神の国として知られている島根県出雲市。市内の山中にある鰐淵寺(がくえんじ)は、かつて出雲で一番大きなお寺だったといわれており、修験道の霊地だったそうです。実はこのお寺は眼病平癒と深い関係があると信じられ、推古天皇の眼病平癒を祈願した場所なのだとか。
鰐淵寺には一体どのようなご利益があるのでしょうか? メノコト編集部スタッフが出雲市に足を運び、お寺について調べてきました!
鰐の不思議な伝説が残る「鰐淵寺」
松江と出雲をつなぐ一畑電車を「雲州平田」駅で下車し、路線バスに揺られること約25分。さらにバスを降りて歩くこと約15分。大自然の中を進んでいくと、「鰐淵寺」に辿り着きました。
「鰐淵寺」には、このような言い伝えが残されています。推古2(594)年、旅をしていた信濃国の智春(ちしゅん)上人が出雲の地を訪れ、推古天皇の眼病を治すために「浮浪滝(ふろうのたき)」で祈願をしたそうです。そうして推古天皇の眼病が平癒したお礼として、天皇の発願により建立された勅願寺が鰐淵寺といわれています。
また、鰐淵寺という名前の由来にも不思議な言い伝えがあります。ある日、智春上人が滝のほとりで修行を行っている時に仏器を誤って滝壺に落としてしまいました。すると、滝壺から鰐(わにざめ)が現れ、仏器を上人に返したそうです。この鰐の文字をとって「鰐淵寺」という名前で呼ばれるようになったのだとか。その後、鰐淵寺は後白河法皇『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』の今様に歌が詠まれているなど、平安時代末期には修験道の霊地として広く知られるようになりました。
今も湧き出る推古天皇の目を癒した霊水「龍眼水」
山門から少し険しい小道を歩いていくと、幻想的な風景の中に、智春が推古天皇の眼病平癒を祈ったとされる浮浪滝がありました。滝の落差はおよそ18メートル。間近で見ると迫力がありますね!
さらに滝の奥には、岩壁にはめ込まれているかのように「蔵王堂」が建てられています。そして、蔵王堂の右前の岩窟からは、推古天皇の目を癒したといわれる「龍眼水」が現在も湧き出ていました。この浮浪滝では、源義経に仕えた武蔵坊弁慶も修行をしたといわれています。山の大自然の中に存在する、神秘的なパワースポットですね。
出雲の重要文化財が眠る寺
そのほかにも、鰐淵寺には様々な見どころがあります。境内は四季折々の植物で彩られ、季節ごとに美しい景色を堪能することができます。特に秋の紅葉は山陰屈指の美しさといわれ、山門から境内に至るまで一面が赤・橙・黄色で染められます。このお寺は見て楽しむだけでなく、リフレッシュして元気になれそうですね。景色を見ながらのんびりと時間を過ごす参拝客も多いようです。
また、鰐淵寺は寺宝が多いことでも知られています。現在は非公開となっていますが、重要文化財に指定された観音菩薩立像が鰐淵寺に保存され、そのほかの文化財も出雲歴史博物館に寄託されているようです。
歴史や自然が好きな人にもおすすめ
「神の国」と呼ばれる土地のお寺ということもあり、遠い昔からご利益があるといわれてきた鰐淵寺。目の健康を祈願したい方はもちろん、歴史や自然が好きな方にもおすすめしたいスポットです。島根県を訪れた際は、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
【アクセス】
・一畑電車「雲州平田」駅より路線バス「鰐淵線」でバス乗車約25分、「鰐淵寺駐車場」下車後、徒歩約15分
・山陰道「宍道IC」より県道184号線経由で約25分
【住所】島根県出雲市別所町148
【入山料】大人500円、中・高生300円、小学生200円
【拝観時間】8:00~16:15
【お問い合せ】0853-66-0250
※本記事内での情報は2019年12月時点のものです。
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