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目を鍛えるトレーニング術

始める年齢から具体的な方法まで!子どものビジョントレーニング入門

見る力を鍛えるビジョントレーニングの考え方においては、視機能など体の機能がどんどん発達していく子どものうちに行うと、その伸びしろが大きいといわれています。

今回は、子どもの学習にビジョントレーニングを取り入れた事例を交えながら、取り組むのに適した年齢は何歳ごろか、どんな方法で行えばいいのか、楽しく取り組める本やアプリはあるのかなどを紹介します。

ビジョントレーニングで子どもの「見る力」を鍛える理由

ビジョントレーニングは「見る力」を鍛えるトレーニングです。見る力というのは、視力だけではありません。ものを見るときにきちんとピントを調節できる、映像としてとらえることができる、視野が広いといったことも、見る力に含まれます。

見る力が弱い、「見えにくい」状態になると、遊んでいるときにボールやおもちゃが見えにくい、勉強するときに本の字が読みにくい、などの困りごとがでてきます。そうなると、まず「見る」ためにより多くの労力が必要になり、その結果、運動や勉強に対して「なんだかうまくできない」という苦手意識を抱くようになってしまうことがあります。

そこで、ビジョントレーニングで「見る力」を鍛えましょうという発想がでてくるわけです。

ビジョントレーニングを学習に取り入れた子どもたちの話

『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング』『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング2』(北出勝也著)には、小学生から高校生の児童がビジョントレーニングを行なった事例がいくつか紹介されています。

それによると、ビジョントレーニングに取り組んだ子どもたちに

・本読みがスムーズにできるようになった

・漢字の形を整えて書くことができるようになった

・マス目の中に字を書けるようになった

・整理整頓ができるようになった

などの変化がみられたそうです。

ビジョントレーニングを始めるのに適した年齢は

ビジョントレーニング子どもの写真

生まれた直後はほとんど発達していない子どもの目が、大人とほぼ同程度の視機能にまで発達するのは、だいたい12~13歳。特に6歳から13歳の時期はビジョントレーニングによる伸びしろが一番大きく、「目のゴールデンエイジ」と呼ばれています。

オプトメトリスト(※)の北出勝也先生によると、ビジョントレーニングの基礎を身につけておくのに望ましい年齢は3~12歳。この時期にトレーニングをしておくと、視機能のベースができあがるため、大人になってから毎日トレーニングする必要はないそうです。

なお13歳以上であっても、ビジョントレーニングで見る力を鍛えるのは可能とのこと。『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング』には、トレーニングを行うことで学習面のつまずきを解消した中学生の事例が紹介されています。また、中高生からプロにいたるまで多くのアスリートがビジョントレーニングに取り組み、見る力を鍛えています。

※オプトメトリストとは、欧米先進国を始め、アジア・アフリカなどの多くの国で国家資格として認められている視覚機能検査・訓練士のこと

ビジョントレーニングの方法と子どもが行う場合の注意点

ビジョントレーニングは、眼球運動、視空間認知、眼と体のチームワークの3つに分けるこができます。さらに眼球運動は、追従性運動トレーニング、跳躍性運動トレーニング、両目のチームワークに分けることができます。

ビジョントレーニングを行う場合は、その子に合った内容・レベルのワークを選ぶ必要があります。本格的に行う場合は、検査を受けてその子に必要なトレーニングを選ぶようにしましょう。小学生までの子を対象としたビジョントレーニングの教室も各地にあるので、必要に応じて相談に行ってみてはいかがでしょうか。

また、ビジョントレーニングは長時間行う必要はありません。1日5分程度でいいので、毎日行うことが大切です。

まずはどんなトレーニングを行うのかだけでも知りたいという場合は、基本の5種類のトレーニングをまとめた記事があります。こちらを参考にしてください。

▼ビジョントレーニングの基本をまとめました!
ビジョントレーニングの方法・やり方「基本の5種類から始めてみよう!」

子どものビジョントレーニングに使える無料ドリル

ビジョントレーニング子どもの写真

ビジョントレーニングが合うかどうか、まずは気軽に試したい場合は、インターネット上で無料公開されているドリルを利用するといいでしょう。メノコト365でもドリルを無料公開しています。パソコンの画面を見ながら行うのはかえって目が疲れる場合があるので、ダウンロードしてプリントアウトして使うことをおすすめします。

メノコト365で公開しているドリルは、以下の記事にてまとめています。新しいドリルが追加されると随時更新していますので、定期的にチェックしてみてください。

▼多くの無料プリント・ドリルとやり方を紹介しています
ビジョントレーニング無料プリント・ドリル教材

子どものビジョントレーニングに役立つ本

ビジョントレーニング子どもの写真

子どものビジョントレーニングをテーマにした本も出版されています。ワークだけでなく、視機能の発達や見る力についての解説など、ビジョントレーニングを行う上で知っておきたいことも多く盛り込まれていて、参考になります。

ビジョントレーニングの本には一般的な入門書だけでなく、発達に不安がある子どもや、スポーツをしている子どもをテーマにしたものがあります。お子さんに合ったテーマのものを選ぶといいでしょう。

ビジョントレーニングのおすすめ本を以下の記事にまとめています。ぜひ、本選びの参考にしてください。

▼ビジョントレーニングについて知りたい方は、こちらの書籍もおすすめです
ビジョントレーニングのおすすめ本7選!ニーズに合わせて実践しやすい本を選ぼう!

子どものビジョントレーニングに役立つアプリ

ビジョントレーニング子どもの写真

スマートフォンを使ってビジョントレーニングをしたい場合ですが、スマートフォン用のアプリには内容がしっかりしたものが少ないのが現状です(※)。

※2019年5月現在のメノコト編集部調査より

画面の大きなパソコンでビジョントレーニングを行うパソコンソフトや、タブレット端末用のアプリであればいくつかあるので、それを利用するといいでしょう。

ビジョントレーニング用のパソコンソフトやアプリの情報を以下の記事にまとめています。

▼メノコト365が紹介するビジョントレーニングアプリ
スマホやタブレットでビジョントレーニングはできるの?アプリやソフトの現状とは

まとめ

ビジョントレーニングを行うことで、子どもの「見る力」を鍛えることができます。ビジョントレーニングの考え方においては、トレーニングを行う場合は、6~13歳くらいまでの「目のゴールデンエイジ」に行うと伸びしろが大きくなるといわれています。

できれば、3歳くらいから始めて「見る力」のベースを作っておくと良いでしょう。1日の取り組む時間は短くてもいいので、子どものレベルに合ったトレーニングを、無料プリントや本などを参考にして毎日行なってください。

ビジョントレーニング注意事項(行う前に必ず読んでください)

 

■すべてのビジョントレーニングシリーズにチャレンジしたい方はこちら
ビジョントレーニング無料プリント・ドリル教材

■「ビジョントレーニングのアプリ・本」が気になる方はこちらもチェック
スマホやタブレットでビジョントレーニングはできるの?アプリやソフトの現状とは
ビジョントレーニングのおすすめ本7選!ニーズに合わせて実践しやすい本を選ぼう!

■「ビジョントレーニングをもっと学びたい方」はこちらもチェック
ビジョントレーニングの方法・やり方「基本の5種類から始めてみよう!」
子どもから大人まで!事例から考える、ビジョントレーニングで期待できる効果
発達が気になる子どもにビジョントレーニングが有効な理由を北出勝也先生に聞いてみた

■「子どもとビジョントレーニング」が気になる方はこちらもチェック
発達が気になる子どものビジョントレーニング活用方法!発達障がいの子どもの事例

■「スポーツとビジョントレーニング」が気になる方はこちらもチェック
さまざまなスポーツにビジョントレーニングが!アスリートたちの取り組み事例
野球にもビジョントレーニング!選手たちはどう活用している?

 

 

※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【ビジョントレーニング注意事項】
・眼に病気がある方、また気になる方は、眼科を受診してビジョントレーニングを行うことが可能かどうか医師に確認してください。
・遠視、近視、乱視などがありメガネなどで矯正する必要がある場合は、矯正を行ってからトレーニングを始めてください。
・トレーニング中に眼の痛みを感じた場合はトレーニングを中止して、眼科を受診してください。

【参考】
・北出勝也,発達の気になる子の学習・運動が楽しくなるビジョントレーニング,2015年5月初版
・北出勝也,学ぶことが大好きになるビジョントレーニング,2009年11月初版
・北出勝也,学ぶことが大好きになるビジョントーレニング2,2012年7月初版
・小松佳宏,発達障害の子どもを伸ばすビジョントレーニング,2019年4月初版

【画像】
siro46,maroke.BlurryMe,ravipat,PR Image Factory / Shutterstock

この記事を書いた人

戸田 友里

わかさ生活プロアドバイザー。一人でも多くの人に目の健康に関する正しい情報を伝えたいと、Webや紙面で発信する活動を行っています。ビジョントレーニング指導者1級。

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