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見えない・見えづらい方へのお役立ち情報

視覚障がい者が選挙で投票する方法とは!?

選挙で投票する画像

先日同僚から「視覚障がい者はどうやって選挙で投票するのですか?」と尋ねられました。確かに見えない・見えづらい状態でどうやって投票しているのか疑問に思うのは当たり前のことだと思います。
今回は、視覚障がい者がどのように投票しているのか、導入され広がりつつある新たな投票方法を紹介します。

視覚障がい者はどのように選挙の情報を知るの

視覚に障害があると誰が立候補しているのか、どんな意見を持っているのかといった情報を得るのは大変です。そこで国は候補者の紹介や政治への意見を点字や音声にした「選挙のお知らせ版」を配るよう各地の選挙管理委員会に要請しています。
ただそれをどのようにしていつ受け取れるかは自治体によって違うということなので、住んでいる地域の自治体へ問い合わせする必要があります。
また、iPhoneを使っている方なら「voiceover」androidを使っている方なら「talkbackという音声読み上げ機能で選挙関連のwebサイトを確認することもできます。

投票所でのサポート

選挙の情報を知ることができ、「いざ投票所へ」と思っても見えない・見えにくい状態ではさまざまな不安があると思います。
しかし、投票所では受付でお願いすれば入り口から出口まで係の人に手引きを御願いすることができるほか、代理投票や点字による投票などができます。

 

代理投票とは

障害や病気、ケガなどで自分で投票用紙に書くことが難しい場合に係の人に代わりに代筆してもらう方法です。
投票所の受付で「代理投票したい」と伝えると投票を補助してくれる係の人が二人つきます。一人はだれに投票するのかを確認して代わりに投票用紙に書いてくれる人で、もう一人は伝えた通り間違いなく書かれているか確認する人です。
係の人への伝え方としては、候補者や政党を指でさして伝える方法などさまざまあるようですが、視覚障がい者の場合は口頭で伝え、代筆してもらうのが一般的です。

点字でも投票できる

点字を使って文字を読む画像
代理投票だけでなく点字による投票もできます。投票所の受付で点字による投票希望を伝えると、専用の投票用紙と点字器(自分のものを持参することもできます)が渡されます。私は普段点字による投票を行なっています。受付で投票用紙と点字器を受け取り、記入できたら投票箱へ入れます。受付から出口まで手引きしてもらえるので一人でも安心して投票することができています。

※投票所には候補者・政党名などが点字で書かれたものも用意されているため、記入前に氏名や政党名を確認することができます。

新たな投票補助具を導入する自治体が増加中

上記2つの投票方法に加え、最近視覚障がい者が自分で候補者名を記入できるように工夫された補助具を導入する自治体が増えつつあります。
京都府舞鶴市では障害者団体と一緒に試行錯誤し、試作を重ね、2018年から視覚障がい者が自筆で投票できるよう透明のクリアファイルを加工した補助具を全投票所に配備(期日前を含む)しています。投票用紙を挟んだ時に候補者名の記入欄と合致するよう一部を切り抜き、周囲に厚紙を貼って段差を付け、表面を触れば全盲の人も記入枠が分かるようになっています。さらに弱視の人も判別しやすいように枠を黒く縁取って強調する工夫も施されています。
また舞鶴市の取り組みを参考に、京都府綾部市では、2021年の衆院選から、神奈川県厚木市は2023年の市議選から同じ仕組みの補助具が導入されています。
滋賀県大津市は今回の衆院選からA6判のクリアファイルで作った補助具を全投票所に配備、中央区など東京都の複数の区をはじめ、横浜市なども同様の補助具を衆院選で活用するそうです。
そして、東京にある日本点字図書館は4月から投票用紙の記入欄の部分がくりぬかれたケース型補助具の販売を開始。これまでに東京都の一部自治体や静岡県焼津市、神戸市など20以上の自治体が購入したようです。

 

最後に

これまでの代理投票や点字投票だけでは投票に行けない・行きたくないと思う視覚障がい者は私の周りにもいました。
代理投票では、投票したい候補者名や政党名を口答で伝える必要があり、他人に候補者名など伝えるのに抵抗がある、周囲の人に聞かれていないか不安だと友人が話していました。また視覚障がい者の内点字の読み書きができるのは1割程度といわれているので、新たな投票方法の登場はとても嬉しいです。
こういった取り組みがもっと広がれば投票に行こうと思う視覚障がい者はきっと増えるはずです。

各自治体の選挙の取り組み

NHK みんなの選挙

参考URL
京都新聞 京都や滋賀で広がる投票の新たな「バリアフリー」目の不自由な人向けの補助具を導入、背景に何が

https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1351347

この記事を書いた人

山本 旭彦

わかさ生活ヘルスキーパー。網膜色素変性症によって視野が狭くなり、暗いところも見づらい症状をもつ。視覚障がいへの理解、気軽にサポートできる環境を広めようと、「あきひこさんの一日」と称した出張授業を小学校などで継続的に実施しています。

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