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発達が気になる子どものビジョントレーニング活用方法!発達障がいの子どもの事例

発達障がいと向き合う子どもの療育の一環として、ビジョントレーニングが取り入れられることがあります。今回は、発達障がいのある子どもや発達が気になる子どもがビジョントレーニングをどうやって取り入れればいいか、トレーニングを行うにあたって役立つ本やアプリを紹介します。

ビジョントレーニングで鍛えられるのは「見る力」

指で作ったハートからのぞく女の子の写真

発達障がいを抱えるお子さんの悩みは多岐に渡るのではないでしょうか。そして、特に「読む」「書く」「運動する」ことを苦手に感じている場合は、その原因に「見えづらさ」が潜んでいる場合があります。

ビジョントレーニングにおいて「見る力」とは、単純に視力の良し悪しを指すのではありません。「目で見て」「見た情報を処理して」「その処理に合わせて体を動かす」の3つのプロセスを指すのです。視力が良かったとしても、この3つのプロセスのうちどれかひとつでもうまくできないのであれば、「見えづらさ」を抱えることになります。

ビジョントレーニングはこの3つのプロセスを鍛え、「見る力」を鍛えます。もし、発達障がいの子どもが見えづらさによる困りごとを抱えているようであれば、ビジョントレーニングで「見る力」を鍛えるのも選択肢のひとつになるでしょう。

発達が気になる子のビジョントレーニングにはどんな効果が?さまざまな事例を紹介

実際に発達障がいの子どもがビジョントレーニングを取り入れるとどうなるのか、気になりますよね。市販されている書籍の中には、発達障がいの子どもの療育にビジョントレーニングを取り入れた事例を紹介しているものがあります。

『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング』(北出勝也著)には、もともと得意だった計算が急に苦手になった発達障がいの中学生が、眼球運動を中心としたビジョントレーニングを行うことで計算が正確にできるようになった事例が紹介されています。

また、『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング2』(北出勝也著)には、発達障がいの子どもたちが学ぶ特別支援学級で、授業前にビジョントレーニングを、漢字の学習時にジオボード(※)を導入した結果、定着率があがり、形を整えて書けるようになった事例が紹介されています。

※5×5の突起をつけた正方形のボード。突起に輪ゴムをひっかけて、見本の図と同じ形を作るなどしてトレーニングを行う、学習補助教材。

このほか、『発達障害の子どもを伸ばすビジョントレーニング』(小松佳宏著)には、漢字一文字書くのに15分かかり、友だちにも乱暴だった小学生の子どもが、ビジョントレーニングを行うことで字がスムーズに書けるようになり、気持ちも落ち着き乱暴な態度が収まったという事例が紹介されています。

上記の書籍には、発達が気になる子や特別支援学級の子どもの療育にビジョントレーニングを取り入れた事例がほかにも紹介されています。効果は一人ひとり違いますが、トレーニングの事例が複数あることは、心強く感じられるのではないでしょうか。

具体的なビジョントレーニングの方法

指をたてる笑顔の男の子の写真

ビジョントレーニングは大きく分けて、「追従性眼球運動トレーニング」「跳躍性眼球運動トレーニング」「両目のチームワーク」「視空間認知トレーニング」「目と体のチームワーク」の5つがあります。

ビジョントレーニングでは、その子のレベルに合わせたトレーニングを行うことが必要です。まずはオプトメトリスト(※)などの専門家や、発達が気になる子どもむけのビジョントレーニング教室などに相談し、見え方をチェックしてもらうといいでしょう。

※欧米先進国を始め、アジア・アフリカなどの多くの国で国家資格として認められている視覚機能検査・訓練士。

▼詳しい方法を知りたい方はこちらをチェック
ビジョントレーニングの方法・やり方「基本の5種類から始めてみよう!」

ビジョントレーニングで特に注意すべきことは?

トレーニングを行う場合は、子どもが楽しんで取り組める工夫をしましょう。保護者も一緒にトレーニングを行なったり、体を動かすトレーニングのときには楽しい音楽をかけたりするなど、遊び感覚でできる雰囲気づくりを心がけてみてください。

使用するワークにも配慮が必要です。発達障がいの子どもにはもともと見る力が弱い子どももいるので、ワークシートの絵や文字はコントラストがはっきりしているか、絵や文字の大きさが小さくないかを確認しておきましょう。部屋の明るさなど、見えやすい環境作りも大切です。

このほか、トレーニングや日常で使う道具にもちょっとした配慮をするといいでしょう。鉛筆にはグリップをつけて持ちやすくする、少しの力で切れるはさみを使う、本を読むときには読書用ガイドを使う、目盛りが読みやすい定規を使うなど、ロービジョン用やユニバーサルデザインの道具を活用してみてください。

「見る力」についてよく分かり、ワークも豊富なビジョントレーニング本

ママと一緒に何か描いている女の子の写真

ビジョントレーニングに関する書籍の中には、子どもの発達を促すことをテーマにしたものもあります。そういった書籍にはビジョントレーニングのワークシートだけでなく、「見る力」や発達についての話が書かれているものもあり、より理解が深まります。筆者が考える代表的なものを紹介しましょう。

『発達の気になる子の 学習・運動が楽しくなる ビジョントレーニング』(監修:北出勝也 ナツメ社 2015年発売)

発達に問題を抱えている、読み書き、運動、手先を使うことを苦手と感じている子どもとその保護者向けの書籍です。合計32種類のトレーニングのほか、見えづらさによる困りごとを抱えている子どもの現状の解説や、どんなトレーニングでどんな力が育つのか、グループや家庭で何ができるか、見る力を高める日常生活での工夫などを紹介しています。

発達障がいの子ども向けの本はほかにどんなものがあるのか

このほか、発達障がいの子ども向けの書籍としては、ビジョントレーニングの指導者であるビジョントレーナーが書いた『発達障害の子どもを伸ばすビジョントレーニング』(著:小松佳宏 実務教育出版 2019年発売)や、付録のCD-ROMにワークやWindows用ソフトが入っている『発達障害のある子どもの視覚認知トレーニング』(著:本多和子 学研教育みらい 2012年発売)などがあります。

『発達の気になる子の 学習・運動が楽しくなる ビジョントレーニング』などの書籍の内容については、以下の記事で詳しく紹介しています。

▼定番のおすすめ本を紹介!もっと知りたい方はこちらもどうぞ
ビジョントレーニングのおすすめ本7選!ニーズに合わせて実践しやすい本を選ぼう!

パソコンやタブレット端末も活用したい!パソコンソフトやアプリはあるの?

パソコンやタブレット端末を使ってビジョントレーニングを行いたい場合は、専用のソフトやタブレット用のアプリを活用することになります。パソコンソフトやタブレット用のアプリについては、まだそれほど数は多くありませんが、以下のようなソフト・アプリがあります。

ビジョントレーニングⅡ(iPad用アプリ、Windows用ソフト)

iPad用アプリは3歳以上、Windows用ソフトは5歳以上を対象としています。難易度調整機能がついていて、その子にあったレベルのトレーニングに取り組むことができます。

視覚認知バランサー(iPad用アプリ、Windows用ソフト)

アプリ版、ソフト版ともに5歳以上を対象としています。オリジナルマスコットがガイドしてくれるので、子どもでも楽しんで取り組むことができます。

▼各アプリの具体的な内容を知りたい方はこちら
スマホやタブレットでビジョントレーニングはできるの?アプリやソフトの現状とは

気軽に試してみたいなら「メノコトビジョントレーニングシリーズ」無料プリントを活用!

本などを使って取り組む前に、ビジョントレーニングが子どもに合っているかどうかをまず試してみたい。そういう場合は、無料で使えるシートやドリルを活用してはいかがでしょうか。

メノコト365では、ビジョントレーニングのドリルを「メノコトビジョントレーニングシリーズ」として複数、無料で公開しています。このドリルは自由にダウンロードやプリントアウトができますので、ぜひご利用ください。

子どもが見やすい字の大きさになるサイズでプリントアウトする、親子でリラックスしてゲーム感覚でやってみるなど、子どもが楽しんでできる環境を作って試してみてください。

▼無料プリントをたくさん公開中!まずはこちらで試してみよう
ビジョントレーニング無料プリント・ドリル教材

まとめ

発達が気になる子の中には、見えづらさからくる困りごとを抱える子がいます。そういった子の中には、療育にビジョントレーニングを取り入れたことをきっかけに困りごとが軽くなったケースもみられます。まずはお子さんの見え方を確認し、必要に応じて、その子に合ったレベルのビジョントレーニングに取り組んでみてはいかがでしょうか。

より本格的に取り組む場合は、オプトメトリストなどの専門家につく、教室に通うなどして専門家の指導を受けることをおすすめしますが、まずちょっと試してみたいという場合は、書籍やメノコトビジョントレーニングシリーズのプリントなどを活用してみてください。

【ビジョントレーニング注意事項】
・眼に病気がある方、また気になる方は、眼科を受診してビジョントレーニングを行うことが可能かどうか医師に確認してください。
・遠視、近視、乱視などがありメガネなどで矯正する必要がある場合は、矯正を行ってからトレーニングを始めてください。
・トレーニング中に眼の痛みを感じた場合はトレーニングを中止して、眼科を受診してください。

 

■すべてのビジョントレーニングシリーズにチャレンジしたい方はこちら
ビジョントレーニング無料プリント・ドリル教材

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※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【画像】
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この記事を書いた人

戸田 友里

わかさ生活プロアドバイザー。一人でも多くの人に目の健康に関する正しい情報を伝えたいと、Webや紙面で発信する活動を行っています。ビジョントレーニング指導者1級。

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