私たちが、普段の生活の中で「最近視力が落ちた」と感じることは、大人なら一度は経験したことがあるのではないでしょうか?異変を感じたら、早いうちに専門医にかかることが大切といわれています。しかし、実は小さなお子さんの場合、自分で「視力が悪い」という判断がつきません。3歳児検診など、子どもの健康診断の際に、はじめて眼科医の受診を進められるケースも多いといいます。
それは一体なぜなのでしょうか?また、早期発見・早期治療を促すために、見逃せない子どものSOSサインはあるのでしょうか?
この記事では、そもそも見えにくいとはどういうことなのか、そして知っておきたい子どもの視力SOSサインについて詳しく解説していきます。
「見えない」にはいろんな種類がある
見えない、と一口にいっても、実は見えにくさにはさまざまな理由があります。
①まぶしくて見えにくい
光に敏感で、屋外など天気のいい日に見えにくくなってしまうことがあります。また、太陽光、車のヘッドライト、反射光などの明るい光源によって引き起こされる場合があります。
まぶしさは、『低視力』や『羞明(しゅうめい)』が原因で目が適切に焦点を合わせられないことがあります。また、白内障や網膜症などの眼の疾患によってもまぶしさを感じることがあります。
②真ん中が見えにくい
普通に見えていたのに、視野の真ん中に入ると、途端に消えてしまうというこの現象。中心視野の欠如やぼやけが原因で、物の中心部分が見えにくくなることがあります。これは、中心暗点(ちゅうしんあんてん)と呼ばれ、マクラーデジェネレーション、糖尿病網膜症、黄斑変性症などの網膜の疾患によって引き起こされることがあります。
③二重に見える
見ているものが、すべて二重に見えてしまうので、見通しいが良いところでぶつかったり、何もないところで転んでしまうことがあります。二重視は、両眼の視点が異なるために起こります。これは斜視、屈折異常、筋肉のバランスの問題、神経の障害などによって引き起こされる場合があります。
④周りが見えにくい
ある日を境に、見えていたものが、だんだん視野が狭くなり、見える範囲が小さくなっていき、周りが見えにくくなってしまうケースは、緑内障、網膜色素変性症、視神経症などの眼の疾患によって、周辺視野の欠如や、暗視野の低下が引き起こされることがあります。
このように、「見えない」のにも種類があり、「どんな風に見えないのか」を探ることで、見えない理由を追求することができます。
子どもの視力の成長
赤ちゃんの視力は、生後すぐには未熟な状態ですが、成長とともに発達していきます。一般的に、赤ちゃんの視力は生後数週間から6ヵ月程度で発達していきます。生後数週間から6ヵ月程度は、赤ちゃんの視力は非常に限定されており、ぼやけていて色もぼんやりしています。この時期は、視神経や網膜などの視覚システムが成熟していく時期でもあります。生後約6ヵ月から1歳の時期になると、赤ちゃんの視力は段階的に成長していきます。彼らは徐々に遠くの物を見ることができるようになり、色や形もよりはっきりと見えるようになります。1歳から3歳になると、子供の視力はさらに発達し、深さや距離をより正確に理解できるようになります。また、手や目を協調させて物をつかむことも上手になります。
視力の発達は個々の子供によって異なりますが、通常、子供の視力は成長とともに発達していきます。しかし、屈折異常や斜視などなんらかの異常がある場合は、正常な視力の発達に影響を与えることがあります。そのため、子供の視力の発達は定期的に眼科医師による検査を受けることが重要です。
こんな時には要注意!子どもの「見えにくい」サインとは
特に、言葉を覚えたばかりから小学生低学年までの子どもは、まだ自分で視力に問題があることに気付かないケースも多いといわれます。早期発見・早期治療が大切な子どもの視力問題は、家族や周りの方が、子ども自身発している視力SOSサインを見逃さないことが重要です。
・ぶつけておでこによくコブをつくる
・何もない場所でよく転ぶ
・ボールをとるのが下手
・晴れた日に、異常にまぶしがる
・うす暗くなると急に動きが鈍くなる
・物の名前を覚えにくい
・目を常にこする
・音に敏感である
・見えているふりをする
・目に充血や濁りが出てきた
これらは、視力になんらかの異常がある子どもたちにおきていたアクションの一覧です。
テレビやスマホ、ゲームなどが身近になった今、このようなケースは日々増え続けています。
見えなくなってしまう前に、「見えにくい」状態で、いち早く専門医を受診することが大切です。日々の中で、これらのちょっとした変化に気付くことができれば、早期発見につながります。見えにくいを理解し、お子さまとこのようなことがないか、一度話してみましょう。