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目の症状や病気と予防・治療法

人生100年時代へ。正しい知識と定期的な検診が目を守る!?

目の検診を受ける女性

2019年10月31日(木)に行われた「第28回市民健康講座 目の勉強会」(大阪眼科セミナー、株式会社わかさ生活主催、毎日新聞社後援)。「目の病気に関して正しい知識を身につけよう」をテーマに、関西医科大学眼科学教室の大中誠之先生より「加齢黄斑変性について」、医療法人森下眼科の森下清文先生からは「白内障・緑内障について」「日常生活で気を付けること」「目の健康維持のために必要なこと」についてお話いただきました。

症状や治療法、日常生活の注意点などは身近な話題でもあり、多くの方が興味を持たれ専門医のお話に耳を傾けられました。

普段気になっている目に関するお悩みについて、森下清文先生にお答えいただくコーナーもあり、参加された方からは「普段から気になっていたことを聞くことができて大満足です」「目の健康について今日から出来ることをたくさん教えてもらったので早速実践します」などの嬉しいお声をたくさん聞くことができ、大盛況のうちに幕を閉じました。

ここでは、皆さんからいただいた質問に対して森下先生にお答えいただいた内容の一部を紹介します。

眼科の先生に聞いてみよう!

第28回市民健康講座の写真

白内障について

白内障は70歳以上になると80%を超える人が発症するといわれており、老化現象の一つで誰でもなる病気だそうです。日常生活に不自由を感じた時が手術のタイミングというのが一般的です。特効薬はなく、あくまでも点眼薬は進行を遅らせるために使うものであり完治させるものではないため、白内障の最終的な治療としては手術によって視力を回復させることとお話いただきました。

白内障の手術は、濁っている水晶体を超音波で砕き、水晶体のかわりに眼内レンズを入れるというものです。眼内レンズには1つの距離にしかピントが合わない単焦点レンズと、複数の距離にピントが合う多焦点レンズがあります。単焦点レンズを入れた場合、近くにピントが合うタイプを入れると遠くを見る眼鏡が、遠くにピントが合うタイプを入れると近くを見る眼鏡が必要になることがあります。

また、複数の距離にピントが合う多焦点レンズを入れても、見え方には個人差があるため、自分に合うものを眼科医と相談して決めるのがおすすめであると森下清文先生から教えていただきました。

白内障は誰もがなるとはいえ、少しでも発症を遅らせたいものには違いありません。白内障の予防にはサングラスや帽子などの紫外線対策はもちろんですが、バランスの良い食事も大事です。初期にはビタミンCやビタミンE、β-カロテン、ビタミンB2などのビタミン類、亜鉛、セレンなどのミネラル、アミノ酸のL-システインなどが紫外線予防の栄養素としておすすめだそうです。

緑内障について

緑内障は視神経が障害され視野が狭くなっていく病気です。目の中で圧力に一番弱いのが視神経で、眼圧が高くなったり眼圧が正常でも目の中で血液の代わりに酸素や栄養素を運ぶ房水という液体の流れが悪くなったりすると視神経障害から視野狭窄が起こるそうです。

そしてなんと、40歳以上の20人に1人、70歳以上の10人に1人が緑内障にも関わらず、そのうちの9割の方が自分が緑内障であることに気付いていない、そこが問題点だそうです。

森下清文先生からは、緑内障の方が日常生活で気を付けることをいくつか紹介していただきました。まず、大量の水を一気に飲むと眼圧が上がることがわかっています。1ℓの水を5分で飲むと眼圧が3~6mmHg上がり、1~2時間で戻ると報告されています。水をたくさん飲まれる場合でも一気に飲まないようにしたほうがよいみたいですね。

また、必ずではありませんが眼圧が高い人はコーヒーや紅茶のカフェインで眼圧が上がりやすい傾向があるそうです。眼圧が高い人や家族に緑内障患者さんがいる方は控えめにした方が安心かもしれません。1日に2~3杯程度なら問題ないそうです。

ネクタイを強く締めたり、力んだりすることでも一時的に眼圧が上がります。ネクタイを強く締めた場合、数分後に眼圧が1~3mmHg上がり、緩めるとすぐに元に戻るので、普通にネクタイをしているくらいでは問題ないそうです。

点眼薬(目薬)

目の薬としては身近な「目薬」。この目薬の正しい差し方については知らない方も多かったようです。上を向いて目薬液を垂らす。ということは知られていますが、そのまま上を向いて差すと、まつ毛に目薬液がかかり目に入らないことが多いため、実は寝転んで差すのがお勧めだそうです。

また、一度に何滴も差してしまう人もいるのではないでしょうか。実は1滴の点眼でも十分だそうです。目に液体が入るスペースが約30μℓ(マイクロリットル)に対し、点眼薬1滴は約50μℓもあります。そのため1滴でも目から溢れてしまうくらいの量なのだそうです。

さらに、点眼をした後に目をパチパチさせる人も多いと思いますが、パチパチさせることでせっかく入った目薬液が流れ出てしまうので、点眼後は軽く目を閉じて目頭を軽く押さえてください。そうすることで喉に目薬が流れてしまうのを防ぎ、長く目の中に滞留させ目薬がよく効くようにすることができるそうです。今まで、もったいない差し方をしていたかも…と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

まとめ

この他にも、目の健康維持のためには規則正しい生活やバランスの良い食事、ストレスをためないことのほか、目を休めながら使うことが大切ということを教えていただきました。
そして、「眼病は早期発見することが大切です。今は目に心配事がない方も1年に1回は定期検診を行うことをお勧めします。」と普段から患者さんを診ていらっしゃる先生の言葉には重みがあり、多くの方がうなずいているのが印象的でした。

定期的に検診を受け今の目の状態をきちんと知ることは、眼病の予防だけでなく疲れの改善や疲れにくい目のためにもお勧めです。人生100年と言われる時代。いつまでも健康な眼で過ごすためにも参考にしてくださいね。

この記事を書いた人

メノコト365編集部

目の健康に関するあらゆる情報を発信しています。子どもたちが健やかな目で生活できるように、小さなうちから正しい健康習慣を身につけてもらうための健育イベントを開催するなど、目の健康について意識を高めるきっかけになることを願い様々な活動をしています。

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