ホタテといったら大人気のシーフード。バター焼きや甘辛煮にすると、とても美味しいですよね!
ところで、ホタテの部位の中でも特に甘みが強く、コリコリした歯ごたえがたまらない「ひも」の部分を観察したことはありますか?
そこには小さなつぶつぶがたくさん付いています。この黒い点のような粒の正体、実はホタテの“眼”なんです。
しかもその数は最大200個あり、私たちの目とは違う仕組みになっています。
今回は、神秘のヴェールに包まれたホタテの目の秘密を探っていきましょう。
ホタテは目を最大200個も持っている
私たちの身近な生物の目を想像する時、多くの人が当たり前のように2つの目を思い描くのではないでしょうか。しかし、ホタテは違います。
イスラエル・ワイズマン研究所が発表した論文(※1)によると、ホタテは最大200もの目を持っているそうです。
ただし、どのホタテも一律200個というわけではなく個体によってその数は様々。
このたくさんの目でホタテは外敵を感知し、命の危険から身を守っているようです。
他の生き物とは異なるユニークな目の仕組み
人間や動物、虫の目はレンズで光を集めます。その一方でホタテの目は鏡を使って光を集めるという特徴を持っています。
イスラエル・ワイズマン研究所の調査によると、このユニークな目の正体は「グアニン」という物質から成る水晶だということが分かりました。ホタテの目は、四角いタイル状のグアニン水晶が20〜30枚ほどの層になり、眼球の奥でカーブした鏡を形成しています。これが反射鏡として機能することで、網膜に焦点を合わせることができるのです。
わずか1mm程度の目であるにもかかわらず、他の生物とは異なる仕組みになっているとは驚きです。しかし、ホタテの目の秘密はこれだけではありません。
2つの網膜で2種類の映像を同時に見ることができる
私たち人間が網膜を1つしか持っていないのに対し、ホタテの目には2枚の網膜が備わっているのです。ホタテの網膜は眼球の中心にあり、線のような形状をしています。
驚くことに、この2つの網膜を使い、ホタテは同時に2種類の映像を見ることができるのです!
グアニンの反射鏡は特異な形をしていて、異なる光をそれぞれの網膜に集めることが可能になっています。
特殊な仕組みの目を持っているおかげで、ホタテは光の少ない海底でも身を守り生き延びることができるのではないでしょうか。
ホタテの魅力は美味しさだけではない
他の生き物とは異なる不思議な目を持つホタテ。美味しいだけに終わらず、知られざる目の可能性について私たちに教えてくれる生き物です。ホタテの目についてはまだまだ謎が多く、解明されていないこともあります。
今度ホタテを食べる時は口に運ぶ前に箸を止めて、ぜひホタテが見る世界に想いを馳せてみてください。でも、ホタテと目が合ったら、食べるのをちょっとためらってしまうかもしれませんね。
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【参考】
※1 : The image-forming mirror in the eye of the scallop
【画像】
JIANG HONGYAN/ Shutterstock