03倍高い

などの結果が報告されており、さまざまな要因が考えられます。そのため、夏生まれの子どもだけが原因とは言い切れないかもしれません。

太陽の光に多く含まれるバイオレット光が近視予防につながる!?

別の論文では、屋外でスポーツやレジャーなどの活動をする時間が長い子どもは、屋内で活動する時間が長い子どもに比べて、近視になっていないことが分かったという調査(※2)もあります。

さらに興味深いことに、室内スポーツと近視との因果関係はなかったため、スポーツがよいわけではなく、屋外の活動時間を増やすことが近視の予防につながると結論づけられているのです。

これについては、日本でも2017年に慶応義塾大学の坪田一男教授らが発表した、こんな研究論文(※3)があるので紹介しましょう。

子どもの近視の原因のひとつに、眼軸長(目の前後の長さ)が伸びてしまうことで焦点が合わなくなることがあげられます。

坪田教授らは、ヒヨコを用いた動物実験とヒト臨床試験を行い、バイオレット光を浴びた場合、バイオレット光を遮断したときよりも、眼軸長が伸びるのを抑えられたと発表したのです。

このバイオレット光は、実は紫外線とブルーライトの間にある光。太陽の光には多く含まれていますが、屋内の蛍光灯やLED照明には少ないとのこと。

さらにバイオレット光は、ガラスやプラスチックを透過しにくいという性質があるため、「屋内で太陽の光をガラス越しに浴びても、目には十分なバイオレット光が届いていない」とされているのです。もちろん、メガネをかけている子どもならなおさらです。

この研究発表から、「子どもが屋外で活動する時間を日に数時間もてば、近視のリスクを減らすことにつながるはず」と坪田教授は言っています。

屋外に出て遊ぶ生活習慣を大切に考えよう

論文や研究結果を見ると、まだ今後の研究が待たれる分野ですが、成長時期の子どもは屋外で遊んで太陽の光を浴びるというごく自然な生活を送ることが、近視を防ぐことにつながるといえそうです。

世界だけでなく、日本の子どもの近視が進んでいる現状を踏まえ、子どもの日ごろの過ごし方、親子での休日の過ごし方など、一度振り返ってみてはいかがでしょうか。

 

 

※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

 

【参考】

※1: Williams K.M., et al. Early life factors for myopia in the British Twins Early Development Study. Br. J. Ophthalmol. 2018; 0, 1-7.

※2: Rose K.A., et al. Outdoor Activity Reduces the Prevalence of Myopia in Children. Ophthalmology, 2008; 115(8), 1279-85.

※3: Trii H., et al. Violet Light Exposure Can Be a Preventive Strategy Against Myopia Progression. EBioMedicine, 2017; 15, 210-9.

【画像】

Keisuke_N / Shutterstock

この記事を書いた人

編集部員

小川 健二郎

宮崎大学 農学系食品科学研究領域 テニュアトラック助教。静岡県立大学生活健康科学研究科食品機能学研究室 博士前期課程修了。2007年わかさ生活入社後、2014年岐阜薬科大学博士(薬学)号取得。わかさ生活ではみらい研究所に所属しブルーベリー博士として「目に良いビルベリーのアントシアニン」など目の健康について研究。2018年より宮崎大学で目の健康をテーマに宮崎県産の食品の健康機能の研究を行う。

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