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見えない・見えづらい方へのお役立ち情報

ITを取り入れた視覚障がい者のための「鑑賞支援サービス」とは

ITを取り入れた視覚障がい者のための「鑑賞支援サービス」でライブを楽しむ視覚障がい者

私は視覚障害があるため、スマートフォンの操作はほとんど音声読み上げ機能に頼っており、テレビは画面の目の前で見ればかろうじて映像が確認できるといった状況です。
そんな見え方なので、舞台鑑賞やスポーツ観戦などは避けていたのですが、数年前ミュージカルに行ってみました。ストーリーはなんとか理解できたものの、舞台上の様子が全く見えず、100%楽しめたとはいえませんでした。
今回紹介するのは私のような視覚障がい者にとってとても嬉しいサービスです。

視覚障害と舞台鑑賞

視覚障害といっても、私のように視野の中心部が欠けていて、周りだけぼんやり見えるみえ方もあれば光だけ感じる、何も見えず真っ暗、視力はあるが視野が極端に狭いなどさまざまです。
そして、舞台鑑賞では物語だけではなく、舞台美術や音楽、演出などの総合的な手法で表現されるため見えていないとすべてを理解できず見えている人と同じように楽しむことができないことがあります。
そんな視覚障がい者の現状をITの力でサポートしようと活動されているのが「株式会社リアライズ」です。

リアライズの想い

株式会社リアライズは20年以上にわたってバリアフリーイベントに携わり、誰でも文化芸術を平等に楽しめ、感動体験が味わえるように、ITの力で障害のある方の鑑賞のサポートについて日々試行錯誤を続けておられます。
以前は劇場やホールに訪れたくても、鑑賞をサポートしてくれる環境設備がなかったため訪れることができない視覚障がい者がたくさんいました。
そこでリアライズはどうしたらいいのか、どこをどう変えればいいのか、それぞれのホールでできることからはじめれば、障害の有無に関係なく誰もが楽しめるイベントに生まれ変わると考え「鑑賞支援サービス」を始められました。

鑑賞支援サービスってどんなもの

鑑賞支援サービスを受けて舞台鑑賞を楽しむ視覚障がい者
視覚障がい者の見え方はさまざまなため、サポートは2つ用意されています。どちらも同じ空間に居ることで舞台の臨場感を感じることができます。

1.遠隔音声ガイド

舞台の視覚的情報を音声で伝えるもので、出演者の動きや場面の転換などを説明してくれます。利用者は受信機のついたイヤホンで、音声ガイドを聞いて鑑賞します。
開演前には事前解説として配役の紹介、舞台セットや衣装などの説明、トイレなどの施設案内、来場者への配布物などの説明なども聞くことができます。
音声ガイドは通常会場内の同時通訳ブースなどの防音された部屋で舞台の様子を見ながらナレーターが説明します。
しかし、防音の部屋がない会場が多く、どの会場でも音声ガイドを導入できるように通信ITを使った遠隔での音声ガイドが実施できるようになっています。
会場と別の場所にある防音スタジオをインターネットで結び、ナレーターが会場の動画や音声を確認しながらリアルタイムで説明してくれます。

 

2.視覚支援サービス

席から舞台までの距離が離れていて舞台の様子がはっきり見えない弱視の方のために舞台のライブ映像を専用タブレットに映すことで、手元で舞台の動きを見ることができるものです。タブレットのピンチアウトで拡大することも、画面の中の見たいところへドラッグすることもできます。

 

わかさ生活が協賛を続けてきたアイバンクミュージカルでも実施予定

視覚障がい者が、舞台を楽しめるように、視覚的情報を音声で伝えたり、出演者の動きや場面の転換などを説明してくれる音声ガイドの写真視覚障がい者が舞台を楽しめる音声ガイドのアプリのQRコード今年(2024年)の9月1日に埼玉県の彩の国さいたま芸術劇場で行われるアイバンクミュージカル「パパからもらった宝もの」で「鑑賞支援サービス」が実施されます。
これは劇団BDPによる命の尊さと見える幸せについて問いかけるミュージカルで、長年わかさ生活は協賛を続けてきました。
今回の「鑑賞支援サービス」では、上記で紹介した遠隔音声ガイド・視覚支援サービスに加えて、補助犬がリラックスして待機できる「補助犬同伴席」と車いす利用者のための段差のない「車いす席」が用意されています。

最後に

2016年に障害者差別解消法が施行され、民間事業者が障害者に対して合理的配慮を提供することが努力義務として定められました。そして、今年改正法の施行により、努力義務から法的義務になりました。
しかし、民間事業者での合理的配慮の実施はまだまだできていないところも多く、私もさまざまな場面で視覚障害について理解が進んでいないなと感じることがあります。
そんな中でリアライズのサービスはとても嬉しい取り組みです。
リアライズのような理念をもった企業や団体がもっと増え、障害のことを気にせず過ごせる社会が訪れることを願っています。

参考URL
株式会社リアライズ
http://realize-888.co.jp/

この記事を書いた人

山本 旭彦

わかさ生活ヘルスキーパー。網膜色素変性症によって視野が狭くなり、暗いところも見づらい症状をもつ。視覚障がいへの理解、気軽にサポートできる環境を広めようと、「あきひこさんの一日」と称した出張授業を小学校などで継続的に実施しています。

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