東海道五十三次の真ん中に位置する静岡県袋井市。市内にはさまざまな寺社仏閣があり、観光地としても知られています。その1つである「油山寺(ゆさんじ)」は、昔から目の霊山として親しまれ、眼病平癒にまつわる伝説が数多く残されているのだとか。そんな油山寺を紹介します。
※お出かけの際には、マスク着用、咳エチケット、手洗い・うがいなど感染予防対策を行ったうえで参拝をお願いします。
かつて油が湧き出たことから名付けられた「油山寺」
油山寺を目指して国道を進んで行くと、「国之宝 油山寺」と書かれた大きな看板を発見。まもなくお寺の入り口に辿り着きました。
油山寺は、大宝元年(701)に行基菩薩が「万民和楽・無病息災」を願い、自ら薬師如来を彫って御本尊として安置したことが始まりといわれています。現在、その薬師如来は重要文化財にも指定されています。
油山寺という名前は、山中から油が湧き出していたことに由来するようです。境内にある「るりの滝」からも油が流れ出ていたため、「油山寺」という寺号が付けられ、地元の人々からは「あぶらやま寺」の愛称で親しまれるようになったそうですよ。
油山寺に残る2つの眼病平癒伝説
油山寺には、眼病平癒にまつわる2つの伝説が残されています。1つは孝謙天皇にまつわる伝説です。言い伝えによると、 眼病を患った孝謙天皇が油山寺の薬師如来に祈願し、るりの滝の水で目を洗ったところ、たちまち病が治ったというのです。このことをきっかけに、孝謙天皇は油山寺を勅願寺としたことで、目にご利益がある寺として広く知られるようになったのです。
2つ目は、中納言・藤原宗成の娘である照姫にまつわる伝説、通称「照姫伝説」です。母を亡くした悲しみによって目が悪くなってしまった照姫は、眼病平癒にご利益がある油山寺を訪れて眼病平癒の祈りを捧げました。すると少しずつ照姫の目は良くなり、喜んだ照姫はお礼参りと母の菩堤を弔うため尼になりました。しかし不運なことに17歳という若さで亡くなってしまったのです。
照姫の妹の露姫が姉の初七日に油山寺を訪れると、夢に照姫が現れて「私の魂は油山寺にある椿に宿っています」と告げました。その後、父の宗成が娘の魂が宿る椿を見に寺を訪れ、椿の横に荒れ果てた三重塔を見つけ、娘の菩堤を弔うと同時に塔を修理したそうです。
現在も三重塔の隣では、「照姫椿」が毎年冬から春にかけて美しい花を咲かせています。
現代にも伝わる、硬貨で「め」を書く習わし
境内を散策していると、通常の絵馬に混じって不思議な絵馬が飾られているのを見つけました。穴の空いた硬貨で「め」の文字が書かれています。こちらは眼病平癒を願って参拝者が奉納したもののようです。
また、境内の至る所には同じように硬貨で「め」と書かれた額が飾られています。これは眼病平癒の願掛けをした参拝者が、平癒のお礼として納めたものだそうです。瞳のように穴の空いた硬貨を並べて「め」の文字を作るのは古来からの習わし。現在もそのスタイルが受け継がれているのですね。
医療関係者も訪れる目のご利益スポット
様々な伝説が残る油山寺は、患者さんの眼病平癒を祈願するために眼科医や看護師の方も訪れるそうですよ。今は目の心配事がない方も、今後の目の健康を願って油山寺に足を運んでみてはいかがでしょう?
ただし、新型コロナウイルスが落ち着くまでは、マスク着用、咳エチケット、手洗い・うがいの励行など感染予防対策をした上で参拝してくださいね。
【アクセス】JR「袋井」駅より車で約10分
東名高速道路「袋井インター」より車で約15分
【住所】静岡県袋井市村松1
【お問い合せ】0538-42-3633
【HP】https://yusanji.jp/
※本記事内の情報は2020年2月時点のものに加筆しております。