
歩行訓練士は視覚障がい者の日常のさまざまな悩みや困りごとを解決できるよう指導をしてくれる重要な存在です。しかし、歩行訓練士のことを知らないという方も多いと思いますので、どのような資格なのか、どのような問題が起こっているのかをご紹介します。
歩行訓練士とは

歩行訓練士(視覚障害生活訓練等指導者)は、厚生労働省の認定資格で視覚障がい者の自立を支援する専門職です。歩行訓練士が行う訓練は幅広く、日常生活におけるさまざまな場面で役立つものとなっています。次にあげるのがその一例です。
・歩行訓練
屋内での移動時に壁や手すりなどを活用して移動する。屋外で目的地まで単独 で移動できるよう正しく白杖を使う。公共交通機関を安全に利用する訓練などがあります。
・ICT(情報通信技術)訓練
画面の文字の音声読み上げ・文字の大きさ変更・画面の白黒反転などの操作を覚えることでパソコン・スマートフォン・タブレットなどの機器を利用できるようにする。
・日常生活訓練
調理・掃除・洗濯・お金の管理・身だしなみなどこれまでの経験を生かしつつ、便利な用具や効果的な方法を紹介しQOLの向上をはかる。
・点字訓練
単語が読めればよい・長い文章が読みたいなど必要に応じて点字の読み書きを学ぶ。
※歩行訓練士の訓練内容は所属している施設によって異なる場合があります。
私も訓練を受けました
私は19歳のとき、網膜色素変性症という目の病気だとわかりました。その時点ではある程度見えており普段の生活にはほとんど影響がありませんでした。
しかし、相談に行った施設の担当の方から網膜色素変性症は進行性の病気なので、見えなくなる前に訓練を受けておいたほうがいいと教えていただき、それから半年間歩行訓練士の指導のもと学びました。
目隠しをして道路を歩くときに
・どう白杖を使えばいいか
・パソコンの文字を大きくしたり、音声読み上げソフトを使っての操作方法
・点字の読み書き
などさまざまなことを教えていただきました。
そのお陰で、その後の盲学校での生活や仕事を始めてからさまざまな場面で学んだことが役立ちました。
歩行訓練士の現状
私も大変お世話になった歩行訓練士ですが、日本ライトハウスによると2025年4月現在、歩行訓練を実施している施設などは全国に91箇所、それらで実働する歩行訓練士は計195人。都道府県別では、10人以上在籍が5都府県のみ。2人以下の地域が半数を占め、山形・岩手・奈良・和歌山の4県には訓練士が一人もいない状況だそうです。
歩行訓練士が全国的に不足し、年々人数が減っているのが現状です。
そのため訓練を受けたくても受けられない方や申し込みをしてから訓練が受けられるまで数年かかるということもあるようです。
このような地域差を解消するためには、歩行訓練士の配置基準を設けるなどの仕組みや制度(例えば、自治体や施設で配置が法的に定められるなど)が必要だと思われます。
終わりに
日本の視覚障がい者は現在30万人以上、歩行訓練士の指導を受けたことがない方が多く、さらに、緑内障や白内障といった高齢になってから見えなくなる病気のことを踏まえると今後さらに視覚障がい者が増えるといわれています。
歩行訓練士という資格はまだまだ知名度が低いので、まずはこの記事を通じて歩行訓練士に興味を持ってくれる方が増えると嬉しいです。
参考
日本歩行訓練士会
歩行訓練、もっと提供したいのに~人材難の視覚障害者支援~|トピックス|時事メディカル|時事通信の医療ニュースサイト