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目の症状や病気と予防・治療法

白内障の手術をするのに年齢的な目安はあるの?[教えて!川原先生]

加齢により起こる白内障は多くの人がかかる病気。手術をする年齢もさまざまです。そんな中、メノコト365の読者から「白内障の手術をするのに年齢的な目安はあるの?」という質問をいただきました。

この質問について、眼科医で白内障の治療や手術に詳しい川原眼科院長の川原周平先生にお考えを聞いてみました。


回答・監修者プロフィール
川原 周平(かわはら しゅうへい)
川原眼科院長。
2003年九州大学医学部卒業後、九州大学病院や国立病院機構「小倉医療センター」で臨床経験を重ね、2016年福岡県の糟屋郡に川原眼科を開院。先進医療認定施設として最先端の白内障や網膜硝子体疾患の手術治療を専門とする。
医学博士。日本眼科学会専門医。ICL認定医。オルソケラトロジー認定医。ボトックス認定医。LASIK(IntraLase)認定医。
川原眼科HP


手術をするのにちょうど良い年齢は?最適なタイミングを教えてください!

【読者から質問】
見えづらさを感じていて老眼のせいかなと思いつつ病院へ行ったら白内障と診断されました。お医者さんからはまだ初期の段階だし手術は必要ないと言われたのですが、いずれは手術しなくてはいけないかなと思っています。一般論として、年齢的にちょうど良い手術の時期ってあるんでしょうか?(50代前半/男性)

大江編集長(以下、大江):この方のように、白内障と診断されたけど手術はいつしたらいいの? と悩む人は多いと思います。川原先生は患者さんからこのような質問をされたとき、どのように答えられるのでしょうか?

川原先生(以下、川原):ちょうど良い年齢ですか…難しいですね。実は白内障手術を受けるのに年齢は関係ないんですよ。

というのも、白内障の主な原因は加齢といわれていますが、50歳で手術をすべき人もいれば、90歳になっても手術をしなくても困らない人もいるのです。

大江:年齢までは難しいかもしれませんが、何か参考になる目安はないでしょうか?

川原:では、これまでの私の経験から、患者さんの年齢別によく見られる事例をご紹介します。あくまでも事例としてみていただき、気になることがあれば医師に相談しましょう。

40~50代は仕事や運転で不便を感じるかどうかで考えてみては?

大江:今回の質問者は、50代前半の男性でまだ白内障初期という方でした。40~50代で白内障の症状が見つかった方はこういうケースが多いと思いますが、手術を検討すべきでしょうか?

川原:私としては、普段の生活や仕事などでよっぽど不自由がなければあまり手術はおすすめしていません。特に40代以前では白内障手術で完全に老眼と同じような状態になってしまうからです。

大江:例えば、どんな不自由があると手術する患者さんが多くなるのでしょうか?

川原:よくあるのは車の運転ですね。当院の患者さんでも多いのが、免許更新検査の際に視力が0.7以下になっていることに気づき、免許更新ができなくて困った時。これは分かりやすいタイミングですね。

あとは、視力低下などで仕事に支障が出てくる場合ですね。

大江:なるほど、そこまで明確に目の機能で困ると分かりやすいですね。

川原:逆にいうと、部屋の中で過ごすことが多い、パソコンや書類などで細かい字を読むことがなく仕事で困ることがない方は、手術を急ぐ必要はないといえるでしょう。

しかし白内障手術は非常に安全な手術ですので見え方に困るようであれば若くても手術を先延ばしにするメリットはありません。見えにくいのを我慢するより、早く手術したほうが生活が快適になるのではないでしょうか。

70代は手術を受ける平均的な年齢

大江:では、白内障手術を受ける平均的な年齢は何歳ですか?

川原:現在は、70歳前後だといわれています。実際にはばらつきが多いので年齢は幅広いのですが、当院でも多いのは70代だと思います。

大江:なぜ、そのくらいの年齢で手術を受ける方が多いのでしょう?

川原:加齢による変化は人それぞれで違うため一概にはいえませんが、60代、70代になると白内障症状がより強く現れ、自覚しやすくなるからではないでしょうか。

また、遠視と乱視が強くなり遠くにも近くにもピントが合わない状態になるケースが多いようです。かすんで見えないうえにピントまで合わなくなり、より一層見えにくくなるようです。

大江:つまり、視覚に現れる症状により、生活に不自由を感じる人が多くなってくるわけですね。

川原:そうです。実際、70代になって白内障が進んでくると「目がかすんで見える」「光がまぶしくなる」といった代表的な自覚症状が出てくるので、当院でも普段の生活での不便さを訴える患者さんが多いです。

また、仕事を引退して時間的な余裕が出るため手術に踏み切る、というのも70歳前後で手術を受ける人が多い理由のひとつではないでしょうか。

年齢ごとに状況は少し異なるかもしれませんが、どの年齢でも不便さを感じた時が手術を考える時期だと患者さんには説明しています。

80代以上は手術を受けるリスクも考えよう

大江:手術が難しい年齢はあるのでしょうか?

川原:私の経験では、85歳以上の超高齢者になると、水晶体が固くなっている、水晶体の支えが弱い、瞳孔が開きにくいといった症状があるケースもあり、手術の難易度が高くなりリスクも増します。

大江:他に高齢者ならではのリスクはありますか?

川原:認知症が始まっていると手術中、身体や目が動いて、短時間でもじっとしているのが難しい場合もあります。

大江:そうなると、80歳以降は早めに手術を受けるべきでしょうか?

川原:基本的には早めがおすすめですが、生活に不自由がなければ90歳まで手術を受けないケースもあります。

ただ、放置はしないでほしいです。白内障が進行して緑内障やぶどう膜炎といった他の病気を引き起こしたり、通常の手術ではうまくいかなくなり難易度の上がった硝子体手術が必要になるケースがあるからです。

【編集長のまとめ】後の人生を見据えて医師としっかり相談!

読者の質問「白内障の手術で年齢的にちょうど良い時期はあるの?」に対し、川原先生からは各年代毎の考慮事項としてありがちな、参考になるケースを教えてもらえました。仕事や生活でどれだけ不自由になるかという判断が大切でしたね。

それぞれの年代ごとに起こりうる困り事を知っておくと、後々の人生を見据えて検討することができそうです。

いずれにしても、白内障と診断された方は定期的に眼科で進行度合いを検査し、医師にしっかり相談することが大切ですね。

 

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※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【画像】
miya227 / Shutterstock

この記事を書いた人

大江 絵美

薬学博士

岐阜薬科大学薬効解析学研究室に4年間出向し、目のことやビルベリーの健康効果の研究を行ってきました。目のこと、サプリメントの素材についての研究や調査をもとにした情報発信を行っています。

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