私たちはスマホやタブレットの普及で、情報の90%以上を目から得ているといわれています。しかし、スマホでの動画鑑賞や細かい作業など趣味に没頭すると目が疲れて、ピントも合わなくなってしまいます。これからの秋本番を思う存分楽しむためにも、今のうちから目のケアを始めましょう。
目の筋肉がピントを調節 スマホ老眼にも要注意
私たちがものを見るとき、目はカメラのレンズのような働きをする「水晶体(すいしょうたい)」の厚さを調節しています。
遠くを見るときは、「毛様体筋(もうようたいきん)」という筋肉が緩んで水晶体を薄くしてピントを合わせます。
一方、近くを見る場合は毛様体筋が緊張して水晶体を厚くすることでピントを合わせます。
長時間近くを見ていると毛様体筋は緊張状態が続き、筋肉疲労を起こしてしまうのです。
さらに加齢による水晶体の硬化で弾力が低下し、毛様体筋が衰えピント調節がしづらくなることで、「老眼」が起こります。
最近は、「スマホ老眼」といって、スマホやタブレットなど近くばかり見ていることで筋肉が弱くなり、若い人でも老眼と同じような症状を起こすことも知られています。
同じところばかり見ず視線を動かそう
本来、人間の目は遠くを見るようにできています。つまり、目にとっては、遠くを見ているときが一番リラックスした状態なのです。
目が疲れたと感じたら、なるべく遠くを見るようにしましょう。
また、一カ所を長く凝視しないことも重要です。目が疲れたら目の筋肉をほぐすために遠く(5m程度)と手元10~15㎝を1秒ずつ繰り返し見ると良いでしょう。ピント調節する毛様体筋が鍛えられ、目が疲れにくくなることが期待できます。
目の疲れ解消には外と内、両方からケアを
また、目の筋肉の過度な緊張により血流が悪化することも、疲れ目の原因になります。
血流を良くするためには、お湯で絞ったタオルを目に当てるなどして温めるほか、ビルベリーやカシスに含まれている健康成分アントシアニンを摂るのもおすすめです。
アントシアニンには血流をアップする効果があります。
アントシアニンは青紫色の天然色素で、ブルーベリー、カシスの他、紫キャベツ、ナス、赤シソなどに含まれています。毎日の食事に取り入れるとともに、サプリメントを活用するといいですね。
趣味を存分に楽しむためにも、日頃から目に疲れやコリを溜めないようにケアしましょう。
医療法人 森下眼科理事長
森 下 清 文 院長