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【視覚の舞台裏】人間の目の色を決定する要因とは?

世界各国の子供たちが集まって写真を撮っている

人間の目の色は、人によって実は微妙に異なり、その美しさや独特さから多くの人々を魅了します。しかし、その色合いは何によって決定されるのでしょうか?

一見すると単純なように思えるかもしれませんが、実は目の色は複雑な要因によって決定されるのです。

この記事では、視覚の舞台裏に迫り、人間の目の色を形成する要素について探ってみましょう。

 

人の目の色を決める「虹彩」の色素 

目の色は人間の虹彩に含まれる色素によって決まります。主にメラニンやヘモグロビンなどの色素が、目の色を決定する要因の一つとなっています。メラニンは特に重要で、その量や種類によって、茶色や青色などの異なる目の色が生じます。例えば、多くのメラニンが含まれる場合、虹彩は茶色や黒色になる傾向があります。一方、少ないメラニンが含まれる場合、虹彩は青や灰色に見えることがあります。さらに、ヘモグロビンは赤血球の色素であり、血管の密度に応じて目の色に影響を与えることがあります。これらの色素の組み合わせと分布が、個々の人の独特な目の色を形成するのです。

 

遺伝子の影響も

女性親子3世代

虹彩の色素が目の色に影響する以外にも、遺伝子も目の色を決定する重要な要因です。親からの遺伝子が組み合わさることで、子どもの目の色が決まることがあります。特定の遺伝子が目の色に関連していることが研究によって明らかにされています。遺伝子の影響によって、同じ親から生まれた兄弟姉妹でも異なる目の色を持つことがあるのです。遺伝子がどのように目の色に影響を与えるのか、今後の研究が期待されます。

色覚の違い 

色覚の違いは、人々が他の人とは異なる目の色を認識する要因の一つです。色盲や色覚異常を持つ人々は、特定の色を区別することが難しい場合があります。これは、目の中の色素や視覚神経系の働きに関連しています。色覚の違いがある人々は、日常生活や仕事などで色に関する課題に直面することがあります。色覚検査や特殊なメガネなどを使用して、色の違いを補う方法もあります。色覚の違いは、人々の視覚における多様性を示しており、それぞれの個性を尊重することが大切です。

環境の変化に伴う、進化的背景 

紫外線の光の強い地域に住む人々

人間の目の色が決定される要因としては、環境適応による進化的な背景も考えられます。過去において、特定の環境に適応するために目の色が変化してきた可能性があります。たとえば、日光の強い地域に住む人々は、目の色が濃くなる傾向があると言われています。このような環境における適応のため、目の色が変化してきたと考えられます。また、異なる目の色が生まれることで、集団内での個体識別や適応の向上がもたらされたとする説もあります。つまり、人間の目の色は単純な遺伝子の影響だけでなく、進化の過程における環境適応の結果でもあるのです。視覚の舞台裏にある色の変化は、人類の進化と深い関わりがあるのです。

 

突然の目の色の変化は病気の兆候も

目の病気の検査をする

ある日突然、目の色が変わることの要因には、病気が隠されていることがあります。たとえば、黄疸は、肝臓や胆道系の疾患によって生じる黄色の色素沈着によって引き起こされます。この状態では、目や皮膚が黄色くなることがあります。肝臓が正常に機能せず、ビリルビンという黄色の色素が血液中に蓄積するためです。

 

他にも、緑内障や糖尿病などの疾患が眼の色や虹彩の色に影響を与えることがあります。緑内障は眼圧の上昇によって視神経を損傷し、視力を損なう病気です。緑内障の進行によって、虹彩が色素を失い、灰白色に見えることがあります。糖尿病によっても、虹彩やレンズに異常が生じ、目の色や視力に変化が現れることがあります。

これらの病気は早期に発見されるほど治療の成功率が高まりますので、目の色や外観に変化が見られた場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。毎朝鏡を見ながら行う身だしなみチェックとともに、目の変化にも気を掛けたいですね。

 

この記事を書いた人

山本 エミ

Webライター、編集者。学生時代は両目視力2.0をもちながら、現在は左右の目の視力差が大きい「不同視(ガチャ目)」に悩む日々。現代病である疲れ目など、目の健康に役立つ記事を中心に執筆している。

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