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目の症状や病気と予防・治療法

健康雑誌『若々』人気記事紹介! コロナ禍は目の疲労に注意!「目の働き方」見直してみませんか?(前編)

眼精疲労を感じて目頭を押さえている男性

「残業時間を減らそう!」「休日出勤をやめよう!」などの働き方改革が多く進められている昨今ですが、コロナ禍における働き方改革のひとつである「テレワーク」などの影響により、私たちの目は今まで以上に酷使される状況にあります。

テレワーク以外にも、ステイホームの影響でテレビやスマホなどデジタル機器の画面を見る時間が多くなり、「なんだか最近、目が疲れているな…」と感じている方も多いのではないでしょうか?

目に良くないとはわかっていても“デジタル機器の使用をなくす”ことは実際難しいですよね。そんなデジタル機器とは切っても切れない関係にある現代人の目ですが、使用時間を減らすこと以外に目の働き方を見直すポイントはあるのでしょうか?

この記事では、

  • 前編:目の働き方を見直さないと起こるかもしれない目のトラブル
  • 中編:目の働き方を見直すためには「小さな習慣」が大事!
  • 後編:目の悩みがすっきり!「眼トレ」に挑戦してみましょう

の3本に分けて、目の働き方改革について考えていきます。

目の働き方を見直さないと起こるかもしれない目のトラブル

元来、人間の目の初期設定は「サバンナで暮らす人」。そのため遠くにピントを合わせるのが楽な状態となっています。

しかし、現代人は至近距離でデジタル機器の画面を見続けるなど近くのものにピントを合わせることが多くなっています。近くにピントを合わせるためには、毛様体筋という筋肉を収縮させて調節するため、現代人の毛様体筋は持続的に収縮しています。

また、ブルーライトは波長が短く、空気中のチリやホコリにぶつかって光が散乱します。その状態で目はものを見ようとするため、毛様体筋の緊張が促され、目に負担がかかります。その結果、目にストレスがかかりトラブルが生じるのです。では、具体的にどのような目のトラブルが起こるのでしょうか?

視力検査表とメガネ

トラブルその1:近視

日本だけでなく、世界的にも近視人口は増えています。2016年に発表された論文[※1]では、2000年に全人類の約2割だった近視人口が、2050年までに約5割(約50憶人)になるという報告がなされており、今や近視は世界的に問題視されています。また、最近では20~40代で視力が低下する人が急増しています。

さらに、近視は進行すると失明の危険もあります。近視は一般的に毛様体筋のコリによってピント調節がうまくできなくなることが原因だと思われていることが多いですが、近視の大半は眼球が大きくなることで起こるということがわかってきました。

眼球が大きくなると網膜が薄くなったり、視神経を圧迫したりするため、失明し得る疾患である「網膜剥離」や「緑内障」の発症リスクが上がります。これらの疾患を発症する可能性のある「強度近視」は10人に1人の割合で生じると推計されています。[※1]

また、2018年12月に文部科学省が発表した「平成30年度学校保健統計速報(学校保健統計調査の結果速報)」によると、大人だけではなく、小学生の3人に1人が視力1.0以下であるという結果が出ており、子どもの近視も深刻化している状況にあります。

今の子どもたちは生まれた直後から身近にデジタル機器があるという生活のため、特に子どものデジタル機器の使用には注意が必要です。

目薬を差す女性

トラブルその2:ドライアイ

デジタル機器を使用する時間が増加したことにより、問題になっているのがドライアイです。目の表面は常に涙で覆われており、目を守るバリアのような役割をしています。涙の分泌は悲しいときなどに出る「反射性の涙」と、常に目をうるおしている「基礎分泌の涙」の2種類があります。

基礎分泌の涙は目の表面に「涙の膜」をつくることによって、目を乾燥から守っています。この基礎分泌の涙の量が少なくなることで目を保護できなくなる状態を「ドライアイ」といいます。

これは、エアコンによる目の乾燥や、テレワークやステイホームの影響でデジタル機器の画面を見つめる時間が長くなり、まばたきをする回数が減ることなどが原因であると考えられます。

また、年齢を重ねるとともに涙の分泌量が減少したり、涙が蒸発しやすくなったりするためにドライアイで悩む方も増加します。ドライアイになると、目の表面に傷がつきやすくなったり、涙が正常に機能しなくなったりしてかすみ目になりやすくなります。

目の保湿はまばたきによって高く保たれるので、ドライアイの人もそうでない人も意識してまばたきをすることが大切です。

目の疲労からくる肩こりを感じている女性

トラブルその3:眼精疲労

目の使い過ぎによって目だけでなく全身に疲れを感じる状態になり、休息や睡眠をとっても十分に回復しない状態を「眼精疲労」と呼びます。全身の症状には頭痛や首・肩のこり、イライラ感や吐き気などが挙げられます。

これらの症状は、デジタル機器の画面を長時間見続けたり、メガネやコンタクトレンズの不具合で目に負担がかかったりすることで起こりますが、精神的なストレスも原因になっている場合があります。

ピントを調節する毛様体筋は自律神経によって支配されているため、目を酷使して毛様体筋が疲れると、自律神経のバランスが崩れ、全身に症状があらわれると考えられています。慢性化する人も多く、たかが疲れ目と放っておくと近視のリスクも高まり、若い人でも緑内障や黄斑変性などに進行してしまう可能性があります。

目が疲れたなと感じたらこまめに休息をとるなど、目をいたわる習慣を日頃から身につけるようにしましょう。[※2]

まとめ

目の働き方を見直さないとこういった目のトラブルが起こる可能性があります。また、こうした目の不調を、すぐに治るちょっとした不調だと思って放っておくと、取り返しのつかない病気に進行してしまう可能性があります。手遅れになる前に、自分の目としっかり向き合い正しくケアしましょう。

では、どのようにケアしていけば良いのか、次回以降の中編・後編の記事でお伝えします。次回の記事でもお会いできるのを楽しみにしております。

 

中編:「目の働き方を見直すためには「小さな習慣」が大事!」はこちら

後編:「目の悩みがすっきり!「眼トレ」に挑戦してみましょう」はこちら

※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【参考】
[※1] Holden BA. et al. Ophthalmology. 2016
[※2]『くすりと健康の情報局』眼精疲労の原因より:https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/37_ganseihirou/

【画像】photoAC

この記事を書いた人

メノコト365編集部

目の健康に関するあらゆる情報を発信しています。子どもたちが健やかな目で生活できるように、小さなうちから正しい健康習慣を身につけてもらうための健育イベントを開催するなど、目の健康について意識を高めるきっかけになることを願い様々な活動をしています。

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