最近、在宅勤務やオンライン学習の増加により、スクリーンの前で過ごす時間が格段に増えましたね。その結果、目の疲れやドライアイのような不快な症状に悩まされる人が増えていることでしょう。
ドライアイは目の疲れ、眼精疲労など全身の不快感につながることもあるため、放っておかず早めに対処することが大切です。今回は目の周りの血流をととのえ、不快感を和らげるおすすめのツボを紹介します。
目次
ドライアイって何?
ドライアイは、涙の分泌不足やその質の低下により、目の表面が十分に潤わない状態を指します。これにより目が乾燥し、不快感を引き起こします。現在、日本では2200万人ものドライアイの患者さんがいるといわれており、年々増加傾向にあるようです。
ドライアイは、目の乾燥を感じるだけではなく、ゴロゴロするような異物感を感じたり、痛みや疲れを感じたりと、様々な目の不快感が生じること、また視力の低下も起こるといわれています。
目の周りを刺激して体内のめぐりをケア
「目が乾く」とは、目の表面を潤す涙が少なくなっている状態です。長時間にわたって目を酷使した時や室内の乾燥などが原因で起こることがあります。特に目や体の病気が原因でなければ、ツボを刺激することによって症状の緩和が期待できます。
目の周りの不快感を和らげるツボ『晴明』
- 晴明(せいめい)…目頭と鼻柱の間にある骨のくぼんだところ
■人差し指や中指を使い、鼻の中央に向かってゆっくりと圧をかけます。指の腹を使って優しく押し、軽くマッサージするように行うと効果的です。目のまわりの不快感をとるのにおすすめです。くれぐれも眼球を押さないように注意してくださいね。
このツボ「晴明」は、『疲れを和らげるおすすめのツボ−その1』でも紹介しましたが、目にあらわれる様々な症状に良いとされており、疲れを感じた時や、かすみ、目や瞼がピクピク痙攣した時などに押すのも良いとされています。
目へのめぐりをととのえる『四白』
- 四白(しはく)…瞳孔の真下の骨のくぼみ
■指の腹を押し当て、少し強めに指圧します。
「四」は「四方、周囲」を、「白」は「光、明白」という意味があります。このツボを刺激すると周囲が明るくなり、はっきり見えるようになると考えられています。他にも、頬辺りの痛みの改善や顔面の痙攣、頭痛やめまい、眼精疲労などにも良いツボといわれています。
目の症状を晴れやかにする『太陽』
- 太陽(たいよう)…まゆ尻(まゆ毛の外側)と目尻の中央から親指の幅1本分後ろ、少しくぼんだところ
■最初は、指先で小さな輪を描くようなつもりで軽く押し、少しずつ力を入れて最終的にはしっかり押すようにします。
「太陽」は『疲れを和らげるおすすめのツボ−その2』で紹介しました。こちらも「晴明」同様、目の諸症状を改善するのに良いといわれているツボです。目の疲れが原因の痛みやかすみ、しょぼつきなどにも良いなど、晴明と同様、目のさまざまな症状を和らげるために効果の高いツボといわれています。
体を維持する4つの要素「気」「血」「津液(しんえき)」「精」
東洋医学では、人体には次の4つの要素が必要であると考えられています。
- 「気」…生命活動のエネルギー源。分布しているところや役割によってさらに4つに分けられる。
- 「血」…血脈の中に存在する赤い液体。栄養や酸素と結びつき、それらを全身に届ける。
- 「津液」…透明な水。全身に分布し、体を潤している。汗や涙として体外に分泌されることもある。
- 「精」…生命活動を支えるスタミナ源。腎から全身に広がる。
これら4つの要素がそれぞれ適切な量で、体内をバランス良く循環することで臓器や組織が正しく働き、病気にかかりにくくなると考えられています。
体を潤す「津液」と「涙」の関係
体の中にある液体のうち、「血」以外の透明な液体を東洋医学では「津液」といい、臓器のすきまを主な通路としながら全身に行き渡り、体を潤します。「津液」が不足すると、体が乾いてきて様々な不調が起こりますし、多すぎても体のどこかで滞り、不調の原因になるといわれています。涙はこの「津液」の一つなので、不足すると体の不調につながることが考えられます。
まとめ
体が本来持っている機能を正常に保ち、その力を発揮するために、体に必要な巡りをととのえる。体の表面にあるツボ押したり撫でたりすることで、「気」「血」「津液」が体のすみずみまで巡るように働きかけ、不要なものを排出させる。その結果、疲れや不快感が取り除かれ状態が良くなっていくと考えられます。
ドライアイは目の不快感や疲れを感じる程度で、軽くみられがちですが、慢性的な症状は日常生活の質自体を低下させてしまうことがあります。実際の視力も低下するといわれていますので、症状がひどくならないうちにまずは、手軽なツボ押しから試してみてはいかがでしょうか。
※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。
【参考】
『よくわかるツボ健康百科』 尾崎昭弘 監修 主婦と生活社
『東洋医学 経絡・ツボの教科書』 兵頭明 監修 新星出版社