文字の
サイズ

目の症状や病気と予防・治療法

疲れ目(眼疲労)と眼精疲労の違いって?

眼疲労で悩んでいるスマートフォンを見て目が疲れている女性

「最近よく目が疲れる」「目の奥が重だるい感じがする」といったことはありませんか?ただ目が疲れただけ。そう軽く考えていると体全体の不調に繋がる「眼精疲労」になってしまうことがあります。しかし、実はセルフケアで予防できることもあるのです。放っておくと厄介な眼精疲労の原因と対策を紹介します。

それは一時的な「疲れ目(眼疲労)」?慢性的な「眼精疲労」?

「眼疲労」と「眼精疲労」は別ものだということをご存じでしょうか?

例えば2、3時間連続して本を読んだり、長時間テレビを見たりした時に感じる、目のショボショボやピントが合わないという症状は「目の疲れ」です。そんな時、少しの間目を閉じたり散歩をしたり遠くの景色をなんとなく見たりするだけで、ある程度回復するようであれば、症状は一時的。そのようなものは「眼疲労」に区分されます。

ところが疲れ目の状態で休憩や適切な処置をとらないと、症状が慢性化します。慢性化した疲れ目は「眼精疲労」と呼ばれ、目の奥の痛みや重だるい不快感などの症状を引き起こしたり、頭痛や肩こりなど体の他の部位に病的な症状が伴ったりするだけでなく、睡眠をとっても十分に回復しない状態となります。治療の時間やお金もかかるようになるため、厄介です。

眼疲労と眼精疲労の違いを示した図

まずは簡単セルフチェック

思い当たる症状はありませんか?

  • 目がチカチカする
  • 目がかすむ
  • 目の奥に痛みを感じる
  • 目がかゆくなる
  • まばたきが増えた
  • まぶたがピクピクする
  • 目が乾燥する
  • 目が充血する
  • 肩こりがひどい
  • 頭が重い
  • 全身がだるい
  • 吐き気がする
  • 眠れない

これらの症状のある方は、眼精疲労の可能性があります。しかし、眼精疲労以外の原因によって現れることもあるので、あくまで目安と考えましょう。

眼精疲労を引き起こす原因

眼精疲労を引き起こす原因は一つとは限りません。代表的なものを紹介します。

目の病気によるもの

物がかすんで見えたり眩しさを感じる白内障、視野が狭まる緑内障、まぶたが下り、見える範囲が狭くなる眼瞼下垂(がんけんかすい)など、目の病気によって見づらい状況が続いていると眼精疲労が起きやすくなります。病気というとピンとこないかもしれませんが、近視や遠視、老眼などの矯正が合っていないことによる見づらさも原因となります。

体の病気、精神的なものによるもの

高血圧症や糖尿病、肝臓病などの生活習慣病にかかると眼精疲労を起こしやすくなるといわれています。また、精神的ストレスや自律神経失調症など体の症状が目に影響することも珍しくないようです。

目の使い過ぎによるもの

圧倒的に多く、また誰にでも眼精疲労の原因となる可能性があるのが、目の酷使です。職場や学校ではパソコンやタブレット端末を使い、通勤や通学時、帰宅してから就寝までの間はスマートフォン。そんな生活に心当たりはありませんか?

内閣府の調査でも中学生、高校生など青少年のスマートフォンの利用時間が年々増加していると報告されています。パソコンとスマートフォンでは画面までの距離も画面の大きさも違います。より近く、より小さい文字を見るスマートフォンの方が、目が疲れやすくなる傾向にあります。

眼精疲労はもはや大人だけの症状ではなくなっているのかもしれません。

眼精疲労の対策 

眼精疲労の原因がいくつかあるように、対策方法も様々。原因となるものを改善し目に掛かる負担を少しずつ軽くするだけでも変わる可能性があります。

病気が隠れていないかを検査

まずは、目や体に病気が隠れていないかを診てもらいましょう。特に目の病気は少しずつ進行するため気付きにくく、一度悪くなると完治が難しい場合があります。年齢と共にリスクも高くなるため、普段から定期的に眼科で検査しておくと安心ですね。

目にあったメガネやコンタクトレンズを

近視や遠視、老眼などの矯正には、きちんと度の合ったメガネやコンタクトレンズを使用するようにしましょう。ピントが合っていないメガネやコンタクトレンズを使用していると、無理をして見ようとするので目が疲れる原因になります。

また、近視の矯正用メガネは遠くにピントが合うように調整されています。その状態でパソコンやスマートフォンなど至近距離を見ることも疲れる原因に。できれば、環境によって使い分けて目の負担を軽くしましょう。

環境を整える

パソコンやスマートフォンを使っている時、どんな姿勢になっていますか?かなり多くの方が、前屈みになって画面を凝視しているのではないでしょうか。猫背になることで、血流が悪くなり、酸素や栄養が目に届きにくくなるだけでなく、疲労物質が体に溜まってしまい疲れが取れにくくなります。

また、画面を見ていると自然と瞬きの回数が減り、目が乾燥しがちになります。ドライアイなど目の乾燥も疲労の原因になります。意識して瞬きをするとともに、部屋の空調などにも気をつけましょう。

循環を良くするセルフケア

そもそも、ものを見る時に働いて、酷使しているのは目の筋肉。腕や脚の筋肉と同じように考えると、長時間使うことで筋肉が疲弊し、凝り固まっているわけですから、休ませると回復するはずです。それができないほどになっているのであれば、人為的に血行を促したり筋肉をほぐすことが必要です。

目の周辺のマッサージ、ツボ押し

目の周辺や首、肩には疲れに良いツボがたくさんあり、自分でも手軽に押すことができます。目が疲れた時に目頭を軽くつまんでいる姿を見たことはありませんか。ツボだと意識していなくても経験で知っている方も多いはず。目の疲れにおすすめのツボについて詳しく紹介していますので参考にしてみてください。

眼精疲労になる前に 疲れを和らげるおすすめのツボ

眼球運動=ストレッチ

また、目の筋肉を動かすこともストレッチになります。頭を動かさず、目だけを上下、左右、斜め、グルグル回転させるなど、ゆっくり大きく動かすことで筋肉がほぐれます。疲れを感じた時はもちろん、作業前にストレッチしたり、1時間画面を見たら画面から目を離して眼球運動するなど、習慣にしてしまうのがおすすめです。

温める

まぶたの上からホットアイマスクをすると血行が良くなるので、スッキリしたと感じる方が多いと思います。ドラッグストアなどでは簡単なアイマスクも売っていますし、お風呂でタオルを使えばもっと手軽にできますね。

目に良い栄養素を摂る

目に酸素や栄養が不足すると疲労感を感じることがわかっています。そこで、目にとって良い栄養を摂ることも眼精疲労の予防ができると考えられます。ブルーベリーの一種、ビルベリーに含まれる「アントシアニン」は、眼精疲労や血流の改善に働くという報告もあります。

ビルベリーエキスがパソコン作業時の目の疲労感を抑えてくれるってホントなのか?3つの研究論文から解説

ブルーベリーは夏が旬の果実なのでこれから目にする機会も増えるかもしれませんね。最近では冷凍果実でスーパーやコンビニで見かけるようになりました。糖分などを気にせず「アントシアニン」をしっかり摂るにはサプリメントを上手く利用することがおすすめです。

眼精疲労は一日にしてならず?日々の対策が重要!

「眼精疲労」は眼痛、視力障害など目の症状のほかに、肩こりや頭痛、倦怠感など全身症状にまで影響したり、中には自律神経失調症を引き起こしたり、決して侮れません。

また、一時的な疲労よりは蓄積されたものが原因である場合が多いので、やはり、日々の対策が眼精疲労を予防できると考えた方が良いといえます。

パソコンもスマートフォンも使わない生活は考えられない時代だからこそ、上手く付き合っていけるように普段から意識しましょう。

 

※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【参考】
・日本眼科学会
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/hoka_gansei.jsp
・内閣府 青少年のインターネット利用状況
https://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/r01/net-jittai/pdf/kekka_gaiyo.pdf
・眼精疲労/血流改善効果
※:Matsunaga N, Imai S, Inokuchi Y, Shimazawa M, Yokota S, Araki Y, Hara H.Bilberry and its main constituents have neuroprotective effects against retinalneuronal damage in vitro and in vivo. Mol Nutr Food Res. ;53(7):869-77.2009.
※ : Matsunaga N, Chikaraishi Y, Shimazawa M, Yokota S, Hara H.Vaccinium myrtillus (Bilberry) Extracts Reduce Angiogenesis In Vitro and In Vivo.Evid Based Complement Alternat Med. 2007.

この記事を書いた人

戸田 友里

わかさ生活プロアドバイザー。一人でも多くの人に目の健康に関する正しい情報を伝えたいと、Webや紙面で発信する活動を行っています。ビジョントレーニング指導者1級。

こちらの記事もおすすめ