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目の症状や病気と予防・治療法

ドライアイの原因3つの「コン」あなたは全部答えられますか?

最近「ドライアイ」という言葉が定着してきましたが、この用語が使われるようになったのは1990年頃だそうです。現在日本のドライアイ患者は増加傾向にあり、2,200万人にも上るといわれています。

そんなドライアイの原因は3つの「コン」といわれていますが、あなたは全部答えられますか?

その1.スマホが普及してもやはり使う人が多い「パソコン」

厚生労働省が発表した平成20年のデータによると、日本の企業のほぼ全て(97.0%)がコンピューター機器を使用しており、特にデスクトップやノート型パソコンを利用している企業の割合は95.9%にも上るということです。これは、多くの労働者が日常的にパソコンを使用していることを示しています(※1)。

また、平成29年度に発表された総務省の調査によると、2016年のパソコンの世帯普及率は73%であり、タブレット(34.4%)やスマートフォン(71.8%)の台頭によって減少しているものの依然高い割合となっています(※2)。

パソコンを使用すると、集中して画面を見続けることによってまばたきの数が減少します。まばたきは目の表面に涙の膜をいきわたらせるために必要です。まばたきが少なくなると、涙の蒸発が進み、眼球表面に涙がうまくいきわたらず、部分的に涙の膜がないところができてしまいます。

このように涙の状態が不安定になると、涙が蒸発しやすくなったり、眼の表面に傷がつきやすくなったりしてしまうのです。

その2.冬だけじゃない!夏も乾燥が気になる「エアコン」

エアコンの暖房を使用しているとき、約6割の人が部屋の乾燥を感じているという調査結果があります(※3)。もともと冬は気温が低く、空気中の水分量が少なくなるため、室内の空気も乾燥します。さらに(加湿機能を持たない)エアコン暖房を使うと、室内の乾燥は一段と進みます。

だからといって夏は大丈夫かというとそうでもないようです。全国のオフィスワーカーに、夏のオフィスの乾燥で不快に感じることは何かと聞いた調査では、71.7%の人が「目の乾燥」と答えています(※4)。

また、メカニズムの解明や治療薬の開発のため、動物でもドライアイの研究が行われています。とてもシンプルな方法で、マウスを乾燥したゲージの中で最大28日間飼育するというもの。すると、乾燥した環境下で飼育されたマウスは、涙の量が減ったり、角膜表面の障害(傷)が増えたりといったドライアイの症状が見られたのです(※5)。

マウスですら乾燥条件下ではドライアイになるので、人ももちろん…乾燥はドライアイのリスクになりそうですね。

その3.1991年以降使用者が急増している「コンタクトレンズ」

日本眼科医会の2015年の調査では、高校生の27%がコンタクトレンズを使用していると報告されています(※6)。また、九州保健福祉大学が行った調査では、対象とした大学生127名中、コンタクトレンズ使用者は70名(55.1%)もいることが分かりました(※7)。

日本眼科学会も、1991年の使い捨てソフトコンタクトレンズの発売以降、コンタクトレンズ装用者が急増し、それに伴って目のトラブルが増えているといっています。

コンタクトレンズは、視力の低い人がメガネなしで生活することができる高度医療機器ですが、目にとっては異物です。眼球の表面に直接乗せているのではなく、目の表面の涙の膜に浮かせることで装着できています。涙の膜は二層構造になって目に潤いを与えていますが、コンタクトレンズを入れることでこの層が崩れてしまい、ドライアイの可能性が高まるのです。

ドライアイにならないために、3つの「コン」対策を!

3つの「コン」、全部答えられましたか?

ドライアイの原因になるとはいっても、パソコンの作業も、エアコンやコンタクトレンズの使用も、やめることは難しいですよね。

いずれも、3つの「コン」による乾燥が原因と考えられますから、パソコンを使用するときは意識してまばたきする、また、部屋を加湿するなど、注意してはいかがでしょうか。

 

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※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【参考】
※1: 平成20年技術革新と労働に関する実態調査結果の概況|厚生労働省
※2: 情報通信白書平成29年版|総務省
※3: 冬場のエアコン暖房に関する女性お悩み実態調査|DAIKIN
※4: 夏でもドライアイの症状を感じる人は7割|日本アルコン株式会社
※5: Barabino S et al, The controlled-environment chamber: a new mouse model of dry eye. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2005 46(8):2766-71.
※6: 平成 27 年度学校現場でのコンタクトレンズ使用状況調査 – 日本眼科医会
※7: 大学生のコンタクトレンズ使用状況および使用に関する実態調査|九州保健福祉大学

【画像】
maroke / Shutterstock

更新:2023年12月8日

この記事を書いた人

大江 絵美

薬学博士

岐阜薬科大学薬効解析学研究室に4年間出向し、目のことやビルベリーの健康効果の研究を行ってきました。目のこと、サプリメントの素材についての研究や調査をもとにした情報発信を行っています。

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