労働時間の短縮が叫ばれる「働き方改革」の渦中にある現代日本ですが、コロナ禍における働き方改革の一つであるテレワークや、ステイホームの影響でテレビやスマホを見る時間が長くなり目を長時間酷使することが多くなっています。
そんな中、前編の記事では「目の働き方を見直さないと起こるかもしれない目のトラブル」についてお話しました。
今回は、実際に目の働き方を見直すために何をしていけば良いのか考えていきましょう。
目の働き方を見直すためには「小さな習慣」が大事!
テレビ・パソコン・スマホなどのデジタル機器の使用時間を減らす努力はもちろんするべきです。
しかし、現代社会に生きる私たちは、通勤時にはスマホの電子書籍で本を読み、出社すると会議はオンラインで行い、パソコンを使って調べものや仕事をする。
家に帰るとテレビでドラマを見たり、湯船に浸かりながらスマホで動画を見て、休日はストレス発散にゲームをする。
といった、常にデジタル機器の画面を見続けるような目にとって過酷な生活を送っており、デジタル機器とは切っても切れない関係にあります。
同じような生活をしている人も多いのではないでしょうか?
しかし、仕事で何時間もパソコンの画面を見続けるからそれ以外では一切デジタル機器を使わない!というのは難しいですし、極端なデジタル機器の制限によって精神的なストレスがかかる状態も良くないですよね。
ストレスをかけることなく、目の働き方を見直すためには自分でできる小さな改善をコツコツと続けていくことが大切だといえます。
では、具体的にどういったことを改善していけば良いのでしょうか?
夜や暗い部屋には注意!
現代人の多くが抱えている目の悩みが「目の疲れ」ですよね。目の疲れには、目を長時間酷使すること以外にも「光」が大きく関係しています。
例えば、暗い部屋と明るい部屋では、同じ光量の画面を見つめていても、暗い部屋の方がきつく感じます。これは暗い環境だと、光をたくさん集めようとして瞳孔が大きくなるからです。
暗い中でスマホなどの光を見ている時、目の中の筋肉である毛様体筋が弛緩しているところに、光を取り込もうと毛様体筋を緊張させる動きが加わり、その結果、緊張と弛緩を小刻みに繰り返すような状態、つまり痙攣のような状態となっています。
また、ブルーライトのような波長の短い光は、空気中の細かい粒子にぶつかり散乱しやすく、チラつきの原因になるので、暗い中で画面を見続けると目が疲れてしまいます。
テレビアニメを見る際に、「テレビを見る際は部屋を明るくして離れて見てね!」というようなテロップが流れますが、これは目にとってとても大事なことなのです。
まずは、寝る前に部屋の電気を消したらスマホやテレビを見ずに目をつむるといった小さなことを習慣づけてみましょう。
太陽を浴びて液晶画面の光を控えめにする
人間は元来、太陽の下で狩りをする生活をしており、太陽が昇ると交感神経が優位になって活動的になり、太陽が沈むと副交感神経が優位になってリラックスモードに入るというリズムに基づいた生活をしていました。
ところが、デジタル機器の使い過ぎによるブルーライトの悪影響によってそのリズムが崩され、体が昼夜逆転状態になる「デジタル時差ボケ」を引き起こすことがあります。「デジタル時差ボケ」は不眠症や、日中の集中力・仕事の生産性の低下にもつながるので注意が必要です。
コロナ禍の中、外出するのは難しいかもしれませんが、仕事の休憩時間や休日の日中に少し外を歩いてみる、朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びる、そして液晶画面の光を浴びることを少し控える、などといった簡単なことから意識して取り組んでみましょう。
毎日自分の視力(を知ること)を意識する
現代人はあまり自分の視力(を知ること)をあまり意識した生活をしていません。年に1回の健康診断で視力が下がっていた、何年か前に作ったメガネやコンタクトレンズの度数が合わなくなってきたといった、長い月日をかけて視力の変化を感じることはあっても、「今日は昨日より視力が下がったな」という風に毎日視力の変化を意識している人は少ないのではないでしょうか。
実際テレビでも風景でも目の前に流れている情報をなんとなく流し見している状態であることが多いのです。
視力はある一定の時期に急激に下がるのではなく、毎日少しずつ上がったり下がったり変動しています。目を酷使すると一時的に視力は下がりますが、その後目をほぐすといったケアをしてあげることで視力が下がり続けることを防げます。
眼科で測ってもらうような視力検査を毎日行うことは難しいですが、視力検査表を壁に貼って簡単な視力検査を毎日行い記録することなら続けられそうですよね。
このように自分の視力(を知ること)を意識することで、「今日は少し視力が下がっていたから目のケアをしっかりしてみようかな」と考えることもできますし、「なんだか最近目の調子が悪いし、ケアしても効果を感じにくいから眼科に行ってみようかな」と、目の病気の早期発見につながることもあります。ぜひ自分の視力(を知ること)を意識する習慣を始めてみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。それぞれそんなに難しくなくて続けやすいものだと思います。今日からいきなり全部の習慣を頑張ろう!というのは難しいかもしれないので、これなら続けられそうかな?というものをいくつか見つけて、ぜひ目のために良い習慣を心がけてみてください。
今回の記事で一時的に視力が落ちた際に目のケアを行うと良いとお伝えしましたが、次回の後編の記事では実際にどんな目のケアをすれば良いのか、また目のピント調節能力を上げるための目のトレーニング方法などについてお伝えします。
皆さまに次の記事でもお会いできることを楽しみにしています。
■前編:「目の働き方を見直さないと起こるかもしれない目のトラブル」はこちら
■後編:「目の悩みがすっきり!「眼トレ」に挑戦してみましょう」はこちら
※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。
【参考】
・『若々』2021年3月号
・視力悪化が気になる方へ『眼科専門医と考えた「測るだけ眼トレ」ブック』
著:わかさ生活 監修:眼科専門医 林田康隆 発行所:株式会社アスコム
【画像】photoAC
『ふりねこ素材』