季節の花粉症や、パソコン・スマートフォンによる疲れ目など、現代の私たちの目は、日常的に非常に酷使されてきています。
なんだか目が乾燥する、充血してきた…など、お困りの時に使いたいのが「目薬」ですよね。
今や、ドラッグストアでもコンタクト用、ドライアイ用、アレルギー用など、さまざまな種類やカラーの目薬が登場しています。
この記事では、意外と知られていない目薬の種類と、正しい点眼方法について詳しく解説していきます。
目の症状に合わせて使おう!目薬の種類
目薬は他の薬と同様に、症状に合わせた処方が基本です。
たとえば、花粉症と疲れ目とでは、有効成分が異なるように、目の病の根本原因を解決する成分が含まれているものを使用する必要があります。
そもそも、目薬にはどのくらいの種類があるのでしょうか?下記は、一般的に使用されている点眼剤の種類です。
1.緑内障治療点眼剤
緑内障の治療に使用される目薬で、眼圧を下げる効果があります。緑内障は視神経の障害を引き起こす疾患で、医師の指導の下で処方されます。
2.抗菌・抗ウイルス点眼剤
目の感染症や細菌性の炎症を治療するために使用されます。ただし、感染が確認されている場合にのみ医師の指導の下で使用する必要があります。
3.副腎皮質ステロイド性抗炎症点眼剤
ステロイドは炎症を抑え、免疫反応を調整する働きを持っており、さまざまな疾患の治療に使用されます。例えば、花粉症やハウスダストなどのアレルギーによって引き起こされる結膜の炎症を軽減するためにも使用されます。
4.非ステロイド性抗炎症点眼剤
炎症を抑えるためのもので、目の炎症や充血、痛みを軽減するために使用されます。非感染性の眼のトラブルに対して使われます。
5.ドライアイ・角膜治療点眼剤
涙液の分泌が不十分な「ドライアイ」の症状を和らげるための目薬です。乾燥による目の不快感を緩和します。乾燥症状やコンピューター作業などによる目の疲れに効果的です。
6.抗アレルギー点眼剤
抗ヒスタミン目薬とも言われ、アレルギーやくしゃみ、かゆみなどのアレルギー症状を軽減するためのものです。アレルギーによる目のかゆみや充血に使用されます。
7.眼精疲労 その他の点眼剤
炎症を抑えるためのもので、目の炎症や充血、痛みを軽減するために使用されます。非感染性の眼のトラブルに対して使われます。
このように、目の症状別に有効成分が異なるため、目薬は自身の目のトラブルに応じた正しいものを使用することが大切です。
1日の目薬の回数の目安は?
目薬は一般的に処方薬が5ml、市販薬が15ml量のものが多いです。
このうち、1日の目薬の適正使用回数はどのくらいなのでしょうか?
目薬の種類によって、1滴の量は微妙に異なりますが、約30~50μL(0.03~0.05mL)と言われています。実は目の最大容量は約30μLのため、1滴点眼しても約半数は無駄になっていることがわかります。
そのため、1回あたりは片目1滴が適量となります。
目薬の無駄を防ぐためにも、1日の点眼回数は多くても5〜6回程度に抑えておくことが大切です。
目薬の有効期限は?
薬箱を探していたら、去年使った目薬が出てきた、なんてことはないでしょうか?一度開封してしまった目薬は、どのくらい保存して使用することができるのか、気になるところですよね。
目薬の使用期限は、未開封のものであれば、記載されている使用期限まで、防腐剤無添加のものは開封後10日前後、防腐剤が添加されているものであれば病院処方薬で開封後約1ヶ月、市販薬では約3ヶ月以内に使い切ることが推奨されています。
使用期限切れの目薬を使用すると、目に炎症を起こす可能性があるため、使用は避けるようにしましょう。開封済みの目薬は早めに使いきることが基本です。
開封後の保管場所は?
目薬は、一般的に高温・多湿・直射日光を避け、常温での保管が推奨されています。ほとんどの目薬の場合、屋内での常温保存で問題ないとされていますが、種類によっては暗所や低温での保存が推奨されているものもあります。使いたいときに、保管場所がわからなくなった…なんていうことのないよう、専用の袋に収納し、冷蔵庫(2℃〜8℃)で保存するとよいでしょう。
正しい点眼方法
ここからは、意外と知られていない目薬の正しい点眼方法について解説していきます。
目薬を使用する際には、まず手を洗い、下まぶたを軽く引いて1滴点眼します。この時、点眼の際に容器の先がまぶたやまつ毛、目に触れないよう注意しましょう。
点眼直後はまばたきをしてしまいがちですが、そっと目を閉じて、流れてきた薬をティッシュで軽くふき取ります。目頭を押さえて1分ほど角膜にしみこませたら、ゆっくり目を開けましょう。
喉に流れ込んだときの対処法
目薬を指したとき、なんだか苦い感じがするということはないでしょうか?それもそのはず、目は、「涙点」→「涙小管」→「涙のう」→「鼻涙管」→「鼻粘膜」→「口腔内」と、口まで一本の管でつながっています。そのため、点眼後に鼻粘膜を通り、口腔内へと流れ込むことがあります。
実は先ほど紹介した、正しい点眼方法を行うと、この喉に流れ込むといった問題はほとんど発生しません。目頭を押さえて1分間待つことで、点眼薬が目から鼻のほうへ抜けていくのを防ぐことができます。
万が一、喉にかかってしまった場合は、うがいをして口腔内の薬を洗い流しましょう。
さいごに
目薬は、薬局やドラッグストアなどで、ビタミンや、メントール配合など、さまざまな商品が販売されています。さまざまな目の問題や症状の緩和に使用される医薬品であり、症状に合わせた有効成分が配合されたものを使用することが大切です。自己判断で目薬を使用する代わりに、目の専門医や眼科医に相談し、適切な指示を受けることが大切です。また、正しい点眼方法を知り、無駄のない効果的な使用を心掛けましょう。
※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。
参考文献
新白合ヶ丘総合病院 点眼薬(目薬)について
https://www.shinyuri-hospital.com/column/pharmacist/column_pharm_04.html
古川中央眼科 目薬の正しい知識
https://www.eye-care.or.jp/sittoku/%E7%9B%AE%E8%96%AC%E3%81%AE%E6%AD%A3%E3%81%97%E3%81%84%E7%9F%A5%E8%AD%98/