角膜治療の第一人者、坪田一男教授が原作を手掛けたミュージカル「小さな貴婦人」

  • 大江 絵美
  • 編集長
坪田一男教授取材大江と談笑の写真

慶應義塾大学医学部眼科教授である坪田一男教授は、目の角膜治療の第一人者。過去には人気テレビ番組の「世界一受けたい授業」などにも出演し、話題になりました。

そんな坪田教授が原作のアイバンク啓発ミュージカル「小さな貴婦人」が10月5日(土)6日(日)に上演予定です。

前作とは内容を大きく変えて、小さな子どもも楽しめる物語になったという今回。ミュージカルの見どころと、原作にかける想いを坪田教授に聞いてみました。

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アイバンクミュージカル2019 ~ 小さな貴婦人 ~ 


坪田 一男(つぼた かずお)教授(眼科医)
1980年慶應義塾大学医学部卒業後、日米の医師免許取得。85年渡米、87年ハーバード大学フェローシップ修了。1990年に東京歯科大学眼科へ赴任、新しいアイバンクシステムを導入し角膜移植件数を急伸させ、日本屈指の角膜治療施設を実現する。2004年より現職。角膜移植およびドライアイ、屈折矯正手術分野における第一人者。1999年には再生医療の先駆けとなった「角膜上皮のステムセル移植術」を発表し注目を集めた。日本眼科学会評議員、日本角膜学会評議員、日本抗加齢医学会理事など。近著に『視力再生の科学』(PHP)、『あなたのこども、そのままだと近視になります。』(ディスカバー携書)など多数。http://www.tsubota.ne.jp/


目が見えない少女の成長を描いた新作ミュージカル「小さな貴婦人」。物語の見所は?

アイバンクミュージカルのポスター

大江編集長(以下、大江):10月にアイバンク啓発ミュージカルの新作「小さな貴婦人」の公演が始まりますね。前作の「パパからもらった宝もの」に続き、坪田先生が原作を担当されたとのこと。どんなミュージカルなのでしょうか?

坪田教授(以下、坪田):今回の「小さな貴婦人」は、小さな子どもでも楽しめることを一番に考えました。直接アイバンクを舞台にはしていませんが、子どもたちに、目が見えないということや、視覚障がいについて知ってもらうとともに、障がいは決してマイナスではなく、みんなが助け合い理解し合うことで優しさと思いやりにあふれた素敵な世界がつくれるということをテーマにしました。

大江:子役の女の子2人が印象的だと思うのですが、どんな物語なのでしょう?

坪田:「小さな貴婦人」は、5歳の時に怪我で失明してしまった少女・グレイスと旅芸人一座の少女・ヒルダの物語です。
グレイスは目が見えなくても人一倍努力家で、10歳にして「小さな貴婦人」と呼ばれるほどあまり子どもらしくない女の子でした。グレイスは旅芸人ヒルダと出会い、大きく心が変化していきます。

目が見えない女の子と、目が見える女の子。全く違う生き方をしてきた2人がどのように出会い、どのように心が変わっていくのか…。舞台を観た子どもたちには、そんなところを何か感じてもらえたらなと思っています。

大江:10歳というと多感な時期かと思いますが、少女が成長していくような話も入っているのでしょうか?

坪田:ええ、そうなんです。ミュージカルの中で2人の少女が成長していくストーリーですが、実際の子役の子どもたちもいろいろな児童劇団からオーディションを受け、練習を通じて成長していっていると聞いています。どんな舞台に仕上がっていくのか、僕も楽しみにしています。

大江:メインキャストが子役ということもあり、小さなお子さんたちにもメッセージがしっかりと伝わりそうですね。

最近はいろいろな人を認め合う多様性が話題になることも多いですが、お子さんには目が見える人と見えない人、それぞれの立場や考え方を知る機会にもなるのでは?

坪田:そのとおりです。グレイスやヒルダと同年代くらいの子どもたちが、2人の成長や心の変化を通して、人を思いやる気持ちとか相手を理解する気持ちについて、理屈ではなく感覚として心に刻んでもらえたらいいなと思っています。

大人向けから子ども向け作品への方向転換。視覚への関心や理解が自然に深められるストーリー

坪田一男教授説明の様子の写真

大江:これまで11年間「パパからもらった宝もの」を公演されてきて、今年から新作の「小さな貴婦人」が始まり、内容ががらっと変わりますよね。今まで11年にわたり伝えてきたものを作り変えるきっかけは何だったのでしょうか?

坪田:「パパからもらった宝もの」もすごく好きなミュージカルなので、これを続けたいという思いがある一方で、もう少し小さな子どもたちにも「目が見えない」とはどういうことか、目が見えることのありがたさや思いやり、助け合う気持ちを伝えられたらいいなと思いました。

大江:私も見に行かせていただいたことがあるのですが、たしかに「パパからもらった宝もの」は病院のシーンから始まり、大人向けのドキュメンタリーのような印象が強かったですね。

坪田:はい。今作はもうちょっとファンタジーな内容です。山崎陽子さんが素晴らしい脚本に仕上げてくれました。

大江:演じる子どもたちも増えたし、それによってミュージカルを観てくれる方もさらに増えていくかもしれませんね。

坪田:そうですね。年に1回の公演だけでなく、全国のたくさんの劇団でたくさんの子どもたちに演じてもらい、たくさんの人に観に来てもらいたいと願っています。

なかなか知ってもらえない角膜移植治療とアイバンクの現状。パーティー、マラソン、色々な方法で啓発し辿り着いたミュージカル

坪田一男教授取材笑顔の写真

大江:先生はアイバンクの活動にも長年取り組んでいらっしゃいますね。

坪田:日本でも多くの人が「アイバンク」のことを知っていると、取り組みを通じて実感しています。さらに、アンケートなどで尋ねると「角膜を提供したい」と答えられる方がたくさんいらっしゃいます。でも、その意思表示の機会が少ないことや、家族の間で角膜の提供について話す機会がないことなどから、実際にアイバンクに角膜が提供されることが少ないのではと考えているのです。アイバンクが日常的なレベルに認識されていないのですね。1人でも多くの人にアイバンクを身近な存在として知ってもらうために、これまでチャリティーマラソンやパーティーなど様々な啓発イベントを開催したり、アイバンクに関する書籍を執筆したりしてきました。

大江:色々な手法でアイバンクの啓発に挑戦してこられた中、ミュージカルで伝えようと思ったきっかけは?

坪田:実はうちの奥さんがミュージカルが大好きなんです。その影響で子どもたちも劇団に入ってずっと活動をしていて、私自身も昔からミュージカルに触れる機会が多かったんですよ。そんな中、児童劇団の子どもたちが演じている姿を見て、彼らの表現する力に感銘を受けました。歌やダンスを通じてアイバンクや角膜移植のことを伝えられたらいいなと思いついたんです。

大江:そうだったんですね! お子さんも劇団に入られていたとは初耳でした。だから、お医者さんなのに原作まで関わっていらっしゃるのですね!

坪田:そうそう、なぜ医者なのにミュージカル原作まで? と思われるかもしれませんが、医療について伝えたいという気持ちは医者はみんな持っていると思います。そこでたまたま僕も家族もミュージカルが大好きだったという(笑)。

大江:ミュージカルになることで、より多くの世代に伝わりやすくなりますね。

坪田:それに伝わり方もミュージカルは有効だと考えています。多くの人は目が見えるということは当たり前で、見えている間ってそれが普通だと思って、素晴らしいという実感は持ちにくい。

ミュージカルにすると、その実感が演じている役者を通して感情的に伝わってきやすい。観客は主人公の姿を通して目が見えない追体験をし、自分に置き換えていろいろなことを考えるきっかけになる。

特に今回は子どもたちが中心なので、子どもたちがどう感じ、どう考えてくれるかが楽しみなところです。

大江:前作を見た知人に感想を聞いたことがあるのですが、見えることの大切さを自分ごととして実感できるようになったと。私も同じように感じました。

見た方がそれぞれの感覚で捉えてくれるのがミュージカルのいいところなのかなと思います。今作もきっと、たくさんのお子さんや親御さんが目のことを考えるきっかけになりそうですね。

お子さんと一緒にアイバンク啓発ミュージカルを見て欲しい

坪田一男教授と大江の写真

アイバンクや角膜医療の話を聞くと、ちょっと難しそうだし、どこか他人事のように感じてしまうかもしれません。

しかし、目の大切さは誰にでも通じるテーマ。

「小さな貴婦人」には、目が見えることのありがたさや、思いやり、助け合う気持ちを伝えたいという坪田先生のあたたかいメッセージがたくさん詰まっています。一体どんなお話なのか、今からとても楽しみです。

ミュージカル上演前には坪田先生による20分間の講演「世界一受けたい目の授業」も開催します。先生のモットーでもある「ごきげんに生きる」ための目と健康のお話は、きっと役に立つはず。

10月5日と6日は、お子さんとともに自分の目の健康と向き合う日にしてみませんか?

▼アイバンク啓発ミュージカル「小さな貴婦人」の詳しい情報や申し込みはこちら
アイバンクミュージカル2019 ~ 小さな貴婦人 ~

この記事を書いた人

編集長

大江 絵美

わかさ生活みらい研究所研究員。健康食品管理士。岐阜薬科大学薬効解析学研究室に4年間出向し、眼のこととビルベリーの健康効果についての研究を行ってきたスペシャリスト。眼のこと、サプリメントの素材について新しい研究や調査を行っています。

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