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身の回りのユニバーサルデザイン。あの標識もユニバーサルデザインだった!? 

街の交通標識

ユニバーサルデザインをご存じでしょうか。
「すべての人のためのデザイン」を意味し、年齢や障がいの有無などにかかわらず、最初からできるだけ多くの人が利用可能であるようにデザインすることをいいます。誰もがはじめから同じように使えるデザインのことです。

2019年から、UC級(色のユニバーサルデザイン)という色のユニバーサルデザインを学ぶ色彩検定も新しく登場しました。

多様性の世の中になり、ユニバーサルデザインは街中に溢れています。

色のユニバーサルデザイン

鮮やかなカラーのコンパス画像
日本人男性の5%(20人に1人)、日本人女性の0.2%(500人に1人)は色弱であるといわれています。主に色の認識には、正常な見え方のC型、赤や緑を認識できないP型、D型、そのほかごく稀に、青を認識できないT型、色を明暗でしか感じないA型が存在します。

色のユニバーサルデザインでは、P型とD型の方も色を認識しやすいようなカラーリングを使用します。例えば、暖色と寒色の組み合わせです。P型やD型の方は、赤色も緑色も茶色っぽく認識します。そのため、赤色と緑色が隣り合わせで並んでいると、どちらがどちらか判別しづらくなってしまうのです。例えば赤色と青色(例:トイレのマークや道路標識)だと、P型やD型の方は茶色っぽい色と青色に見え、判別がしやすくなります。

また、黄色と青色の鮮やかな絵が多いことから、ゴッホも色弱だったのではないかと言われています。黄色と青色はP型やD型の方に対して判別しやすいカラーリングだからです。

文字のユニバーサルデザイン

文字にもユニバーサルデザインがあるのはご存じでしょうか。UD(ユニバーサルデザイン)フォントと呼ばれ、視認性や可読性の高いフォントです。潰れにくくするため、文字のパーツの空間が広く設計されていることや、半濁音等が大きく設計されていることが大きな特徴です。また、文字間が広く設計されていることも多いです。このようなUDフォントは、地方自治体の広報誌や、学級通信に使用され、「読みやすくなった」という声が上がっています。

奈良県生駒市では、小学生116人を対象に、UDフォントを用いた長文読解の実験が実施されました。一般的な教科書体とUDフォントで制作された問題を36問ずつ解くという形式で正答率を比較しました。結果、一般的な教科書体の正当率は66%、UDフォントの正当率は81%と、およそ15%もの差が発生しました。

各種UDフォントは、行政や教育現場のほか、一目見て分かることが重要な道路標識、駅の案内板や、見やすく分かりやすい説明が求められる商品説明などにも用いられています。企業においても、2022年1月からモリサワの「UD新ゴ」が富士通株式会社の※コーポレートフォントに採用されました。(※コーポレートフォント:企業のブランドイメージを固めるため、統一して使用するフォントのこと)

音のユニバーサルデザイン

駅のホーム
音が鳴る歩行者信号を渡った経験はありませんか?そちらもユニバーサルデザインの一つです。「かっこー」と「ピヨピヨ」といった音を使い分け、通りの違いを表現する歩行者信号もあります。

また、電車到着時のメロディや、電車・バス内でのアナウンスも、音のユニバーサルデザインと言えます。

図のユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザインの公園のごみ箱
駅やトイレ、ゴミ箱などで言葉を図に表した表現を目にしたことはないでしょうか。それらをピクトグラムと言います。ピクトグラムは、人やものを単純化したマークで表現したものです。一目でわかるデザインで、子どもや、外国人、細かい文字を読み取りにくい高齢者や弱視の方など、文字情報だけでは理解しづらい人たちの助けになります。

触感のユニバーサルデザイン

紙幣には、視覚障がい者や外国人など、文字の認識が困難な方でも種類を判別しやすいよう、指の触感で識別できるマークが入っています。2024年度を目処に刷新される予定の新紙幣では、誰もがわかりやすくなるよう、数字の大型化や、識別マークの形状と位置、ホログラムやすかしの位置などが種類ごとに変更される予定です。

まとめ

誰もが暮らしやすく、利用しやすくなるように街中に存在するユニバーサルデザインですが、まだまだ使いづらさを感じる、複雑なピクトグラム等も存在します。より多様な人々が暮らしやすくなるよう、もっと浸透していくことを願っています。

【参考文献】

色覚についての基礎知識 – 人にやさしい色づかいをすすめる会
https://onl.bz/eNWBxJ5

身の回りにあるユニバーサルデザインの具体例をご紹介|凸版印刷|TOPPAN CREATIVE
https://solution.toppan.co.jp/creative/contents/dentatsuclinic_column06.html

ご存知ですか? 発達障害でも見やすい「UDフォント」の特徴と活用例 | 障がい者としごとマガジン
https://shigoto4you.com/udfont/

 

 

この記事を書いた人

メノコト365編集部

目の健康に関するあらゆる情報を発信しています。子どもたちが健やかな目で生活できるように、小さなうちから正しい健康習慣を身につけてもらうための健育イベントを開催するなど、目の健康について意識を高めるきっかけになることを願い様々な活動をしています。

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