「星のふるさと」として知られている和歌山県・紀美野町に、日本最古の「めの祈願所」として信仰を集めている『釜滝薬師金剛寺』があります。
釜滝薬師金剛寺について
釜滝薬師金剛寺は、天長12(835)年に慈覚大師・円仁がこの地に赴き、山下にある釜の淵にできた「甌穴(おうけつ:岩などにできる円形のくぼみ)」の神秘さに心を打たれ、一刀三礼木像を刻み、その木像(薬師如来)をご本尊に安置したことが始まりといわれています。
創建当時は現在の寺院の近い小高い丘に草庵を結び、そこに本尊が安置されていました。鎌倉時代の初め、泉州(大阪府)日根野のシナという人物の寄進により、本堂が建立されました。
天正年間(1573~1591年)に織田信長の根来攻めの兵火にあたり、本堂が消失しましたが、宝暦3(1753)年に本堂が再建されました。
円仁が目にした甌穴は、釜滝薬師金剛寺より約800m下流(真国川)にあります大小無数の甌穴群は県指定の天然記念物に指定され、数千年にも及ぶ長い年月により川床の小石がえぐられて岩石を削ってできた穴といわれています。
日本最古の「めの祈願所」
古くから「目の薬師さん」として親しまれている釜滝薬師金剛寺。
ここを開山した慈覚大師は、心身の病気平癒、特に目の守護仏として薬師如来像をつくったといわれています。
ある時、この辺りに住む人々の目が赤くなるという病に見舞われました。
ここに安置されている薬師如来像に拝むと目の病が治るということが広まり、眼病平癒祈願にたくさんの人が参拝に訪れたのだとか。
それ以来、目のお薬師様として知られるようになりました。
また境内に、「お薬師さんのお水」という祈祷水が販売されています。
この水は、釜滝薬師金剛寺の右側の奥山より涌出する清水。
この清水の近くには、石菖(せきしょう)と呼ばれる多年草が自生し、その茎根が鎮痛・鎮静・健胃等に働きかけることから、漢方の成分としても重宝されています。
その茎根の成分をたっぷり含んだ清水が祈祷水として販売され、祈祷水で洗眼する人も多いのだとか。
古くから目の祈願所として親しまれている釜滝薬師金剛寺。
眼病平癒の他に、運勢の「め」、草木の「芽」に至るまでのご利益を授かることができるといわれています。
「め」のご利益を求めて、釜滝薬師金剛寺を訪れてみてはいかがでしょうか。
現代人の御利益エピソード
住職さまにお聞きした、最近のエピソードです。
『古くから、本尊様を拝めば目の病気の治癒にご利益を頂けると信じられております。
実際に当寺に訪れられる方には目の手術の成功を祈願され、無事に手術が終わったことを報告される方が大勢おられます。
中にはもう少しで失明というところでしたが、視力を失わずに済んだ方も居られます。
また、黄斑変孔を患い目の中の穴が大きくなって、手術が必要になる度に当院に訪れる方が居られました。
すると、不思議なことに目の中の穴が元の大きさに戻って手術をする必要がなくなったそうです。
このように現代でも目の悩みを抱えた方が日々訪れられ目の健康を祈願されます。』とのことです。
日本最古の「目の祈願所」には、今日も人々の願いが寄せられています。
>アクセス
JR「海南」駅より車で約30分
和歌山電鉄「貴志」駅より車で約15分
>住所
和歌山県海草郡紀美野町釜滝120
>お問い合せ
073-489-2830
>備考
【拝観料】無料
【参拝時間】9:00~17:00